Leading Through Change  - いま、私たちができること。- 

小売業は今まさに大きな転換点を迎えています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で米国全土で緊急体制が敷かれ、国民の大多数が外出を自粛しています。その結果、食料品やその他の生活必需品に対する需要が急激に上昇する一方で、お客様や従業員の安全に対する懸念が広がっています。

小売企業は、求められる品揃えや販売手段、消費者の購買行動の劇的な変化に対応しながら、この状況にスピーディかつ柔軟に対応しています。今回のブログでは、小売の常識が変化するなかで、小売企業が課題に取り組みながら信頼を得る方法をご紹介します。

 

在庫を迅速に補充して必要な情報を伝える

手指用除菌ジェル、ミネラルウォーター、トイレットペーパーなどの商品が店頭から姿を消しました。パンや缶詰製品の在庫さえも不足している地域もあります。実際、3月13日から15日にかけて実施した調査によれば、米国で家庭用食料品を購入した人の44%が、健康を維持して不測の事態に備えるために清掃用品、医薬品、パーソナルケア商品、食品を買いだめをしたと答えています。

ここからは、求められる製品の突然かつ予想外の変化へに対し、全力で対応するためのベストプラクティスをご紹介します。

  • 商品の補充を強化する – 商品倉庫の在庫が減っていくため、各店舗はできるだけ早く商品を補充できるようにする必要があります。アメリカの倉庫型大型スーパーマーケット、コストコのCFO、Richard Galanti氏は、自社の調達チームについて次のように語っています。「場合によっては24時間体制で、既存のサプライヤーやその他の供給元から商品を調達すべく動いています。」
  • すべての消費者が必需品を入手できるようにする – 紙製品や缶詰製品、ベビー用品など需要が高い商品について購入制限を設けている小売企業もあります。便乗値上げの懸念もあるため、Amazonでは需要の高い商品に法外な値段を設定している販売業者を厳しく取り締まっています。
  • 自社の取り組みを消費者に伝える 自社のWebサイトに告知を掲載したり、店舗のドアに貼り紙をしたりして、商品の供給が引き続き行われることや、その他の新たな方針を顧客に伝えるようにします。たとえばAmazonでは、不要不急の商品よりも必需品の配送を優先することを告知しています

 

非接触型サービスを採用する

消費者が外出自粛を続けるなか、配達サービスアプリに対する需要が急激に高まっています。前月の1日当たりの平均ダウンロード数と比べると、Instacartで218%、Walmart Groceryで160%、Shiptで124%増加しています。高齢者のように、従来は配達サービスアプリを利用していない世代も新たなテクノロジーを利用し始めています

非接触型の決済や配達サービスなどを拡大し、店舗内を移動したり近距離で接触したりしなくても食料品やその他の必需品を消費者に提供できるようにしましょう。

  • 非接触型決済を導入する – Walmart社は自社のモバイルアプリを更新して、消費者がセルフレジに直接触れなくて済むようにしています。本件に関して同社は「来週からWalmartアプリで利用可能になるWalmart Payを使えば、どのレジでもまったく手を触れずに支払いを行うことができます」との声明を出しています。
  • さまざまな配達オプションを用意する – CVS社は自宅への配達サービスのために多くのドライバーを雇用しています。また、Dominos社は1万人の従業員の新規採用を検討するとともに、非接触型の配達を行うことを顧客に約束しています。高まる需要に応えて、配達可能時間を拡大するやり方もあります。
  • オンライン注文の店舗受け取り(Buy Online Pickup in Store:BOPIS)を推進する – 商品をすぐ手に入れたい消費者のために、最寄り店舗の在庫を確認して購入を確定し、オンライン決済後に店舗で商品を受け取る仕組みを構築します。これならば、入手困難な商品を探していくつもの店舗を回ることや、人との不必要な接触を回避できます。消費者が店舗で商品を受け取るほかに、カーブサイドデリバリー(歩道での商品受け渡し)を利用する方法も考えられます。
  • 新たな利用方法を顧客に案内する – 利用可能なサービスを顧客に明確に伝えます。たとえばオンライン配達サービスを提供している食料品店ならば、Salesforce Care for Employee and Customer Supportを使うことで、顧客に最新情報を提供しながら問い合わせにすばやく対応できます

 

消費者と従業員の安全を守る新たな方針を設ける

健康と安全に対する前例のない脅威によって、実店舗ではこれまでには必要とされなかったような対策が求められています。ここで、感染リスクが特に高い人たちを守るための取り組みをご紹介します。

  • 高齢者や免疫障害のある人だけが買い物できる時間を設ける – 最も清潔で在庫が充実している朝の開店時に、こうした人々を迎え入れます。

  • 安全対策を導入する – 一度に入店できる人数を制限し、お互いの間隔を約1.8メートルずつ空けるよう消費者にお願いします。開店待ちやレジ待ちの列で並ぶ場所を床にテープを貼って示している食料品店もあります。

  • 清掃業務を強化する – 開店時間を遅らせて、定期的な清掃を徹底します。店舗内の各所に手指用除菌ジェルを設置し、消費者と従業員に使用を推奨します。

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相手の気持ちを思いやり、想像力を働かせる

食料品店やドラッグストアの従業員、特にレジ係や在庫担当など、人との接触がある場で働く担当者は、今回のパンデミックの最前線で戦うヒーローです。倉庫の従業員も、自分の健康を危険にさらしながら働いてくれています。企業のリーダーは次のような形で彼らを支援できます。

  • 従業員の時給を上げる – 彼らの激務と感染リスクに対する見返りとして、大幅な賃上げを実施しましょう。Amazonの時給は15ドルからですが、4月中は時給を2ドル上げ、倉庫従業員の場合は残業手当を2倍にしています。サンアントニオを拠点とするH-E-B社も、時給を2ドル増しにしています。
  • 従業員の健康と安全を優先する – 倉庫や他の仕事場の清掃頻度を上げ、可能であれば安全のための防護服を提供します。休暇のルールを強化し、体調が悪い従業員には自宅待機のうえ療養してもらいます。無料とオンライン学習体験ツールTrailheadのCamp B-Wellでも、従業員のウェルビーイングを強化するための方法を紹介しています。
  • 体制の変化を共有するQuipを活用して今を乗り越えるための戦略を構築し、コミュニケーション用のテンプレートを作成します。方針の変更をすべてのステークホルダーと共有し、それに対するフィードバックを提供してくれるよう呼びかけます。H-E-B社はコロナウイルスホットラインを開設して、従業員に情報や支援を提供しています。(詳しくはこちら(英語))

 

次のステップと関連リソース

今は小売業界にとってまさに苦難の時期です。第1四半期にはデジタル分野で非常に健全な成長が見られましたが、実店舗への客足の大幅な減少を埋め合わせるほどではありません。しかし、この難局がもたらした課題に適応できれば、新たな顧客を獲得し、長期にわたる関係を築くことができます。顧客や従業員との直接のコミュニケーションや、ソーシャルメディアでのやり取りを強化するために、Salesforce Careソリューションがお役に立ちます。

連載「Leading Through Change - いま、私たちができること。-」では、この難局に直面しているビジネスリーダーのためのソートリーダーシップ、ヒント、リソースを提供しています。以下の記事もぜひご覧ください。