企業のデジタルトランスフォーメーションを支え、革新に挑戦し続けている「Trailblazer(トレイルブレイザー:先駆者)」。彼らの取り組みは、他の企業でも参考になる示唆に溢れているはずです。そこでこのシリーズでは、先駆者たちがどのような成果を上げているのか、そしてその成果に至るまでにいかなるチャレンジを進めてきたのかを紹介します。
過去の連載はこちら Trailblazerから学ぶシリーズ
今回ご紹介するのは、SALES ROBOTICS株式会社の皆さまです。同社は2004年11月に株式会社WEICとして創業。日本の営業活動をテクノロジーとストラテジーの力で効率化することで、営業担当者の働き方を変革し続けている会社です。そのために2015年7月から、ターゲットリストの選定や抽出、インサイドセールスの運用管理、アプローチ状況の可視化を可能にしたクラウドサービス『SALES BASE』の提供を開始。2018年10月には「営業のワークスタイルをクリエイトするセールス・テック・ベンチャー」としての役割を明確に打ち出すため、社名をSALES ROBOTICS株式会社へと変更しています。
『SALES BASE』はSalesforceと連携することで、営業活動全体をサポートできるようになっています。「『SALES BASE』をご活用いただくことで、顧客企業に対して戦略的にアプローチするABM(アカウントベースドマーケティング)を実現できますが、獲得したリードを一元的に管理するには、CRMやSFAといった情報基盤が欠かせません」と語るのは、創業社長の内山 雄輝氏。その情報基盤としてSalesforceを選択した最大の理由は、グローバルスタンダードだからだと説明します。
その一方でSALES ROBOTICSは、自社でも2015年1月からSalesforceの活用を行っています。まずSales Cloudを導入し、2016年10月にPardotも導入。そして2018年3月にはSales Cloud Einsteinも導入し、2018年5~6月にかけてその実証実験を行った上で、本格運用を開始しているのです。
今回注目したいのは、最後に触れたEinsteinの活用です。この取り組みを開始した理由について、内山氏は次のように語ります。
「これまでは、インサイドセールス担当者によってアプローチすべきリードの判断にばらつきがあり、商談の見込み確度も営業担当者個人の経験値に頼る傾向がありました。このような個人差をできる限り少なくし、安定した成果を出すことが重要だと、以前から考えていました。Einsteinの活用は、これを実現するためのものです」。
ここで行われている具体的な取り組みは、大きく3つあります。
第1はリードスコアリングです。まずはEinsteinの信憑性を確かめるため、スコアを意識させずに、通常通りのインサイドセールス活動を展開。その結果、Einsteinのリードスコアリングが60ポイント以下のリードではアポ獲得率が10%前後なのに対し、81ポイント以上では60-70%程度となり、ハイスコアリードにおけるアポ獲得率の優位性が確認されました。そのため現在では、インサイドセールスの架電活動は、ハイスコアのものから取り組むように戦略を変更しているといいます。
第2は商談スコアリングにおけるEinstein活用。その目的はスコアリングによってアプローチ先の優先順位を決めることではなく、営業担当者による「見込み確度」の個人差を、AIが出したスコアによって補正することあります。これについて取締役 COOの押川 定和氏は次のように語ります。
「同じような商談でも営業担当者によって見込み確度が異なるケースは少なくありません。そこで、営業担当者の見込みとEinsteinの評価に大きな差が生じているものを抽出し、営業マネージャーと営業担当者の週次ミーティングで個別に確認するようにしています。会議の時間は限られているので、注意すべきものを絞り込めるだけでも、大きな効果があります」。
そして第3が、Einsteinを活用した売上予測です。商談成立は月末に集中しやすいことや、営業の個人差もあり、営業マネージャーが精度の高い売上予測を出すことは、それほど簡単ではありません。しかしEinsteinの売上予測を試した結果、一定のレベルまで予測値を絞り込めるようになりました。営業マネージャーはこの予測値の範囲を見て、その下限が目標値を超えるように活動を進めることで、目標を達成しやすくなったのです。
それでは一連の実証実験を経て実運用に入った現在では、Einsteinはどのように評価されているのでしょうか。SALESBASE本部 インサイドセールスチームでリーダーを務める野中 祐希氏は、次のように語ります。
「実運用に入ってからは、Einsteinのスコア81ポイント以上に対するアポ獲得率は90%に達しています。アプローチ全体では10%前後なので、はっきりとした差が見て取れます。現場の感覚としても、Einsteinスコアを参考にすることで、アポの数は間違いなく増えると感じています」。
また内山氏も「Einsteinは営業活動に十分使えるものだということがわかりました」の述べた上で、アーカイブリードのデータがさらに蓄積されていけば、その精度はさらに向上していくはずだと指摘します。「Einsteinを活用すれば、最小の時間で最大の効果を生み出せるようになるでしょう。営業活動を強力に支援できるツールになり得ると確信しています」。
今後もEinsteinを積極的に活用することで、自らの営業をさらに効率化していきたいと内山氏。その先に見据えているのは『SALES BASE』を、営業活動を自動化・効率化するための標準的なサービスにすることだといいます。Einsteinはその目標達成の時間を短縮する、加速器の役割を果たしつつあるのです。
SALES ROBOTICSの取り組みについてはこちらから更に詳しく確認いただけます。
SALES ROBOTICS も活用している、Saleforceの人工知能である“Einstein”。AIの予測をビジネスに活かすポイントについては、以下よりダウンロードしてご活用ください。