本Blogでは、「中小企業担当者が知っておくべきデジタルマーケティングの基礎」と題して、マーケティングの基本知識から、SEOの基礎、ウェブ広告の基礎などを連載でお届けしています。連載5回目となる今回は、前回の最新事情を踏まえて「今やるべきSEO施策」について解説します。
前回Googleの進化やSEOの変化について説明しましたが、それを踏まえて今のGoogleにあまり有効ではないと私が感じるSEO施策について解説したいと思います。
有効ではないというと語弊がありますが、200以上あるアルゴリズムの中で昔はその“重要性”が高かったけれども今はそこまでではないという意味になります。
なお、Googleのアルゴリズムの大半は公開されておらず、また日々チューニングされていますのであくまでも私やアユダンテ株式会社の経験に基づく私見となります。
✓ 不自然なリンク
これは皆さんもご存じかもしれませんが、リンクの売買です。日本でもSEO=外部リンクというくらいリンクの売買は流行りました。2012年のペンギンアップデート以降Googleの取り締まりが厳しくなり、不自然なリンクが無効化された、ペナルティを受けてヒットしなくなった、ドメインを捨てることになったなどの話を聞いています。今も購入しているサイトはあるようですが、リンク売買に関するGoogleの規制は厳しくなる一方です。今まで効いていたから今後も効くとは限らず、リスクは大きいと思います。
✓ 大量の機械的なページ/低品質コンテンツ
昔は機械的なページを大量生成することで効果のある時代もありました。そのドメイン内にどれだけ多くのページが存在するかが1つの指標となっていたようです。そのため、サイト内検索ワードのデータやタグ的なデータを使って無尽にページを増やす施策も見られました。ただ、そのようなページの多くは商材が少なかったり、機械的なために意味のないページだったり、結果的に低品質なコンテンツとなっていました。そして2012年のパンダアップデート以降、大きく流入を落とすサイトをたくさん見てきました。今は量より質、内容の伴わないページは好まれません。
✓ コピーコンテンツ
「オリジナル性」の重要度が高まるにつれ、データをコピーしただけのサイトは厳しくなってきています。例えば求人や不動産サイトなどで他社データをそのままコピーして扱うだけのサイトは流入を落としています。オリジナルの説明文や口コミなど付加情報が必要です。
✓ HTMLソースの調整
昔は検索エンジンがソースしか見ていなかったので順番が重要でした。メインコンテンツをソース上で上に持っていくために左ナビを右に位置指定して配置したり、キーワードを画面領域外に配置したり、ソースの細工が流行りました。今はCSSやJSなども解析してレンダリングしますのでそのような細工は効きません。キーワードをstrongタグでマークアップする、も同様でそのようなタグの調整も意味のないものとなっています。
✓ titleやmetaタグの調整
titleやmetaタグの調整だけで順位が上がる時代もありました。またtitleは前方一致の法則でキーワードを前に置いたり、語順や近接度が重要なときもありました。今は検索結果を考えるとわかりやすく記載することは重要ですが、そこまで順位に影響するものではないと感じています。
✓ キーワードの使い方
昔はクローラーの日本語解析力が低かったため、「お花見」と書いていると「花見」でヒットしない時期もありました(お/花見で形態素解析されなかったため)。音引きの有無や表記揺れも細かく対策する必要がありました。今はほとんど気にする必要はありません。たまに同一視されていない言葉があるのでそのようなときにはより人気の言葉を使うといいでしょう。
✓ リンクの張り方
キーワードリンクも流行りました。いろいろなサイトがフッターに小さく薄い字で「転職」や「賃貸」などでリンクを張っていたりしましたよね。アンカーテキストと遷移先のtitle、h1の3者が一致すると効果があったのです。今は逆に不自然です。アンカーテキストには必ずしもキーワードを入れなくてもいいですし、テキストリンクにこだわる必要もないでしょう。
✓ URLの疑似静的化/静的化
昔はクローラーの精度がそこまでよくなかったので動的URLのインデックス状況がよくなかったです。今は多少長い動的URLでもクロール/インデックスはされますし、クローラー向けのsitemapを送信すればインデックスはされるのでそこまで必須ではないです。特にそのURLの歴史が長く、被リンクも多い場合にはむやみに変えないほうがいいです。
次は今のGoogleが評価する(と思われる)要素について考えてみたいと思います。Googleは細かいアルゴリズムは公開していませんので、こちらも体感による私見となります。
✓ 信頼性
信頼性はGoogleが重要視するものの1つです。特にYMYL(Your Money or Your Life)系というECサイトや金融、医学、健康系サイトなどでは重要です。信頼性の指標としてはSSL化、サイトの存続期間、信頼できるサイトからのリンクなどでしょうか。またそのサイトに関するポジティブな評判も有効だと思います。
✓ オリジナル性
前述したコピーコンテンツのように独自性のないコンテンツは評価されない傾向です。一方そのサイトにしかないオリジナルなコンテンツや商材の価値は高まっています。
✓ 良質かつ専門的なコンテンツ
例えば記事ページであれば豊富かつ網羅的な情報、専門家による監修などでしょうか。商品ページであれば豊富な商品情報や口コミ、そして専門知識のあるスタッフの解説など充実したコンテンツは評価されます。 ✓ ユーザーエンゲージメント Googleは公式には認めていませんが、いわゆる直帰率や滞在時間、再訪問回数などのユーザー行動も影響しているように感じています。直接的に関与していなくても、上位に来るサイトは結局直帰率が低く、アクションの多いサイトになるのかもしれません。UXはSEOにも重要です。 ✓ モバイルフレンドリー スマホページの見やすさや操作性です。モバイルフレンドリーテストツールでチェックしてみてください。またサーチコンソールの「モバイル ユーザビリティ」レポートでもエラー状況が確認できます。 ✓ 速度 速いから上がるというわけではなく、遅いページにおいて改善を試みるという指標だと思います。PCページでは既に評価指標であり、スマホにおいても7月から評価に入ると言われています(Speed Update)。特にスマホページにおいては1stビューの読み込み速度も重要だと思います。 PageSpeed Insights > ✓ メンション 評判・言及のことで、リンクが張られなくても社名やサービス名が話題になっているとプラスに働くというものです。指名検索(サイト名、ブランド名、社名)の検索数の増加も効くように思います。例えばあるインテリアサイトのサイト名検索が1年間で約3倍になっており、それに伴って一般名称でも上位にヒットするようになっています。何か操作できるわけではないですが、ソーシャルを活用したり、ユーザーコミュニケーションを取ることで良い評判を作っていくことは重要だと思います。 ✓ 構造化データ Googleも重要視している構造化データです。いろいろな要素を特定のタグでマークアップすることで、例えばこれは商品の価格、これは口コミの点数という内容を検索エンジンに知らせることができます。口コミ、レシピ、イベント、商品などのマークアップは検索結果にも出ますので行ったほうがいいでしょう。 他にもAMPなどが話題ですが、実装負荷と解析の課題があるので様子見でもいいと思います。 GoogleはSEOについて「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」を公開しています。SEOの基礎がわかりやすくまとまっていますのでこちらも一読されることをおすすめします。
Googleの提供するツールがいくつかありますのでチェックし、改善レポートを参考にして可能なものから着手するといいと思います。
モバイルサイトの速度チェックツール >
構造化データテストツールでマークアップをチェックできます。