Salesforceの第2版『ヘルスケア業界の顧客動向』レポートによると、信頼は、「ないよりはある方がまし」といった程度のものではなく、医療業界全体でもはや不可欠なものになりつつあることが明らかになりました。

最近、サンフランシスコで開催されたDreamforceの基調講演(英語)において、Salesforceの共同CEO兼会長であるマーク・ベニオフは、「顧客の信頼を得るためにはどうすればよいか」という極めて重要な問題について、自身の見解を述べました。 

世界は現在、信頼の危機に瀕しており、すべての企業が対策を講じなければならないとベニオフは言います。事実、Edelman社の2021 Trust Barometer(英語)によれば、昨年、ほぼすべての業種において顧客の信頼は低下しており、医療も例外ではありません。医療およびライフサイエンスの業界における信頼のコストはとりわけ高く、信頼関係がワクチンの接種と非接種、健康と病気、さらには生死を分けることさえあります。 

こうした人間の生命に関わる業界における信頼の役割、また医療機関の新たな取り組みをさらに深く理解するために、Salesforceは13か国の1万2,000人の消費者を対象に調査を実施し、最新版のヘルスケア業界の顧客動向レポートを作成しました。 

レポートの重要ポイントをいくつかご紹介します。

 

顧客からの信頼度は業種によって異なる

パンデミックは、あらゆる医療機関やライフサイエンス企業に影響を及ぼしましたが、2021年における顧客の信頼度は業種によって異なります。医療従事者に対する好感度の高さからもわかるように、顧客からもっとも高い信頼を得ているのは医療機関であり、85%の顧客が医療機関をある程度または完全に信頼していると答えています。 

Salesforceの最新版『ヘルスケア業界の顧客動向』レポート(英語)によると、
特定の医療機関を信頼している顧客ほど、医療以外の関連性の高い情報も
進んで共有していることがわかります。

 

製薬会社は、米国食品医薬品局から初めて認可を得たmRNAワクチンを世に送り出すなど、パンデミック期間中に素晴らしい技術革新を成し遂げたにもかかわらず、顧客からの信頼度は他のどの業種よりも低い水準にとどまっています。製薬会社を信頼していると答えた顧客の割合は58%にすぎません。処方薬を使用している人の中で製薬会社を完全に信頼していると答えた人はさらに少なく、10人に1人にとどまります。

 

信頼の度合いが消費者の行動と関心に影響を与える

信頼は、「ないよりはある方がまし」といった程度のものではありません。それによって、顧客が期待どおり具体的な行動を取ってくれるかどうかが決まるのです。Salesforceの調査によると、特定の医療機関を信頼している顧客は、食事習慣や交通手段など、医療以外の関連性の高い情報を進んで共有する可能性が極めて高いことがわかりました。これは、保険会社、医療機関、医療器具メーカー、製薬会社などすべてに当てはまる傾向ですが、とりわけ製薬会社において顕著な差が生じています。

Salesforceの最新版『ヘルスケア業界の顧客動向』レポート(英語)によると、
特定の医療機関を信頼している顧客ほど、医療以外の関連性の高い情報も
進んで共有していることがわかります。

 

さらに、製薬会社を信頼していない顧客と比較すると、信頼している顧客の方が、服薬のリマインダーや患者サポートプログラムへの登録など、さまざまな医療サービスの利用にも積極的な関心を示しています。

例を挙げましょう。処方薬を服用中の患者のうち、製薬会社に全幅の信頼を置いている人の71%は「自分の病気や状態に関する情報を製薬会社から得たい」と回答しています。一方、製薬会社を信頼していない患者の中でそのように回答した人の割合はわずか27%です。多くの人が、製薬会社よりも医師や家族、さらにソーシャルメディアの方が信頼できると考えています。実際に、48%の顧客は依然として、医療業界が消費者よりも自社の利益を優先していると感じています。

だからこそ、製薬会社の営業担当者が医療機関と連携するなどして、さまざまなチャネルを駆使して信頼関係を構築することが非常に重要になります。

ノバルティス社のチーフテクノロジー変革オフィサー、Liz Theophille氏は次のように指摘しています。「新型コロナウイルスの影響で、これまで未開拓だった領域におけるテクノロジーの受け入れが急速に進んでいる現状を踏まえると、医療機関とのデジタルエンゲージメントを推進することが重要です」。

信頼が重視される今日の新たな状況においては、さまざまなチャネルで顧客との信頼関係を構築する能力が不可欠なのです。

 

パーソナルな対応を行う医療機関が信頼される

健康とは、単に血圧やBMI指数の問題ではありません。社会経済的地位、交通の便、食生活、ヘルスリテラシーなどあらゆる社会的決定因子が影響を及ぼします。

 

"71%の医療顧客が、社会的、経済的、環境的な要因にも対応してくれるケアを望んでいます”"

---2021年『Salesforceヘルスケア業界の顧客動向レポート』

 

個人の医療および非医療上の健康要因に応じてサービスをパーソナライズしている医療機関は、顧客との信頼関係を深めています。たとえば、信頼度の高い医療機関のうち、患者に医療以外のことで何か要望がないか尋ねる医療機関の割合は、信頼度の低い医療機関よりも2倍高いことが、Salesforceの調査によって明らかになっています。このことから、医療機関が信頼を得るには、顧客を包括的に理解することが重要だということがわかります。

 

"パンデミックの影響で、多くの患者が日常的な医療を受けることが難しくなっているため、患者の容体の変化を見過ごすことのないよう、絶えず連絡を取ることが重要です。しっかりとしたコミュニケーションを行うには、パーソナライズされたタイミングの良いメッセージが必要です”"

---Katie Logan氏、Piedmont Healthcareチーフカスタマーオフィサー

 

実際、97%の顧客は、パンデミックのさなかでも自分の健康状態をフォローアップしてくれる医療機関を重視すると答えています。 

医療およびライフサイエンス分野の企業が信頼を強化するための業種ごとのインサイトについては、第2版『ヘルスケア業界の顧客動向』レポートをダウンロードしてください。 

 

詳細な情報 
 

  • 詳細なインサイトについては、『ヘルスケア業界の顧客動向』レポートの全文をダウンロードしてご確認ください。ダウンロードの際は、お客様情報のご登録をお願いいたします。

  • 業種別や国別などでデータを表示するには、Tableau(英語)をご利用ください。

  • SalesforceのDreampassおよび医療や安全に関する革新技術の詳細については、こちら(英語)をご覧ください。

 

調査方法
 

本レポートのデータは、二重盲検法による2回の調査結果にもとづいています。本調査は、2021年8月10日から9月10日に実施され、北米、南米、欧州、アジア太平洋地域の顧客6,027人から回答が寄せられました。補足情報は、2021年6月16日から7月13日に実施された調査によるものです。この調査では同地域の6,243人から回答が寄せられました。

過去5年以内に自身の健康問題に関して医療サービス機関を利用した顧客には、各医療機関を通じて調査が実施されました。過去5年以内に健康保険に加入していた顧客には、保険会社を通じて調査が実施されました。過去5年以内に薬を処方された顧客には、製薬会社を通じて調査が実施されました。過去5年以内に医療デバイスを利用した顧客には、医療器具メーカーを通じて調査が実施されました。