案件の進捗を確認する商談管理ミーティングは、上司にとっても部下にとっても、耐えがたい雰囲気になることがあります。そんな経験があるなら、やり方を変えてみませんか?商談管理ミーティングを改善するヒントを紹介していきます。
「商談の進捗状況を確認するミーティングが苦痛」。営業チームの上司も部下も同じ悩みを抱えていませんか?
商談管理ミーティングは、商談を成約に近づける方法を模索する場ですが、意味のない時間に終わることも少なくありません。原因は、売上データの不備、目標設定のズレ、準備不足、コミュニケーション不全、マネジメントスキルの不足など、いろいろ考えられます。しかし、精度の高い業績予測のためにも、この時間を有意義なものにする必要があります。
営業担当者と上司が毎週、または隔週で顔を合わせ、進行中の商談の状況を確認する場。成約の妨げになっていることと、その解消に向けて担当者と上司が取り組むべきことについて話し合います。
商談管理ミーティングを正しく機能させるのは、最上位の営業リーダーやCRO(最高収益責任者)の責務です。こうした上層部が、会議の枠組みや頻度をきちんと定め、営業担当者やその上司が力を発揮できる状況を整える必要があります。
幸い、これはそれほど難しいことではありません。効果的な商談管理ミーティングを実施するためのヒントを次に紹介します。営業リーダーの皆さん、必読ですよ。
二人の敏腕マネージャーによる前職での体験談をもとにSalesforce活用によって、どのようにムダが解消されたのかをご説明します。
商談管理の話し合いをグループ単位で行うのは、時間の無駄です。これをコーチングの場とみなし、うまく進まない案件を教材にして、チーム全体の学びにしようとする試みは、おそらく失敗するでしょう。メンバーはそれぞれ、自分の商談のことで頭がいっぱいだからです。
商談管理ミーティングは、各担当者と上司の1対1で行いましょう。お互いにとって、重要な商談だけに集中するのです。
ただし、複数の担当者が関わる案件の場合は、この限りではありません。上司は、関係者全員を集めて戦略を策定し、問題解決に取り組む必要があります。
不完全なデータは、営業の敵です。多忙な営業担当者には、旧式の顧客関係管理(CRM)システム上の情報を更新したり、細かいデータをいちいち入力したりする暇はありません。不完全なデータにもとづいて行われる商談管理ミーティングでは、見込み客の状況を正確に評価できません。この問題を解消するには、プロセスの自動化と、チーム研修の見直しが必要です。
忙しい営業担当者の負担を減らすために、AI対応のCRMを導入してワークフローを自動化し、データを手入力する機会を最小限にしましょう。たとえばSales Cloudなら、電話、メール、メモの内容がすべて自動で記録されるので、入力の手間を省けます。
それでも、手入力が避けられないこともあります。重要な情報はただちにシステムに登録するよう、営業担当者に徹底させます。さらに、上司が定期的にデータの入力状況を確認し、必要に応じて指導します。
もう1つ重要なのは、上司と現場の営業担当者が、CRM内の同じデータセットを見られるようにすることです。それぞれに異なるダッシュボードを見ていても、参照するデータが同じであれば、進行中の重要商談の情報を共有できます。
商談管理ミーティングの場で、担当者や上司がつい別の話をしてしまうことがあります。しかし、これは雑談をしたり、戦略を掘り下げたりする時間ではありませんし、研修やコーチング、会社の現状について話す機会でもありません。見込み客の商談の話に集中し、素早く30分以内で終わらせましょう。
上司から営業担当者に連絡事項がある場合は、メールやSlackを使います。記録を残す意味でも、話し合い後にメッセージを確認できるようにする意味でも有効です。
ミーティングの時間すべてを特定の商談に費やしてしまい、他の見込み客の商談についての話が手つかずになることがあります。これを避けるために、ミーティングの議題を決めておくことを推奨しています。たとえば、こんな具合です。
時間を無駄にしないために、営業担当者と上司は、商談に関して同じ指標を見るようにします。同じCRMダッシュボードを使うと、なお良しです。
大規模な企業改革の前に、まずは身近なところから取り組みませんか。
明日から変えていけるポイントを、“いま””この場で”学べます。
商談の進捗が滞る原因は、データが不完全であることだけではありません。よくあるのは、営業担当者が、商談を次の段階に進めるタイミングをわかっていないケースです。こうなると、話し合いは要領を得ないものになり、上司と担当者が、商談の状況について異なる見解を持つようになります。
こうした問題を未然に防ぐには、商談の進捗を管理するうえでの、各段階の完了条件を明確に決めておく必要があります。営業のプロがお勧めするのは、商談を次の段階に進めてよいかの判断に役立つ質問を、各段階で設定しておくことです。
たとえば、見込み客を「商談につながる可能性あり」から、「製品をデモで紹介する」の段階に進めるときには、次の質問を投げかけます。
3つの答えがすべてイエスなら、見込み客の商談の段階を「製品デモ」に進め、商談データを更新します。
商談管理ミーティングで一番大事なのは、何をしたかよりも、これから何をすべきかを明確にすることです。案件の妨げになっているものは何か。それを取り除くのは、誰の仕事か(営業担当者、上司、さらに上の経営幹部?)。どれに優先的に対処すべきか。これらの点を明らかにし、指標に結び付けることで、上司と担当者の両方が進捗を把握できます。
いくら商談管理ミーティングを行っても、営業担当者と上司が各々の責任を果たしていなければ、意味がありません。やるべきことが確実に遂行されるように、上司は、週の終わりに電話かメールで、担当者に確認を取る必要があります。
CRMで進捗を把握するのも効果的です。信頼できる唯一の情報源があれば、担当者の動きが一目でわかり、停滞している商談について、担当者に状況を確認することができます。
商談の進捗管理ってなんだ? – リードから成約まで、Sales Cloudで見込み客を管理する方法
上司は、常に契約獲得と売上拡大の重圧にさらされているため、商談管理ミーティングで営業担当者を追い込みがちです。成約への道筋について、担当者から欲しい答えが返ってこないと、上司は担当者を責めてしまいがちです。これはただの責任転嫁であり、担当者の不満を招くだけです。
時間を無駄にしないためにも、商談管理ミーティングの本質に立ち返りましょう。うまくいかない原因は、商談そのものにあり、営業担当者ではありません。売上目標を達成できない、欲しい答えを返さない、といった理由で担当者を詰めるのではなく、チームの問題として解決策を考えます。「なぜこうなったのか」と問い詰めるよりも、「一緒に何ができるか」を問いかける姿勢が大事です。
上司と営業担当者の1on1と、商談管理ミーティングを同じものだと思っている人がいますが、それはまったくの誤りです。
1on1と商談管理ミーティングは、分けましょう。ただしお互いの負担にならないよう、交互に行うのがよいでしょう。お勧めは、1on1と商談管理ミーティングを月に2回ずつ実施することです。四半期末が近づいたら、案件の進捗を確認するために商談管理ミーティングの回数を増やし、その分1on1を減らす手もあります。担当者の本来の仕事である、営業活動に専念する時間の邪魔にならないようにするために、SFA(営業支援システム)を活用することで、ミーティングを行わずとも上司が商談管理をリアルタイムに行うことができるような仕組み作りも検討しましょう。
商談管理ミーティングは、目標に向けて活動する営業チームに、欠かせない枠組みです。商談管理ミーティングを通じて、担当者は成約に必要なツールや情報を入手し、上司は精度の高い売上予測を立てられます。大切なのは、実際の行動につなげることと、本筋から離れないことです。商談を前進させるために必要な行動は何かを考えます。そうすることで、商談管理を健全に行い、予測精度を高め、目標を上回る成果を達成できます。
元記事執筆
Jeffrey Steen
米国Salesforce
シニアエディター
15年にわたりビジネスとマーケティングのライターとして活躍、セールスフォースではスキルアップコンテンツを専門に執筆。
営業の基本から従業員教育、リーダーシップのベストプラクティス、企業の成長戦略まで、あらゆる分野での制作に取り組んでいる。
編集・再構成
オカタケ ユウキ
株式会社セールスフォース・ジャパン
コンテンツエディター
ハードな体育会系から何故かSalesforceにやってきた異色の新人エディター。マーケティングはまだまだヒヨッコだが、何かと社内で「よろしく!」と頼まれがちな苦労人だったりする。(ニア)Z世代の風を社内に吹かせるべく、色々企んでいるらしい。