MVP アプローチは、新しいコマースエクスペリエンスを短期間で開発して運用するための方法です。この記事では、そのための正しい方法を紹介します。
Eコマースでは、特にタイミングが重要になります。発売が 1 日遅れたら、その分だけ収益を逃すことになるため、計画通りに業務を進めることが重要です。新しいEコマースエクスペリエンスを立ち上げるための最適かつ最速な方法はどのようなものでしょうか。それは、Eコマースにおいて MVP(実用最小限の製品)アプローチをとるという方法です。
Eコマースにおける MVP とは何でしょうか。MVP は、Eコマースにおける「ファストトラック」です。初期段階では、Eコマースビジネスを運営するための主要な機能を中心として土台の構築に取り組みます。土台が構築できたら、プロセスの改善、カスタマイズ、新機能の立ち上げへと段階的に進んでいきます。
単に顧客ポータルと注文を追跡する機能だけを MVP として開発する企業もあります。あるいは、店頭機能、商品検索機能、決済機能、注文管理機能などを MVP として開発する企業もあります。いずれにしても、短期間で ROI を達成する必要があり、すべての事項に適切に対応する時間がない企業にとって、MVP アプローチは画期的な方法です。
この記事では、MVP アプローチを短期間で適切に導入する方法を紹介します。
MVP による Eコマースプランを作成する場合は、機能に優先順位を付けることが非常に重要です。「絶対に必要な機能」と「あれば便利な機能」を、時間をかけて区別する必要があります。新しい Eコマースエクスペリエンスで、企業は何を重視し、顧客は何を重視するのでしょうか。ショッピングエクスペリエンスに共通する以下の側面について検討し、主要なステークホルダーから情報を得て、何が必要なのかを判断する必要があります。
多くの企業が、必要な機能の検討段階でプロダクトマネージャーを採用しています。このプロダクトマネージャーが、チーム間の連絡役として要件を収集し、機能の優先順位付けを行います。商品の発売後は、Eコマースプロダクトマネージャーが、最適なカスタマーエクスペリエンスを実現するための中心的な役割を果たすことになります。プロダクトマネージャーは、適切な機能、カスタマイズ、改善を提案して、最高レベルのエクスペリエンスの実現に取り組みます。
"MVP アプローチを成功させるためには、データ駆動型でアジャイルなアプローチにする必要があります。そのため、適切な KPI を設定し、サイトパフォーマンスの定期的なレビューを計画することが重要になります。"
MVP アプローチを成功させるためには、データ駆動型でアジャイルなアプローチにする必要があります。そのため、適切な重要業績評価指標 (KPI) (英語)を設定し、サイトパフォーマンスの定期的なレビューを計画して、状況に応じてリアルタイムに調整を行うことが重要になります。
一般的な KPI としては、カート放棄率(ショッピングを途中で停止するユーザーの多くが、カートを放棄することによってショッピングをやめています)、コンバージョン率、平均注文額などがあります。これらの指標が、次のステップの判断材料になります。たとえば、以下のような点について判断を行います。
KPI がビジネスの改善戦略の方向性を示すものであるとすれば、お客様からのフィードバックはその推進力になるものです。早い段階で頻繁にフィードバックを収集することにより、サイトにおけるショッピングエクスペリエンスの全体像を把握することができます。これにより、明確な方向性を持ちながら、どのような機能や改善に注力すべきかを判断することができます。つまり、堅牢なフィードバックループを構築することが、Eコマースで MVP アプローチを成功させるための鍵になります。
"フィードバックを待つだけでなく、積極的に行動することが重要です。"
フィードバックを待つだけでなく、積極的に行動することが重要です。ユーザーアンケート、購入後のメール送信、ライブチャットなどにより、リアルタイムにユーザーから回答を得ることができます。アンケートに回答したユーザーに対して、割引や少額の景品などのインセンティブを提供すれば、回答率が上がります。また、フィードバックによってショッピングエクスペリエンスを向上させるには、適切なタイミングで適切な質問を行うことが重要になります。
プロからのアドバイス:透明性を高めることが重要です。回答者の 84%(英語) が「アンケートの回答の用途を知りたい」と答えているにもかかわらず、75% 以上が「アンケートの結果や、アンケートにもとづく変更点について知らさせることはほとんどない」と答えています。そのため、「アンケート調査は、どのような新機能を追加する必要があるのか、どの機能を改善する必要があるのかを判断する目的で実施される」ということをユーザーに伝えれば、より正確な回答を得られる可能性が高くなります。
お客様のフィードバックが重要な理由は、以下のとおりです。
Lauren Wallaceは、Commerce Cloud担当の編集責任者です。多くの業界のB2CおよびB2B企業向けに記事を執筆しており、直近ではサイバーセキュリティやヘルスケアについて論じています。コマース関連の執筆活動以外では、サンディエゴ周辺でランニングやサイクリングを楽しんでいます。。