見込み客を商談につなげるインサイドセールスは、営業活動のプロセスを効率化し、提案機会の数を増やす、中長期的な接点を構築するうえで欠かせません。

ここでは、インサイドセールスの導入効果やKPIの設定、KPI達成に向けた必要条件を説明します。


インサイドセールスとは

「インサイドセールス」は、「内勤営業」を意味する言葉です。見込み客に対して、電話やメール、オンライン商談ツールなどを用いた非対面の営業活動を通じて詳細のヒアリングを行い、商談へと導きます。

インサイドセールスとは?導入メリットと成功事例 >


なぜインサイドセールスを導入するのか

では、どうしてインサイドセールスの導入が重要なのでしょうか。インサイドセールスの必要性を説明します。

 

提案プロセスの効率化

インサイドセールスを導入して見込み客との関係を維持すると、見込み客の検討状況や温度感を把握し、確度の高さから優先順位付けすることが可能になります。

温度感が高まっている見込み客から優先してアプローチすれば、経験や勘を元に営業活動を行うより商談につながる可能性は高まるため、限られたリソースの中で効率的に提案へ進めることができます。

 

提案機会の創出

まだ興味関心度が低い見込み客に対しては、中長期的な関係構築を行い、こまめにコミュニケーションを交わすことで、わずかな提案のチャンスも見逃さない体制を築くことができます。

また、接触頻度を増やすことで相手の好感度が高まる「単純接触効果」も期待できます。一度検討を止めた見込み客の検討再開のタイミング等のシグナルから再提案につなげたり、顧客の興味動向の変化を把握しやすくなります。

 

短期間でのスキルアップ

インサイドセールスを導入しオンラインで営業活動を行う場合、移動時間や待ち時間が短縮されるため、お客様先に赴いて営業活動を行うより「勤務時間あたりの営業回数」を多く重ねられます。

そのため、インサイドセールスに従事する社員は短期間のうちに多くの提案回数をこなすことで、多様な経験を積むことができます。その領域のプロフェッショナルとして、組織の重要な戦力へと急成長することが期待できます。


インサイドセールスのKPIとは

商材によってはインサイドセールスのみ受注まで行うケースもありますが、より大きな役割として期待されるのは、見込み客と深い信頼関係を築き、商談化すべきタイミングを見極め、提案活動を行うフィールドセールス(外勤営業)につなげることです。そのためにも、インサイドセールスのKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)を正しく設計しておくことは非常に重要となります。

インサイドセールスのKPIとしては、次のような項目が挙げられます。

 

コネクト数

コネクト数とは、アプローチしたい相手と直接会話をすることができた回数です。コネクトの前段階として、コール数・通電数といった指標も存在するものの、これらをKPIに設定すると表面的な架電数だけを追うことが目標となってしまう恐れがあります。

 

商談化件数

商談化件数は、提案機会のアポイントから新たな商談につながった回数です。フィールドセールスは初回のアポイントで、商談として前に進められる可能性があるかを判断します。コネクト数と同様、むやみにアポイント数だけを追うのではなく、見込み客の検討状況を適切に見極めてパスできるかが重要です。

 

商談への貢献率

全体の商談に対してインサイドセールスがどれだけの金額や件数を創出しているのか、貢献率を算出します。フィールドセールスが商談の機会を発掘するケースもありますが、このバランスを整えることで両部門のリソースを最大化することができます。

 

KPI設定をする時のポイント

次に、インサイドセールスのKPI設定を行うにあたりどのような点に注意すべきなのか説明します。

 

フィールドセールスのKPIを連携させる

インサイドセールスの大きな役割は、見込み客と関係を構築しながら自社商品

の興味を喚起し、フィールドセールスと連携を取って商談化することです。そのため、インサイドセールスの対応範囲にとどまらず、フィールドセールスの役割を含めた大局的なプロセスを考慮してKPIを設定すべきでしょう。

このような「前後の部門と連携したKPIを持ちつつ分業する」という体制は、セールスフォース・ドットコムで活用されてきたThe Model(ザ・モデル)という考え方です。

部門ごとのKPIが繋がりのないものだと、目指すべき目標のずれや、部門間の軋轢を生むことになります。インサイドセールスのKPIはフィールドセールスと同じゴールを目指せるように設計することを推奨します。

 

他社のKPIを参考にする

ビジネスモデル・規模・商材・営業プロセスの進め方などいくつかの点で自社に近しい部分があり、かつ大きな成果を出している企業があれば、その企業のKPI設定を参考にすることも一つの方法です。いたずらに数を追うだけのKPI設定ではなく、合理的な理由基づいて運用されているKPIであれば、多くの学びがあるはずです。KPIの数値目標の設定は他社の基準値を参考にしつつ、自社が目指す最終目標値から現実的な数値に落とし込むべきと言えるでしょう。

 

KPI達成のために必要なこと

設定したKPIを達成するためには、どのような意識を持ち行動すれば良いのでしょうか。KPI達成に必要なことを順に説明します。

 

アポイント取得の基準設定

各担当の独断に委ね、共通の基準を設けていない状況は、アポイントの質が不安定になるため好ましくありません。組織が安定的に成果を出すためには、場面ごとに差異を生んでしまう属人的な要素を排除し、明確な基準を設ける必要があるからです。見込み客がどのような状態になったらアポイントを取得するのか、その基準を設けることこそ、インサイドセールスにおけるKPI達成に向けた第一歩といえます。

 

適切な人員配置

インサイドセールスの役割には、マーケティングとフィールドセールスの橋渡し役といった側面があります。特にインサイドセールスとフィールドセールスの連携体制はバランスが重要であり、いずれか一方に人員配置が偏っていれば成果は最大化できません。

インサイドセールスは、若手社員を配置するケースも増えてきています。経験の浅い担当者を育成できるよう、営業力の高い社員をリーダーに配置する、といった工夫をするなど、KPI達成のためには人員配置の最適化が不可欠です。

 

社内での徹底した情報共有

フィールドセールスと連携を取り、見込み客を商談化させることをインサイドセールスの目的とする以上、顧客対応の水準は一貫したものでなければなりません。そのためには、チーム全体が同じ認識を持っておく必要があります。両部門が透明性高く円滑なコミュニケーションを行えるよう、情報共有を徹底することが重要です。

 

まとめ

KPIの設定は企業の方針により意見の分かれる部分ではありますが、どのような企業においても、目先の行動量だけを設定するのではなくフィールドセールスにパスをする商談の「質」、つまり結果の充実度も含めたものであることが理想的です。

今回ご用意したeBook「いまから始めるインサイドセールス」では、従来の営業スタイルが抱える4つの思い込みを解消し、インサイドセールス部門を立ち上げる利点について解説しています。「既存の営業体制に課題を感じている」「商談化率に不満がある」といったお悩みをお持ちであれば、ぜひこのeBookをご活用ください。

 

【あわせて読みたい関連記事】