SNSユーザーの増加を背景に、SNSマーケティングの重要性が高まっています。広告やコンテンツマーケティング、メールマーケティングに並ぶ主要なマーケティング手法として活用する企業も増えてきました。
この記事では、SNSマーケティングのメリットや注意点など、SNSを運用するために把握したいポイントを解説していきます。
SNSマーケティングの概要、既存のデジタルマーケティングとSNSマーケティングの違いを説明します。
SNSマーケティングは、デジタルマーケティングの一種で、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の拡散性・双方向性を活用して認知拡大や顧客獲得につなげることが特徴です。ユーザーとの直接的なコミュニケーションが可能であり、他媒体と比較してファンを醸成しやすいといわれています。
SNSマーケティングは、広告やコンテンツマーケティングをはじめとする他の手法とどのような違いがあるのでしょうか。
広告はすでに商品を必要としている「いますぐ客」へのアプローチを得意としており、成約数の向上に対する即効性があります。しかし、潜在顧客をファン化させる用途には適していないため、一般的に見込み客の育成を目標とする場合には別の手法から検討します。
一方、SNSマーケティングはユーザーとの直接的なコミュニケーションを通じて、まだサービスの必要性が明確化できていない「そのうち客」や、商品は必要であるものの購買意欲が高まっていない「お悩み客」にアプローチが可能です。広告では訴求が届かなかった層へ、能動的に働きかけられる点が広告との相違点だといえます。
コンテンツマーケティングは、検索エンジン経由の自然検索流入の獲得を狙った方法です。SEO(検索エンジン最適化)と呼ばれる施策を講じる必要があり、長期的に読まれる網羅性に優れたコンテンツの制作が必要です。
読者ニーズに応えた記事は評価がされやすく、検索結果の上位に表示されれば流入の増加が見込めます。そのため、資産化しやすいストック型の取り組みだといえます。
一方、SNSは常に情報が更新されるタイムライン形式となっており、ユーザーがSNS内で注目されている人気投稿を受動的にキャッチできる点が特徴です。ストック型である検索エンジンを通じたコンテンツ配信とは異なり、SNSを使ったコンテンツ配信はフロー型だといわれています。
また、発信内容が短期間のうちに広く拡散される「バズる」と呼ばれる現象は、コンテンツマーケティングよりSNSマーケティングのほうが起こりやすい傾向にあるため、これらの相違点を踏まえたコンテンツを企画します。
メールマーケティングは、メール配信を通じてユーザーを動かすことでマーケティング上の目的を達成する手法です。一斉送信により無作為にメッセージを送信するのではなく、特定の条件を満たしたユーザーへ個別にメールを送り、より具体的な反応を引き出す点で他の手法とは異なります。
自社への関心が薄いユーザーにもリーチできるSNSマーケティングに比べ、メールマーケティングはすでに自社のファンとなったユーザー、あるいは自社への期待感が高まっているユーザーに効果的です。
では、なぜ今SNSマーケティングが注目されているのでしょうか。ここでは、SNSマーケティングの重要性について解説します。
SNSマーケティングを通じてリーチできるターゲットは、年々増えつつあります。以下は、全年代におけるSNS利用率の変遷を示したものです。
主要なSNS | 利用率 (平成24年) |
利用率 (平成30年) |
---|---|---|
LINE | 20.3% | 82.3% |
16.6% | 32.8% | |
15.7% | 37.3% | |
ー | 35.5% |
出所:総務省情報通信政策研究所「平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
全体として6年間で約2~4倍の利用者増加が見られ、ユーザーの増加は一目瞭然です。
特にLINEの利用率が増加している背景としては、他のSNSが情報の発信・収集など一対多のコミュニケーションを行う目的で使われる一方、LINEは一対一のコミュニケーションを行う「メールや電話に代わる手段」として利用されている現状が関係していると考えられます。
少し前までは、Googleなどの検索エンジンを利用することがインターネットユーザーにとって最も一般的な情報収集の手段でした。しかしSNS普及以後は、Z世代の若者を中心にSNSを用いた検索が一般化しつつあります。Googleを使って調べることを「ググる」と呼ぶように、SNSのハッシュタグ検索を用いて調べること「タグる」と呼ぶようになってきています。
こうした変化も、SNSマーケティングの重要性を高める大きな要因となっています。
SNSマーケティングにより得られる4つのメリットを紹介します。
SNS 上では趣味嗜好が近いユーザー同士がフォロー関係にあるため、自社をアピールするコンテンツ配信をターゲット層の一部に届けることができれば、そのユーザーの拡散を起因として関心度が高いと思われる別のユーザーにも認知が拡大できます。
後述する「情報が拡散されやすい」という点も相まって、プラットフォーム上に形成されたコミュニティを通じて認知度の向上が見込める点はSNSマーケティングのメリットです。
SNSを通じて理念や世界観を発信することで、自社のブランドに対する共感や信頼を集められます。SNSをきっかけにファンが生まれることにもつながり、オフラインではリーチできない層へアプローチする手段として有効です。
SNSにはシェア機能が備わっており、ボタン一つで情報を拡散できます。一つの拡散が次の拡散を呼び、連鎖的に広く自社の情報を届けることが可能となります。
たとえば、Twitterではリツイートと呼ばれる機能を使って、ユーザーが自身のフォロワーに情報をシェアできます。そうしてタイムラインからシェアされた情報を受け取ったフォロワーが、さらにリツイート機能を使うことで別のユーザーへ拡散されていくのです。
SNSは双方向にコミュニケーションを取れるため、消費者との心理的な距離が近く感じられます。顧客のニーズを直接聞いて集めやすいため、一方的な情報発信だけでなく自社に必要となる情報の収集にも活用できます。
このようにSNSを通じて収集した意見は、自社の製品・サービスの開発に役立てることが可能です。
国内で盛んに利用されているSNSのうち、代表的な5つのサービスにおける特徴をご紹介します。
Facebookは世界で多くのユーザー数を誇る実名登録制のSNSです。日本ではビジネス活動の一環として利用されるケースも多く、ビジネスシーンでは名刺交換のようにFacebookの相互フォローが行われます。
40~50代の利用者が多く、友人だけでなく仕事のつながりもあるため、やや固い印象のあるSNSです。
Twitterは、最大140字のテキストと4枚の画像を投稿できるテキスト主体のSNSです。匿名で利用できることから、製品・サービスの口コミを検索すると消費者の本音が見られやすく、ソーシャルメディアから消費者の意見を収集・分析する「ソーシャルリスニング」にも活用できます。
20~40代の利用者が多く、SNSの中でも特に拡散力に優れています。
LINEは利用者の性別・年齢が幅広く、普段のコミュニケーションの手段として多くの人の間で普及しているSNSです。
「LINE公式アカウント」と呼ばれるサービスを使い、メッセージ配信と呼ばれる機能によりLINEを通じてメルマガのような情報配信を行ったり、ユーザーがLINEのトークと同じように企業と直接コミュニケーションを交わしたりできるなど、消費者と企業の接点を作るための機能を備えています。
Instagramはいま、国内で最もユーザー増加率の高いSNSです。
画像・動画など視覚を刺激するコンテンツの共有を得意としており、ビジュアルで自社製品の魅力を伝えられます。より、ユーザーへ「製品を手に取ったときのイメージ」を伝えやすい媒体だといえるでしょう。
20~40代の利用者が多く、ビジネス目的の投稿も活発であり、急成長も相まって大きな注目を集めている媒体です。
YouTubeは動画配信に特化したSNSです。YouTubeから複数の人気タレントが登場し、大手企業や芸能人も参入し始めたことから注目度は高まっており、すでに多くの企業が自社製品の紹介や人材採用のツールとしても活用しています。
利用者層の幅は広く、テレビに代わる存在になるといった意見も多いため、今後に大きな期待が寄せられるSNSです。
SNSーケティングでプラスの成果を上げるにあたり注意しなければならないポイントは主に2つあります。
SNSを通じて発信する投稿内容は、ユーザーにとって有意義な情報でなければならず、投稿のクオリティを落とさず中長期的に運用することで初めて成果につながります。
また、投稿内容の考案とは別にユーザーとのコミュニケーションにも時間を割く必要があるため、負うべき運用コストは決して小さくありません。SNSマーケティングを始めるにあたり必要な業務リソースは入念に見積もっておく必要があります。
いずれのSNSも、利用者の年齢や性別に偏りこそありますが、発信内容が不特定多数のユーザーの目に触れることに変わりはありません。あらゆる属性のユーザーに見られる特性上、思いがけない理由で拡散されたり、意図しない理由で注目されたりしてしまう可能性があります。
一部のユーザーにネガティブな印象を与える発信をしてしまい、トラブルの原因を作ることがないように注意が必要です。
SNSマーケティングが重要だと認識しつつも、運用方法がわからなかったり、得られる効果がイメージできなかったりして、二の足を踏んでしまうケースは往々にしてあります。
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今後、デジタルマーケティングの主役となるSNSマーケティングをいち早くスタートするための、そして業界において自社のブランドを確立するためのマニュアルとしてぜひご活用ください。