注文管理システム(OMS)は、注文をカートから顧客まで届けるための、複雑なビジネスロジックの導体として考えることができます。

Eコマースで一番気持ちが高ぶるのは、玄関口で荷物を受け取る瞬間です。消費者にとって、商品の到着は待ちに待ったゴールです。企業にとって、注文処理は収益性と継続性を意味します。では、注文管理とは何でしょう?それは、この体験を可能にするために欠かせないものです。

 

 


注文管理は複雑なプロセスであり、販売店が顧客に対するブランドの約束を果たす決定的な瞬間をもって完結します。顧客が購入ボタンをクリックするか決済すると、注文管理システムによって商品の配送が開始されます。

お気に入りのジーンズが玄関先まで届いたり、近くの店舗に保管されたりするまでのジャーニーを思い浮かべてください。一連の複雑な手順と相互につながった要素がすべて連携することで、最終的にそのジーンズを手にする「待ちに待った」瞬間が訪れます。ジーンズやその他さまざまな商品の注文の処理プロセスによっては、ブランドと顧客との関係を築くか壊すかの分かれ目になることもあります。

 

では、注文管理とは何でしょう?

注文管理システム(OMS)は、購入ボタンを押した後に動作します。OMSには、注文処理に必要なそれ以降のすべてのプロセスや人、システム、パートナーシップなどが関与しています。OMSは、注文、顧客レコード、処理、在庫の可視化、支払と請求、そしてカスタマーケアを管理するプラットフォームです。しかし、最新の注文管理システムの基盤はさらに先を行っています。

顧客は、決済から注文の受け取りまで、全体のプロセスがシームレスに進むことを期待しています。注文ステータスにも完全な透明性が求められています。消費者やB2Bの購買担当者は、輸送中に問題が発生していないかどうか確認できることや、商品の場所に透明性があること、返品手続きが面倒でないことも望んでいます。

 

顧客が購入ボタンを押した後のプロセス

かつて注文管理システムは、バックオフィスのシステムとして扱われ、通常は社内の物流部門が担当していました。しかし、顧客中心(英語)の経済では、注文管理は顧客体験全体の中心となる重要な位置を占めるため、これではうまくいきません。認知度の向上、マーケティング、サイトでの体験、購入の検討を促す、新規顧客の獲得、コンバージョンなど、顧客管理(CRM)(英語)ライフサイクルでのブランドのあらゆる取り組みが、顧客が購入ボタンを押すこの一瞬につながります。つまり、注文管理こそが、価値交換においてもっとも重要な瞬間なのです。価値交換(提供した商品やサービスに対してお金を受け取る)の最後に失敗してしまうと、そこに至るまでの取り組みはすべて意味を持たなくなってしまいます。注文管理システムは、そのブランドの約束を果たす必要があるのです。

顧客が購入ボタンを押した後のプロセス買い物客が決済を開始すると、注文の処理に必要な複雑な「ダンス」が始まります。店舗では、最大39の異なるシステムとやり取りして注文を完了します。もっとも一般的なものは、税務、支払、不正検知、在庫管理、会計、エンタープライズリソースプランニング(ERP)、配送などの各システムです。それぞれのプロセスを、順を追って見ていきましょう。

 

1.在庫数を正確に把握して、在庫切れや在庫過剰にならないようにする

商品によって出荷元が異なったり、複数の倉庫や配送センター、ショールーム、店舗、さらには第三者にも商品が分散していたりすることもあるため、在庫を把握しておくことで出荷元を特定することができます。
 

2.在庫を確認したら、注文の転送を確認する

商品や出荷は標準のものですか?それとも、特定の倉庫に転送するカスタマイズプロセスがありますか?特別注文の場合、チームはパーソナライズされた商品を手動で準備する手順が必要になることもあります。
 

3.次に配送を連携させる

ロイヤルティと信頼を得るには、スピーディかつ柔軟な配送オプションを用意することが重要です。実際、買い物客の57%(英語)が、当日配達を提供しているブランドにロイヤルティを感じると述べています。B2Bの購買担当者の期待も高まってきており、消費者と同じオプションを期待するようになっています。2020年には、オンラインのB2Bの注文が、世界で44%増加しました。
 

4.最後に、配送する

梱包、配送準備が完了し、支払が確認できたら、商品が顧客に配送されます。

注文管理は、B2CとB2Bの両方の顧客のための、フルフィルメントの流れの各ステップを支える中枢です。これは、注文をカートから顧客まで届けるための、複雑なビジネスロジックおよびワークフローの指揮者として考えることができます。
 

 

優れた注文管理で顧客体験に変革を起こす

卓越したショッピング体験を実現するうえで中心となるのが、注文処理です。次世代型の注文管理システムは顧客中心であり、フロントオフィスに欠かせない存在なのです。その理由は、ショッピングジャーニーのこうした瞬間が、顧客を不快にさせるか感動させるかを決めるからです。これらは、顧客が取引を完了させてロイヤルティの高い顧客になるか、競合他社に流れるかの決め手になり得るのです。ここで、こうしたステップの一部を見ていきましょう。
 

柔軟な配送/配達オプションを提供する

顧客は、都市部での1時間での配送から、週末配送、店舗受取、翌日配送まで、配送や配達に柔軟性を求めます。そして、これらのオプションが商品ページに明確に掲示されていることを期待しています。
 

場所などの商品の正確な在庫状況を掲載する

商品をカートに入れた後で在庫切れメッセージを表示して、顧客を落胆させたり、ストレスを与えたりすることがないようにしましょう。企業の購買担当者にとっては、「時は金なり」です。在庫切れの商品の購入に使った時間は、すべて無駄になります。商品が在庫切れや品薄になっている場合は、その旨を商品ページに掲示して、顧客が在庫を正確に把握できるようにします。
 

セルフサービスによる注文状況の確認と返品を提供する

注文状況や配達予定日の最新情報を、顧客がSMSやメールで受け取れるようにしましょう。また、顧客自身が配送に関する変更もできるようにしましょう。返品についても、返品用のラベルの印刷や、どこでどのように返品するかを選ぶなど、セルフサービスでできるようにします。
 

サービス担当者や営業担当者を支援する

サービス担当者や営業担当者は、顧客体験の最前線で対応します。最前線の担当者は、注文に関する問い合わせに対してさまざまな方法で顧客をサポートしなければなりません。そのためには、注文と顧客アクティビティについての完全な可視性が必要になります。テクノロジーを活用して、顧客の代わりに注文したり、既存の注文の発送/配送を変更したりできるようにしましょう。

注文管理システムの連携がサプライチェーン全体を統率することで、卓越した業務を推進することができるのです。顧客ライフサイクルにおけるブランドのあらゆる取り組みが、この顧客との価値交換の瞬間につながっていきます。
 

 

注文管理システムを始める

OMSは、注文を処理するだけではありません。ERPやCRM、販売、サービス、コマースなど、購入後の体験に影響を与える顧客向けのシステムを統合します。OMSにより、関係者全員が統一されたプラットフォームであらゆる情報にアクセスし、利用できるようになります。Salesforceではこれを、顧客中心の注文管理と呼んでいます。当社は、世界規模のオムニチャネルジャーニーに対応した柔軟なOMS、Salesforce Order Managementでこの大変革を促進します。Salesforce Order Managementは、Salesforce CRMの完全なデータレコードと連携し、Commerce Cloudにあらかじめ接続されています。また、Service CloudSales Cloudをネイティブにサポートし、顧客の注文履歴と取引履歴の両方を1つのビューで見ることができます。また、数千におよぶ組み込み済みコネクターをサポートするエコシステムの一部であり、価値実現までの時間の短縮、そして何より、顧客満足度の向上に力を発揮します。

 

 

 


 

Luke Ballは、製品管理担当バイスプレジデントです。Salesforceでの在職中、Marketing CloudのSocial Studio、ChatterおよびExperience Cloud、PlatformのSearchのほか、現在はCommerce CloudのOrder Managementを担当するなど、さまざまな分野の製品/ユーザーエクスペリエンスを統率してきました。Lukeはカリフォルニア州バークレーで、妻と2人の娘、ラブラドールレトリバー、それにミニバンと共に暮らしています。

Lukeのほかの記事 (英語)