景気後退の兆しが見えると、最初にマーケティング活動の予算が削減されるというのはよくあることです。しかし、すべてのマーケティング予算が同じように策定されるわけではありません。Webサイトのパーソナライゼーションに取り組むことにより、経済的な状況に関係なく、ビジネスにとってメリットをもたらすことができます。
Webサイトのパーソナライゼーションに取り組むべき理由はいくつかあります。まず初めに、現在のお客様は、アクセスするすべての企業のWebサイトでパーソナライズされたエクスペリエンスを期待しているということです。Amazon、Google、Netflixなどの企業はこの10年間で、テクノロジーとデータを活用することにより、シームレスで魅力的なカスタマーエクスペリエンスを提供できることを実証しました。
Netflixでは、数多くのTV番組や映画を視聴できますが、パーソナライズされたエクスペリエンスの目的は、こうしたコンテンツを提供するだけではありません。このほかにも、ユーザーの好みに合わせてストリーミングサービスのホームページを継続的に調整するという目的があります。これが、Webサイトの優れたパーソナライゼーションの例です。私は、こうしたWebサイトは期待を込めて繰り返し利用します。
それは、私以外の人にとっても同じことでしょう。Salesforceのコネクテッドカスタマーの現状に関するレポートでは、回答者の84%が、「ビジネスで成果をあげるためには、顧客を数字ではなく人間として扱うことが非常に重要」と答えています。また、一貫性のないエクスペリエンスや、必要なものがなかなか見つからないということに対しても、消費者は不満を抱えています。Webサイトは、多くの企業にとって事実上のデジタルエクスペリエンスになっています。企業に対するお客様の印象が形成される最初の場所がWebサイトなのです。
現在の消費者は、エクスペリエンスに対して高い基準を設けています。その基準に従って、アクセスしたWebサイトで商品を購入するかどうかを判断しています。そのため、ほとんどの企業にとって、Webサイト上のエクスペリエンスをパーソナライズするのは必要不可欠なことなのです。
悪化する経済環境においてWebサイトのパーソナライゼーション(英語)が重要である理由を3つ紹介します。
多くの企業が、全体的なマーケティング費用において、新規顧客に対する自社のブランドや製品の認知度向上を目的とした「トップオブファネル」活動に最も大きな割合を割り当てています。この活動としては、広告やスポンサー、キャンペーンなどがあります。
経済状況が低迷している場合は、最初にこうしたマーケティング活動の予算がカットされることがよくあります。
多くの経営者が、「お客様の消費意欲が強くない場合は、状況が好転するまで、お客様を獲得するための対外的なマーケティング活動を減らした方がよい」と考えています。これは、景気低迷時のコスト削減策としては効果的ですが、コストを削減したことにより、自社のWebサイトにアクセスする見込み客も減少することになります。
サイトへの訪問者数が少なくなるほど、一人ひとりの価値が高くなります。単純に考えた場合、サイト訪問者数の減少を補うためには、訪問者のコンバージョン率を高める必要があります。ユーザーがリピートしたくなるようなパーソナライゼーションを行うことにより、サイト全体のコンバージョン率を高め、訪問者数の減少を補うことができます。
以前は、それぞれのお客様に合わせたエクスペリエンスを提供することは不可能だと考えられていましたが、今は違います。その方法をご紹介します。
現在は、マーケティングチームのスリム化が主流になっています。そのため、これからのマーケティングチームは、より少ない人数でより多くの成果をあげることが必要になってきます。各種プロセスの合理化と組織体制の改変が求められています。
マーケティング担当者がこうした新しい要件に対応するための最も適切な方法は、すべてのお客様とのやり取りを自動化するという方法です。Webサイトのパーソナライゼーションエクスペリエンスを自動的に作成することにより、プロセスの効率化に取り組む姿勢をわかりやすい方法で示すことができます。これは、ページやデザインテンプレートを頻繁に更新するよりも効果的です。
何度もサイトにアクセスする訪問者のコンバージョンを待つ場合と比べて(結局コンバージョンにはつながらない場合もあります)、自動化の場合は1回のサイト訪問でコンバージョンとアップセルにつながる可能性があるため、非常に効率的な方法です。たとえばSalesforceの場合、パーソナライゼーションを使用して、SalesforceのWebサイトを訪問するすべてのユーザーに合わせたエクスペリエンスを提供しています。これにより、訪問者が興味を持っているコンテンツが表示されます。このエクスペリエンスは、再訪問のたびに適切なコンテンツが表示されるように設計されています。
新しいお客様を獲得するための予算が削減された場合、既存のお客様との関係を深めることが大きな価値を持つようになります。
こうしたお客様とは、すでに良好な関係が構築されているでしょう。これからは、その関係をさらに深めていく必要があります。「現在のお客様との良好な関係構築に取り組んでいる」ということを示す最適な方法は、「お客様のことは理解しています」という姿勢を示すという方法です。
これは、非常に簡単なことです。訪問者がサイトにアクセスしたときに、その訪問者に関連するコンテンツやキャンペーンを表示するだけです。リピーターに対してパーソナライズされたエクスペリエンスを提供することは、実店舗において「いつもありがとうございます」と挨拶をするのと同じことです。これは、お客様一人ひとりの生涯価値を高めることに大きく役立ちます。
このパーソナライズされたエクスペリエンスは、サービスの提供やセールス活動など、お客様とのすべてのタッチポイントで提供する必要があります。カスタマーエクスペリエンスに関する重要なデータを組織全体で共有することが、お客様との長期的な関係構築につながります。
ここで説明したWebサイトのパーソナライゼーションにおける重要なポイントを押さえながら、現在の厳しい経済環境を乗り越えてください。お客様との良好な関係を築くことにより、短期間で財政状況を改善することができます。
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Paul Cordasco
Paul Cordascoは、Marketing Cloud PMMチームのプロダクトマーケティングディレクターです。2016年のKrux社の買収により、Salesforceに入社しました。最初のキャリアは、ジャーナリズム分野でのキャリアでした。
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