チケットマスター社は、1976年に創業され、現在では29カ国で事業を展開しているチケット販売会社であり、Trailblazerです。取り扱うチケットは幅広く、年間販売チケット数は5億枚を超えるといいます。
「チケットマスターを利用する顧客には、スポーツ好き、音楽好き、観劇好き……さまざまな“ファン”がいます」と語るのは、同社のエグゼクティブ・バイス・プレジデントであるキャサリン・フレデリック氏。「現在、マーケティングはどんどん進化していて、一方的に商品を売るのではなく、いかに顧客の期待に応えられるのか? という時代になってきています」(フレデリック氏)。
チケットマスターは大規模なOne to Oneジャーニーを実現するため、「Salesforce Marketing Cloud」を導入しています。世界中にいる数多くの顧客1人1人に向けてパーソナライズされたメッセージを届けるためです。同社はJourney Builder、Audience Builderを活用し、メール、Web、デジタル広告、ソーシャル、そしてモバイル、そのすべての顧客にメッセージが行き渡るようにジャーニーを設計しています。
チケットマスターでは従来、顧客のインサイトを捉え、最適なマーケティングの一手を打つのに複数のツールをまたいで分析する必要があったため、想像以上に時間がかかっていました。 しかし、これら新機能の連携によって、より早く、簡単にMarketing Cloudの中だけで完結させることが可能となりました。メールとWebのデータを統一した画面で見ることで、これまで見えていなかった顧客のインサイトが見えてくるようになったのです。
インサイトを把握するのに最大のキーとなるのは「コンテンツ」です。
コンテンツこそが、顧客を知り顧客を動かすキーとなります。Marketing Cloudから各コンテンツのPV数、アクセス率を分析することで、個々の顧客が、「どのアーティスト」の「どのイベント」に最も興味を示しているのかを確認できます。
「重要なのは “ハイパーパーソナライゼーション” です。ファンの興味を明らかにしてアクションを取ることがチケットマスターにとって最重要ポイントです」とフレデリック氏。
Marketing Cloudを活用し、顧客のデータを細かに把握することで、顧客を惹きつけきれていない部分があれば、即座に戦略を変更してアプローチすることが可能になるのです。
データを見ていると、サイトの離脱率が気になることがあります。
チケットマスターであれば、メールやコンテンツから誘導されてWebサイトを訪れたものの、結局チケットを購入しないで離脱したユーザーがそれに該当します。
やはり最後にはチケットを買って欲しい、とチケットマスターのマーケターならそう思うのは当然でしょう。この課題を解決するためのチケットマスターの施策とはどのようなものでしょうか。
チケットマスターがサマーイベントのキャンペーンを展開したとしましょう。
マーケターは Google アナリティクス 360 を使い、このサマーイベントのオーディエンスデータを調査します。
Google アナリティクス 360 の機能を使えば、サイトに訪れてくれたにも関わらず、チケットを買わずに離脱してしまった顧客のみを抽出することができます。そして、その顧客専用のジャーニーを新たに作成し、メッセージを送って再びサイトへ誘導するのです。
すべての顧客には、今まで購入したイベントのチケットや好きな音楽カテゴリによってカスタマイズされているメールやメッセージが届きます。ここからサイトに飛ぶと、ページは最初から顧客向けにカスタマイズされています。もちろん、表示されているイベント情報は、住んでいる地域に限定されます。
つまりは、一人ひとりの顧客の、いわば専用ページが毎回作られるというようなもの。違う顧客には、違ったサイトかのようにコンテンツが入れ替わるのです。
パーソナライズされたメールとそこからアクセスしたウェブサイトの例
「マーケターは、自分の“直感”を信じるのをやめるべきです。顧客がマーケティング施策の中心にいなければなりません。だからこそ、顧客の立場になって考え、顧客との最適な関係を構築することが必要なのです。そのためにはデータを客観的に知り、最適化することが重要なのです」。Trailblazerの観点からフレデリック氏は話しました。
Salesforce Marketing CloudとGoogle アナリティクス 360の連携により、チケットマスターでは顧客に「刺さる」ハイパーパーソナライゼーション・マーケティングが実現されているのです。