今年のメールマーケティング戦略を立てる上で大切なのは、「短期的に考えないこと」です。メールマーケティングを改善するためには、一時的な流行を追うのではなく、従来のメール戦略を深く掘り下げる必要があります。2017年以降、メールは購読者中心の方向へ向かいつつあります。ブランドは、より関連性の高いメールを送信することを重視し、カスタマージャーニーを最優先してメールマーケティング戦略を構築するようになっています。これには多大な労力がかかり、メールマーケターやCRMチームからのインサイトが必要になります。結果として、2019年はCRMチームにかかる大きな負担を軽減するマーケティングテクノロジーへの投資もより活発になるでしょう。

2019年は、受信箱を舞台とした戦いが終わり、マーケターと購読者に休息の日が訪れると予想されています。そこで今回は、マーケティングテクノロジーを活用してマーケターと購読者の双方を満足させる方法トップ5をご紹介します。

 

1. 対話型

対話型(インタラクティブ型)は、2年連続でメールマーケターのデザイントレンド最上位になっています(詳しくはこちら(英語))が、これには理由があります。購読者が受信箱から直接コンテンツにアクセスできるため、面倒な手間を省くことができるのです。

対話型には、フォーム、レビュー、カルーセル、ホットスポットなどさまざまな形式がありますが、対話要素を活用する最も実践的な手法は、お客様にフィードバックを求める場面です。評価のためにメールをクリックしても、その結果ブラウザが開くだけではストレスがたまります。Home Depot社では、購読者がメールをクリックしてランディングページに移動しなくても、製品レビューを記入できるようにしています。購読者は、受信箱で直接評価を選択して回答を記入できます。

この受信メールの操作に関する情報を収集できることも、2019年のメールキャンペーンで対話型を活用するメリットです。

2. AI(人工知能)

顧客データの量は日々増加しており、手作業でのデータ検索はかつてないほど困難になっています。Salesforce Researchが調査結果をまとめた『マーケティング最新事情』によると、データソースの中央値は2017年の10個から2019年には15個に増えると予想され、わずか2年で50%の増加率です。 マーケターはかつてない量の顧客データを手にしていますが、その多くはデータから意味を引き出すことに苦慮しています。 実際、顧客データを完全に統合できていると答えたマーケターは47%に過ぎません。 AIにより、トレンドの見極めと相互関係の把握が容易になります。AIでは、複数のデータソースを綿密にチェックするのではなく、購読者の状態のモニタリングや提案を支援することで、マーケターの貴重な時間をそうした作業から解放します。 

 

3. オートメーションとパーソナライズ

すでにお馴染みのトレンドですが、オートメーションとパーソナライズは依然として有効な方法です。

オートメーションとパーソナライズは密接に連携しています。自動メールキャンペーンは、あらかじめ設定しておくことで、購読者の行動に応じてメールが自動送信される仕組みです。たとえば、カート落ちやブラウザ落ちの対策について考えてみましょう。いずれもお客様の行動にもとづいて自動化・パーソナライズできます。カートに未決済の商品があると、そのお客様にカート落ちメールが送信されます。このメールには、お客様がカートに入れたが購入しなかった商品が表示され、決済を完了する機会をもたらします。適切なシステムからのデータを活用してオートメーションを適用することで、メールマーケターはお客様一人ひとりに合わせてパーソナライズされた体験を提供できます。パーソナライズされたコミュニケーションは、エンゲージメント、顧客満足度、顧客維持を高めます。メールを1対1でカスタマイズすることで、スパムメールのように扱われることがなくなり、ブランドと購読者との関係を変革できます。

 

4. ソーシャルメディアのデザインに学ぶ

ソーシャルメディアの優れた点を、メールのデザインに応用しましょう。購読者はソーシャルメディアのどんな部分とやり取りしているのか?最も多くの「いいね」を獲得しているのはコンテンツのどの部分なのか?あるいは、ソーシャルメディアで購読者が購入に至るのはどのような理由によるのか?

たとえばInstagramでは、ユーザーが「いいね」、コメント、購入を利用できます。アクションという点では、ユーザーを多数のさまざまな方向へ誘導することはありません。優れたコンテンツは、ユーザーがどのようなアクションを取るかという点を常に配慮します。さらに、ユーザーはそのブランドのフィードをフォローすることを選択しているので、画像はユーザーの関心にもとづいたものになっています。ソーシャルメディアが持つ吸引力をメールのデザインに取り込むにはどうすればいいのでしょうか?

  • 常にビジュアルを意識する

  • アクションの数を限定する

  • コンテンツのパーソナライズと関連度の高さを保つ

コンテンツの配置にも気を配ります。購読者に実行してほしいアクションは、メールの「1面トップ」の目立つ場所に配置しましょう。大きめのバナーを使用し、すっきりしたデザインします。

全体としては、各媒体を通じてデザインとトーンの一貫性を保つようにします。ソーシャルページでも、Webサイトでも、メールでも、ビジュアルやトーンは同じにしましょう。

 

5. データプライバシーについて

2018年にEU一般データ保護規則(GDPR)が施行され、マーケターによる顧客データの取り扱いが大きく変わりました。GDPRの主な影響の1つとして、お客様は、チェックの入っていないオプトインボックスにチェックを入れるなどの操作により、能動的に同意を示さなければならないことが挙げられます。同意を得ることで、メールの受信とコンテンツの利用を求める有望な利用者にメールを送信できるわけですから、このことは有益でもあります。

同様の法律がカリフォルニア州でも成立しており(詳しくはこちら(英語))、2019年はこうした法律がさらに増加し、ユーザーはデータに関する権利をより意識するようになると予想されます。Salesforceにとって何よりも重要なのは信頼です。Salesforceは、透明性、セキュリティ、コンプライアンス、プライバシー、実績を通じて、各関係者からの信頼を築いています。Salesforceのセキュリティへの取り組みについては、こちらでご確認ください。

2019年全体としては、お客様を中心に据えた密接なメールキャンペーンの作成が重視されます。これは単なるトレンドではなく、メールコンテンツをパーソナライズし、お客様のデータを大切に扱うための戦略的な手法と捉えるべきでしょう。2019年のトレンドについては、『マーケティング最新事情』で詳しく解説しています。また、新しいebook『パーソナライゼーションへの道』では、カスタマージャーニーをパーソナライズする方法を解説しています。

 

※ 本ブログは、米国で公開した「Top 5 Email Marketing Trends for 2019」の抄訳版です。