マーケターは常に変化の最前線に立っています。数か月前には、イノベーションを促進し、あらゆる業界、地域、カスタマーエクスペリエンスに破壊的な変革が生じつつある新時代を一歩先んじることに焦点が置かれていました。人工知能(AI)のようなテクノロジーの台頭と顧客の期待値の高まりとが、大きなチャンスを開くと同時に、大きな課題をもたらしていました。
そして今、マーケターは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大というさらに大きな変化に直面しています。新型コロナウイルス危機によりソーシャルディスタンスを強いられている今、私たちはすべてを考え直す必要に迫られています。
本日公開された第6版『マーケティング最新事情』には、世界各国の約7,000人のマーケティングリーダーから得られたインサイトが掲載されています。この調査から、マーケティングを変革する戦略的最優先事項、課題、テクノロジーが明らかになりました。ビジネスが危機を乗り越えて再始動し、成長へ向かう際、この情報がとりわけ重要な意味を持ちます。
ここでは、レポートに示されている4大ポイントについてご紹介します。
この調査から、顧客が企業のマーケティングに求める期待値が引き続き上昇していることがわかりました。消費者と法人の購入担当者に関する別の調査によれば 84%の顧客は、企業が提供する体験は製品・サービスと同じくらい重要だと答えています。そのように回答した顧客の割合は、80%だった2018年よりも上昇しています。
マーケターは、顧客の需要に応え、リアルタイムの顧客体験に取り組んでいます。第3版『 コネクテッドカスタマーの最新事情』調査によれば、顧客の71%は取引の開始から完了までに複数のチャネルを用いています。顧客は動的なやりとり、つまり前回使用したチャネルでの行動が次に使うチャネルのコンテンツに反映されるようなやりとりを求めるようになりました。コンテンツをチャネル間で動的に変えていると回答したマーケターは、3分の1にも満たなかった2018年(31%)と比べ、今回初めて半数を上回りました(51%)。
84%の顧客が、
企業が提供する体験は、
その製品やサービスと同じくらい重要だと答えています。
しかし、まだ改善の余地は残されています。リアルタイムの顧客エンゲージメントは、マーケターにとって最大の課題です。69%が、従来型のマーケティングの役割は顧客エンゲージメントを制限していると回答しています。カスタマーエンゲージメントの成功に欠かせないマーケティングとITの2つの部門が連携していないという問題もあります。72%のマーケターがITチームと連携していると回答しているものの、別の調査でITチームのリーダーは(英語)ビジネスユニットとの連携不足が最大の課題だと回答しています。
これらは、新型コロナウイルスの感染拡大が起こる以前から大きな課題でした。マーケティングリーダーは、イノベーションを最重要課題に挙げており、第2位がリアルタイムのエンゲージメントです。今後の時代は、デジタル変革がビジネス成功の鍵を握ります。そうした中で、これら2つの課題は、以前にもまして重要性が高まっています。マーケティングの変革者は、さまざまなデジタルタッチポイントを通じて顧客にエンゲージする新しい方法を模索しています。2018年以降、マーケターはモバイルアプリの使用が34%増え、動画の使用は21%増加したと回答しています。
かつて人工知能(AI)は過熱気味の流行語でしたが、今では現実的なインパクトを与える存在です。マーケターの84%がAIを活用していると回答しており、2018年の29%から増加しました。この2年間での増加率は186%という目を見張るものです。
世界が危機的状況にある中、共感マーケティングのための顧客データの活用が注目を集め、顧客のニーズの変化を正確に把握することが不可欠になりました。AIはマーケターがデータからインサイトを抽出してアクションを起こし、この種のパーソナライズを大規模に進めていく上で、大きな力になっています。
多くのマーケターがこの戦術を導入しており、78%がデータ主導型のカスタマーエンゲージメントを行っていると回答しています。多数の顧客データソース(平均で12種類)が活用されており、そのトップ3は、取引データ、公表されている興味や好み、既知のデジタルIDです。
マーケターの84%がAIを活用していると回答しており、
2018年の29%から増加しました
利用可能なデータが増加するにしたがって、データを管理するプラットフォーム数も増加しています。現在、マーケターが使用しているデータ管理ツールの数は平均で6つですが、2018年には3つでした。データの一元化と有効活用が課題のトップ5に挙げられているのはこの増加が原因です。
このトレンドは世界中に影響を及ぼしています。たとえば、オランダでプロジェクトに携わるマーケターは、プロジェクト強化のために使用するデータソース数が2021年には現在の世界平均の50%増になると予想しています。また、世界のテクノロジー業界において、今年、マーケターは全業界の平均値よりも60%多くのデータを活用することを計画しています。
今やB2Bの顧客もB2Cの顧客と同様の共感やエンゲージメントを求めるようになりました。B2Bマーケターは、データとAIによるアカウントベースドマーケティング(ABM)によってこの課題を克服しようとしています。マーケターは、ABMを使って最重要のアカウントと連動する、高度にパーソナライズされた複数のキャンペーンを展開しています。ABMを使うことは顧客関係から生まれる顧客生涯価値(LTV)の向上にもつながります。
現在、92%のB2Bマーケターが
ABMプログラムを導入しています
現在、92%のB2BマーケターがABMプログラムを導入しています。64%のマーケターが過去5年間以内に導入していることからも分かるように、ABMプログラムの台頭はつい最近の現象です。しかし、このプログラムはより高度なものに発展し、68%は自動化を導入しています。
次に市場に起こるのは何でしょうか。来週何が起こるかすら正確に予測することは難しいのに、来年の予測など誰にも不可能です。しかし、新型コロナウイルスの影響で、企業が顧客とつながり、顧客の望むタイミングでニーズを満たすことに注力しなければならなくなったことは良い傾向です。そのおかげで、Salesforceが長年提唱してきた(英語)たくさんの新しい考え方が市場に浸透しました。このイノベーションの最前線に立つのがマーケターです。実際、全社的なカスタマーエクスペリエンスイニシアチブを主導する立場にあると回答しているマーケターは79%に上ります。
マーケターは、今後10年間で新しいテクノロジーや社会の発展が大きな変革をもたらすだろうと予測しています。たとえば、オンラインアクセス人口の世界的な増加、5Gネットワークの導入、仮想現実の浸透が進むでしょう。マーケティングリーダーの60%は、今後10年間で5Gがマーケティングに大きな影響をもたらすと考えています。高速接続が普及すれば、仮想現実などの他のイノベーションがカスタマーエクスペリエンスに占める割合が拡大します。マーケティングリーダーの60%は、今後10年間でこれまでオンラインに接続できなかった何百万人もの人々がアクセスするようになると予測しています。
変化を乗り越え、ビジネスを再び軌道に乗せてさらに成長を加速していくには、次世代テクノロジーと堅実な事業戦略をいかに組み合わせるかが鍵を握っています。
レポート全文をダウンロードして、今年の『マーケティング最新事情』の調査結果をご確認ください。また、Webセミナー(英語)にもあわせてご参加ください。これらの調査結果が何を意味するのかを具体的に解説します。