中小企業が成長するにあたり、いま最も経営課題となっているのが、人手不足問題ではないでしょうか。労働生産人口は減少の一途をたどっており、人手不足感は全業種にわたって慢性的になっているうえ、この状態が恒常化する可能性もあります。

(出典:日本政策金融公庫「2018年の中小企業の景況見通し」をもとに弊社にてグラフを作成)

このため、企業が成長するためには、限られた人員でさらに効率的、効果的に働くことが必須となります。中小企業庁の2017年3月に開催された「中小企業・小規模事業者の人出不足対応研究会(第5回)」では、中小企業の場合、会社のビジョンやミッションについて明確に言語化されていないことが多いと指摘されています。

そこでSalesforceでは、中小企業経営者に対するアンケート調査を行いました。特に起業してから壁になりやすい「年商2億円」を境にして、年商2億円までの企業と、2億円以上になった企業との違いを比較してみました。(詳しくはこちら

年商2億未満では、約6割の企業が中長期ビジョンを策定できていない

実際本調査においても、中小企業庁の研究会で指摘されたとおり、年商2億円未満の企業では59.7%と約6割の企業が中長期のビジョンを策定していないことが明らかになりました。一方で、年商2億円以上の企業では61.6%が中長期のビジョンを策定していることがわかりました。さらに中長期ビジョンを社内で明示しているかどうかをたずねたところ、年商2億円以上の企業では69.8 %と約7割の企業が明示していることが分かりました。

年商2億円の関門を越える!

個人商店の集まりから、成長できる組織へ転換

清陽通商はアパート、マンションなど収益を生む物件の仲介業務に特化した不動産会社。仲介業務におけるインターネット活用にいち早く着手してきたことでも知られています。しかし当初、同社では顧客情報の管理をすべてスプレッドシート上で行っていたため、次のような課題を抱えていました。

  • 営業担当社のみが顧客情報を保有し、かつ共有されないため、全社で顧客に的確な物件が提案できない
  • 担当営業しか商談状況を分かっていないため、商談が進んでいるのか、停滞しているか不明なため、売上が読めない
  • 担当者がどういった営業活動を実施しているか分からず、営業レベルの底上げおよび新人の立ち上がりに時間がかかる

このような課題を解消すべく、新システム導入に向けた検討に着手。2015 年に導入を決めたのが顧客管理ツールであるSales Cloudでした。

「実際に他のツールを導入し、その活用をめぐるさまざまな課題に直面して、あらためて検討を重ねたところ、最終的に落ち着いたのが、顧客管理(CRM)やマーケティング支援(MA)の領域で評価を得ているSalesforceでした」と栗本氏は振り返ります。

清陽通商株式会社 代表取締役 栗本 唯 氏

Sales Cloud導入後は、顧客(売主、買主)、商談、物件情報を一元管理して、情報検索が容易にできる体制を整えました。また商談状況をリアルタイムに把握することで、営業目標未達のリスクを軽減することができるようにもなりました。さらに営業活動が見える化できるため、営業担当者に合わせた教育を行うことで、営業活動の底上げにもつながりました。

反響数(問い合わせ数)30%増加、売上は42%拡大

2016年8月には、マーケティングオートメーションとしてPardotを導入。Sales Cloudによる基盤を整える一方、Pardotの機能を活用することにより、マーケティング施策を通じて、営業活動の精度向上を実現していきました。

Sales CloudとPardotをあわせて活用することにより、次のような効果を得ることができました。

  • 顧客に関わる複数の情報を統合することで、ホットな顧客を抽出し、効果的な営業アプローチを実施
  • 顧客のWEB利用動向を追跡できるようになり、反響数(顧客からの問い合わせ数)が30%増加し、さらに売上も42%拡大
  • 1日30件入ってくる問い合わせ情報をデータベースに取り込むことや、メール返信を自動化することで、営業事務の業務工数を30%削減

Salesforceの活用が現場に浸透するなか、清陽通商では営業担当者が顧客のニーズをしっかりと見据えたアプローチがとれるようになるという成果を上げています。

「特に営業事務に当たる担当者の業務スピードが、体感的には30%程度向上するなど、営業現場全体での生産性が大幅に高まっています」と栗本氏は強調。同社ではSalesforceを基盤に、さらなる営業品質のブラッシュアップ、業務効率の改善を目指しています。(事例の詳細はこちら