この5年前後の間で、マーケターは世の中の著しい変化を目の当たりにしてきました。 ブランドがアクセスできるデータは爆発的に増え、チャネルは急増し、メディアの成熟が進み、市場は細分化され、予算は拡大しました。 しかし、最も大きく変化したのは顧客の期待です。
80%の顧客は、企業が提供する体験はその企業の製品やサービスと同じくらい重要だと答えています。 選択肢を増やし、多くの情報を提供し、さまざまなオファーを提案するなど、今日の賢い顧客を引き付けて獲得・保持するには、これまで以上の配慮と精度が求められます。 その結果、はるかに複雑で、より活気にあふれたマーケティング環境が誕生しています。
今回リリースされた第5版『マーケティング最新事情』では、そうした変化の影響がかつてないほど広まっている現状について解説しています。 全世界4,100人以上のマーケティングリーダーを対象とした調査にもとづき、マーケティングを変容させつつある戦略的な優先事項、課題、テクノロジーへのてがかりを模索するマーケターにとって貴重なインサイトを余すところなくご紹介しています。
企業の従業員は、部門を問わず誰もが、自分の業務によって顧客体験全体にもたらされる影響を考える必要があります。 マーケターの約3分の2は、組織のより広範囲わたる部署が、自分の業務にかつてないほど密接に関係していると答えています。
マーケターは、顧客のニーズ、行動、動向に対して独自の視点を持っており、顧客体験に関する取り組みを先導する上でとりわけ適した立場にあると言えます。
パフォーマンスが高いマーケターの半数以上(54%)が、顧客体験に関する全社的な取り組みを先導していると答えています。パフォーマンスが低いマーケターの場合、同じように答えているのは3分の1未満(31%)にとどまります。
部門の枠を越えて同じ目標に向かって推進するのは、マーケターにとって今や当たり前の状況です。 マーケティングチームの53%は、カスタマーサービスチームと目標や指標を共有し、52%は営業チームと、50%はコマースチームと共有しています。
キャンペーンを成功に導くには、メールの開封率、取引履歴、広告クリック数まで、増え続けるデータソースを活用し、適切な顧客に適切な製品やサービスでアプローチする必要があります。 その結果、マーケターが抱えるデータポートフォリオは、驚くべきペースで増加しています。 マーケティング組織が使用しているデータソース数の中央値は、2017年の10個から2019年には15個に増えると予想されています。わずか2年で50%の増加率です。
ただ、かつてない量の顧客データを手にしているものの、多くのマーケターは顧客データの把握に苦慮しています。
実際、 顧客データを完全に統合できていると答えたマーケターは、わずか47%です。
当社の調査によると、顧客データの統合を実現する万能のソリューションはまだ登場していません。 これまで広告パフォーマンスやメディアの最適化に活用されてきたデータマネジメントプラットフォーム(DMP)テクノロジーは、そうしたソリューションの一例であり、76%のユーザーが顧客データの識別に関する問題を解決するために利用しています。
マーケターは2020年までにDMPの利用が64%増加すると予想しており、その活用法も進化と拡大を遂げると予測しています。 DMPのこれまでの主な用途は広告のパフォーマンスとメディアの最適化でしたが、現在最も多く用いられているのは、コンテンツのパーソナライゼーション、顧客データの識別に関する問題解決、管理などの分野です。
『コネクテッドカスタマーの最新事情』の 調査によると、53%の顧客は常にパーソナライズされた製品やサービスを期待しており、62%は企業に自分のニーズを予測してもらうことを期待しています。 そのため、パーソナライゼーションは、カスタマージャーニー全体で大きな成果を収めているマーケターの最優先事項です。
マーケターは、パーソナライゼーションの大規模導入に必要なデータを入手するために、人工知能(AI)の活用を進めています。
2017年には、20%のマーケターがAIを「大いに活用している」と答えていましたが、現在では29%の企業が導入済みと答えています。 モノのインターネット(IoT)や拡張現実(AR)、仮想現実(VR)などの「スマートな」テクノロジーも、トップクラスのマーケターの間で導入が進んでいます。
他の大幅な技術革新と同様、マーケティングにおけるAIの台頭も新たな課題の波をもたらしています。 顧客データの使用方法に関する不透明なポリシーが 顧客の信頼を揺るがす中で、マーケターはテクノロジーの導入方法と使用範囲の拡大に関する判断を迫られています。
マーケターの半数以上(51%)は、2年前よりもパーソナライゼーションとプライバシーのバランスにさらに配慮するようになったと答えています。 そのバランスを見極めるのは、依然として難しい作業です。 パーソナライゼーションとプライバシーのバランスが十分に取れていると考えているマーケターは、わずか30%にとどまります。
クロスチャネルマーケティングは目新しいコンセプトではありませんが、依然として困難が付きまといます。 さまざまなチャネルで顧客とやり取りできていると考えているマーケターはわずか28%に過ぎません。 現在、顧客は 平均10個のチャネル を介して企業とやり取りしており、その課題は一層厳しさを増しています。 顧客と動的につながり、リアルタイムで対話できるかどうかが、今やベンチマークとなっています。 リアルタイムのエンゲージメントは、マーケターにとって最優先事項ですが、最大の課題でもあります。
クロスチャネルエンゲージメントに対する顧客の高い期待に応えるマーケターが増加する一方で、それよりも多くのマーケターが期待に応えられずにいます。 平均32%のマーケター が チャネル間で動的なやり取りを行っている 一方で(2017年の28%から増加)、 平均29%はチャネルがサイロ化していると答えています(2017年の21%から増加)。
マーケターが追跡する主要業績指標(KPI)が変化を見せています。
収益成長率、営業効率、Webトラフィックなど、実証済みの指標は最も一般的なマーケティング指標ですが、顧客志向の指標も上位に迫っています。
たとえば、60%のマーケターは顧客満足度を追跡しており、52%は顧客のリファラルの割合を追跡しています。 さらに、マーケターは、ソーシャルアナリティクス(54%)とモバイルアナリティクス(49%)を導入することで、デジタルチャネルにおけるエンゲージメントも詳細に追跡しています。
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