ネイティブのモバイルアプリのようなスピード感を大勢のオンラインオーディエンスに提供する技術
Progressive Web App(PWA)を構築しないブランドには、次のような最悪のシナリオが待っているかもしれません。「隔離生活中、料理に興味が出てきた私は、新しい調理器具をネットで探していました。あるサイトにたどり着いたのですが、ずっと読み込み中。だから、すぐに別のブランドのサイトへ移動し、そこで買い物を終えました」数千から数万の買い物客がこの出来事を体験しているとしたら、売上と顧客ロイヤルティの両方に莫大な打撃を与えることになります
買い物客は、パフォーマンスの低いオンライン体験(英語)にすぐに見切りをつけます。特にモバイルの場合はそれが顕著で、2020年第3四半期には、カート放棄率が過去最高の88%(英語)に達しました。また、探しているものにたどり着くまでの手順が多すぎる場合も、買い物客が立ち去る可能性は高くなります。それどころか、買い物客は、お気に入りのアプリに期待するのと同じくらい夢中になれるブランド体験を期待しています。
PWAを導入すると、ブランドはデバイスを問わず、ブランドのWebストアフロントからアプリと同様のスピーディな体験を提供できます。事実、従来のレスポンシブサイトと比べ4倍も高速(英語)です。そこで、PWAを検討する際に生じやすい疑問を以下にまとめました。
Eコマース担当者のほとんどは、PWAをモバイルストア用ツールと考えています。PWAは数年前にそうした目的で使われ始めました。しかし、さまざまな種類のソースコードを管理するために、Eコマースチームは、多大な時間とリソースを消費しなければなりませんでした。そのため、テクノロジーが急速に進化し、1つのコードベースでモバイル、タブレット、デスクトップに対応できるようになりました。
今日のPWAは、アプリのようにさくさくと動作するWebサイトであり、コンバージョン率の向上とSEO対策の推進につながります。その仕組みは以下のとおりです。
PWAは、Salesforce Commerce Cloudプラットフォーム(英語)で簡単に構築できます。このプラットフォームでは、テンプレートや組み込みのベストプラクティスを備えるCommerce PWA Kitが利用できるため、すぐに構築を始められます。
もっとも多い質問は、「PWAとネイティブアプリのどちらを使用すべきか」というものです。答えは「どちらか一方を選択しなくても良い」です。ビジネス目標に応じて決めれば良いのです。
PWAがあれば、アプリのような(レスポンスが高速で訴求力がある)体験を、大勢のオンラインオーディエンスに提供できます。スピードの観点から、Webサイトのパフォーマンス向上、SEO改善、コンバージョン率の向上に最適なオプションと言えます。
一方、ネイティブアプリは、ロイヤルティがもっとも高い顧客ベース(かなり小規模なオーディエンス)のエンゲージメントを高めたい場合や、デジタルと実店舗のジャーニーに連動性をもたせたい場合に最適です。こちらはより多くのリソースを消費しますが、このようなユースケースにはぴったりのオプションです。
PWAを使用することで(英語)、Webストアのオンラインショッピング体験を確実に高速化できます。直帰率が低下し、次に示す指標が改善する可能性があります(英語)。
オンラインストアを改善するためにPWAの導入を検討している場合は、追跡対象となる指標を考えましょう。そうすれば、必要なイベントを確実に追跡して評価することができます。
ユースケースを見てみましょう。Under Armour社(英語)の場合、モバイルでのコンバージョン率と平均注文額が低かったため、実際の収益は訪問者数から期待される額よりも1億1,500万ドル少ない状態でした。スポーツウェアとフットウェアを扱う同社は、Commerce Cloud(英語)をMobify(英語)(現Salesforce傘下)と組み合わせて活用し、26の国際市場でPWAを展開しました。A/Bテスト(英語)の結果、従来のレスポンシブサイトに比べてコンバージョン率が76%アップし、直帰率が38%ダウンしたことが明らかになりました。PWAにより、同社は迅速なサービス開始、結果の確認、イノベーションを繰り返して新しいWebアプリ体験を生み出せるようになりました。
買い物客はせっかちなものです(私もその1人)。そして、ブランドに大きな期待を寄せます(ご想像のとおり)。PWAを導入することで、企業ブランドのテイストを盛り込んだ素晴らしいコマースサイトを高速化し、顧客の期待に応えることができます。
Karly Cyrは、Salesforce B2C Commerce部門の製品マーケティング担当シニアマネージャーです。Mobifyの買収に伴いSalesforceの一員となった彼女は、ヘッドレスコマースの実用可能性を探り、市場投入戦略を立てる任務に取り組んでいます。