営業会議のための準備を初めてしているという人も、数え切れないほど経験してきたという人も、少しの工夫でチーム力を高める有意義な場にすることができます。
営業部門のメンバーが一堂に会する会議は、業績管理のための貴重な機会です。ただ、進め方次第では、営業活動に使えるはずの時間を無駄にさせてしまうことにもなりかねません。最新情報を共有し、活発な意見交換を促す一方で、単純な連絡事項はメールで済ませるなど、時間を有効に使うことを意識しましょう。
この記事では、リーダーが営業会議で実践すべき10の秘訣を紹介します。会議の効率がアップすること間違いなしです。
営業会議は、営業部門のメンバーによる社内ミーティングです。顧客相手の打ち合わせとは異なり、社内のメンバーだけが参加し、営業活動に必要な情報を共有する目的で行われます。通常はリーダー(営業部門の管理職や経営幹部など)が主催し、営業担当者が参加して、次のような議題について話し合います。
毎週の営業会議、四半期ごとの定期会議、年次の営業総会など、会議の種類によって取り上げられる議題は異なりますが、ここで紹介する10のヒントは、どのような話し合いにも役立ちます。参加する全員にとって有益な、ムダのない営業会議のために、ぜひ実践してください。
会議の主催者はもちろんのこと、参加者全員が会議の目的をしっかり理解できるように、議題を作成しましょう。たとえば、重要業績評価指標(KPI)の進捗を確認する短時間の会議なのか、四半期末にサポートが必要な商談を特定する会議なのか、そしてなぜその会議を行うのかを明記します。
明確な議題や目的がない会議に、営業担当者を招集してはいけません。営業担当者を会議に呼べば、その間、見込み客の獲得や、メールやプレゼン資料の作成など、売上につながる活動ができなくなることをお忘れなく。
議題を作成し、会議の目的を明らかにしたら、次は会議での発言者を決めます。事前に打ち合わせをして、次のことを決めておきましょう。
議題は、事前に出席者に送っておきます。大まかな流れを知らせることは、時間を無駄にさせない姿勢を示すことにもつながるからです。
オンライン会議をする機会が以前に比べて増えています。オンラインでも対面でも、デジタル機器を使った会議で技術的なトラブルが起こらないよう、事前の準備は入念に行います。パソコンの更新を済ませ、必要なソフトウェアをダウンロードし、関係のないプログラムやチャットは閉じておきます。
技術的な不具合で会議の時間を無駄にするのを避けるために、発表者には前もって機器の確認をしておくよう依頼します。わずか10分の事前準備でも、するとしないのとでは大違いです。自分が進行役と発表者を兼ねる場合も同様に、事前に機器をチェックし、発表の流れを確認しておきます。
メリットの多いオンライン営業ですが、一方で課題も見えてきています。「人は話し方が9割」著者の永松 茂久氏とSalesforceの実例を交え、「顧客との関係の築き方」について語ります。貴社のさらなるビジネス拡大にお役立てください!
出席者の時間を尊重するために、会議は定刻どおりに実施しましょう。営業担当者は毎日、少しでも多くの顧客に電話やメールをするために時間をやり繰りしています。会議を時間どおりに開始、終了して、予定を乱さないようにすることが重要です。
会議が長引いてしまいがちな場合は、質問や意見を最後にまとめて受け付けるようにするか、1回の会議で取り上げる議題の数を減らしてみます。議題を見直し、最も重要なものはどれか、出席者の意見も聞いてみるといいでしょう。重要な話し合いを無理に切り上げる必要はありませんが、時間を守ることにも気を配り、最適なバランスを目指してください。
会議には必然性が不可欠です。「こんな話ならメールで済んだよね」という声をよく聞きますが、実際、簡単な社内連絡や計画の変更などを伝えるだけなら、メールよりビジネスチャットの方がシンプルで効果的でしょう。
営業会議のタイミングと頻度は重要です。毎日の朝礼など、頻繁に開催している会議がある場合は、内容を見直し、あまり重要なトピックがないようならば、頻度を減らすことも検討します。
計画どおりの開催にこだわる必要はありません。共有すべき重要事項がないときは会議を取りやめることで、営業担当者は「会議のための会議」に出る時間を意味のある業務に使えるようになります。
チームにまだ知らされていないことを伝達するのは、リーダーの仕事です。特に、前回の会議から時間が経過している場合は、説明すべきことがいろいろあるでしょう。
価格の変更や、販売予測の最新情報、製品に関するニュース、トップの方針転換など、営業活動に影響を与える重要な情報があるときは、チーム全員に説明します。また、これまでの会議で出てきた問題や質問へのフォローも必要です。この説明に時間がかかりそうな場合は、それだけを目的とする臨時会議を開くことも検討します。
全員が集まる機会に情報共有することで、うまくいっていること、いっていないことが見えてきます。見込み客や担当顧客について、重要な商談でのやり取り、各自の営業目標やKPIの達成状況などを聞き出してみましょう。
何か問題が起きていないかも聞き取ります。壁にぶつかっている営業担当者に手を差し伸べ、問題解決へと導くのもリーダーの務めです。
うまくいっていること、支援が必要なことを把握したら、個別に、またはグループ単位で、具体的な行動計画を策定します。
営業担当者が大きな契約を獲得した、数か月連続で目標を達成したといった功績は、営業会議の場で称えましょう。褒められた本人はもちろん、営業部門全体にも好影響を与えます。
頑張りを認めて評価することで、その本人だけでなくチーム全体のやる気を引き上げることができます。米国人材マネジメント協会(SHRM)とGloboforceが発表した調査報告書によると、人事担当者の68%が適切な評価は従業員の定着率を上げると考え、同じく56%が採用活動にも良い影響をもたらすと考えています。
できるだけ具体的に褒めるようにします。単に「優れた功績を上げた」と言うよりも、「難しい取引先との交渉に粘り強く取り組んだ」と言う方が効果的です。なかには目立つ扱いを好まない人もいるので、1on1ミーティングなどで事前に確認して本人の希望を尊重しましょう。
営業会議のなかで、必ず意見交換の時間を設けます。営業会議は、リーダーから営業担当者に情報を伝達するだけの場ではありません。チームメンバーが互いに学び、より良いやり方をともに考える機会でもあります。
たとえば、次の点について意見やアイデアを出し合います。
活発に意見を出してもらえるように、営業のためになるテーマを選びましょう。
議題ごとに具体的にやるべきことと責任者を決めていきます。次に何をするかをはっきりさせないまま、会議を終わらせてはいけません。
見込み客や顧客への対応については、それぞれの担当者が引き受けることになるでしょう。しかし、別の部門とのやり取りが必要な仕事、たとえば新しい販促活動について財務部門と相談する、見込み客獲得についてマーケティング部門と話し合う、などの活動については、責任者を指名します。これにより、重要な仕事が何もしないまま放置されるのを防げます。次回の会議で、どの活動について進捗報告が必要かも決めておきましょう。
営業は厳しい仕事です。何度断られてもめげない忍耐力が求められ、報われないことも多々あります。景気が後退すれば、見込み客の動きも鈍くなります。他にもさまざまな事情で、チーム全体や個々の担当者が苦境に立たされることがあるでしょう。
そのようなときこそ、リーダーは正面から課題に取り組み、チームと密にコミュニケーションをとる必要があります。リーダーが営業チームの働きに力をもらっていることを伝えれば、営業担当者の士気も高まるでしょう。難しい時期には、決起のために営業会議を活用しましょう。
好調な時期にも、チームの士気を高めるためにできることは数多くあります。ゲームやコンテストで成果を称える、マイルストーンの達成に賞品をつけるなど、前向きに仕事に取り組めるよう工夫しましょう。
困難を乗り越えられる、強い営業チームを築いてください。
結局のところ、営業リーダーにとって一番大切なのは、担当者が商談に全力で臨めるようにすることです。営業会議をうまく活用して、優先すべきことに目を向けさせ、高い生産性を維持させることが重要です。
営業担当者の時間は、一瞬たりとも無駄にできません。効率的な営業会議を心がけ、有意義な時間にしましょう。営業の生産性を高めるヒントについては、営業力強化塾 “安易な値引き”と“無駄な失注”をなくす3つの質問をご覧ください。