本Blogでは、「中小企業担当者が知っておくべきデジタルマーケティングの基礎」と題して、マーケティングの基本知識から、SEOの基礎、ウェブ広告の基礎などを連載でお届けしています。連載4回目となる今回は、メディアの使い方とオフラインの集客までの流れについてご説明します。

スマホ時代のSEOと最新事情

SEOとは?Googleの進化と最新事情
スマホ時代のSEOと検索行動
MFIが日本でもリリース?準備することは?

・SEOとは?Googleの進化と最新事情

このブログの読者の方にはSEOについてよくご存じの方も多いと思いますが、今一度おさらいしたいと思います。SEOとはSearch Engine Optimizationの略で“検索エンジン最適化”を意味します。自然検索、オーガニック検索とも呼ばれる検索エンジンマーケティングです。検索エンジンマーケティングとはGoogleやYahooなどの検索結果で露出を増やしてターゲットユーザーを獲得するマーケティング手法ですが、大きく分けて広告とSEOがあります。広告は表示枠を買うもの、SEOは検索エンジンの評価によって順位が決まるものになります。

SEOは2000年くらいからGoogleの台頭と共にポピュラーになってきました。現在日本のYahoo! JAPANはGoogleのエンジンを採用していますので、SEO対策は、ほぼGoogle対策を意味します。

ではSEOとは何をするものなのでしょうか。SEOの本質は「検索するユーザーのニーズに対して最善のサイトを作ること」です。それは昔も今も変わっていません。ただSEOの手法自体は随分変わってきます。なぜならここ数年でGoogleのクローラーやアルゴリズム(順位指標)がかなり変化してきているからです。

クローラーとはページの情報を収集するエンジンのことですが、昔は動的URLがクロールされにくい、JavaScriptのリンクはクロールされにくい、などクロールに関する課題がありました。そのためURLを疑似静的化したり、リンクを静的にすることは施策の重要性としては高い状況でした。それが今はクローラーの解析力が高まり、余程でなければ気にする必要はありません。

日本語の認識力も昔から想像できないくらい高まり、表記や語順を気にすることもあまりなくなりました。昔は「ワンピース」と「ワンピ」、「子供」と「子ども」が別の言葉として認識されるために両方titleタグに入れなくてはいけないという時代もありましたし、語順や近接度も重要でした。今は「Mr.Children」と「ミスチル」でさえ同じ言葉として同一視されるほどクローラーの辞書が進化してきているのです。そのため、最近はtitleタグやh1タグの調整など小手先のチューニングはあまり効果がありません。

アルゴリズムの観点では不自然なリンクの検出精度も高まり規制も厳しくなったため、外部リンクを購入するサイトもどんどん減ってきています。

新しい追加としてはRankBrainという機械学習のアルゴリズムも話題になっています。詳細は明らかになっていませんが、人工知能が検索結果を最適にするのでしょうか。

また公なアナウンスはありませんが、ユーザーエンゲージメントというユーザーの行動も評価に入ってきていることを実感しています。検索結果から訪問したときの離脱状況や滞在時間、再訪問状況などです。ユーザーの満足度を量る1つの指標なのかもしれません。

このようにGoogle自身がここ数年で大きく変化を遂げ、そしてより実社会に近づいています。例えば「家具」と検索すると検索結果にはニトリやフランフラン、大塚家具など知名度の高いサイトが並びます。検索結果が誰かに「家具でいいお店知らない?」と聞いたときの答えと同じような状態なのです。GoogleはWeb上におけるサイト名やサービス名の言及数や検索キーワードの派生語などからユーザーのニーズをかなり正確に把握できるようになっているのです。

「上位表示したい」これは昔から変わらないSEOへの要望です。ただそのアルゴリズムは200以上あると言われ、常にそのスコアの強弱は変わっており、何か1つをやっても簡単には順位が上がらないのが現状です。

Googleの検索品質評価ガイドラインにはE-A-Tという言葉があるようです。

Expertise・・・専門知識

Authoritativeness・・・権威

Trustworthiness・・・信頼性

例えばECサイトであれば「専門性が高く品質のよい商材を揃えて長く運営する」ことが重要になります。当たり前のことですが、その本質は今も昔も変わらないのです。

・スマホ時代のSEOと検索行動

今の時代はスマホの存在を無視できません。特にBtoCサイトであれば流入の7割、8割がスマホというサイトも多いのではないでしょうか。

Googleの発言の中に“マイクロモーメント”という言葉がありますが、これは人が何かを知りたい、買いたいと思った時にスマホなどのスマートデバイスに向かう“瞬間”のことを指すようです。さらにそのモーメントは「知りたい」、「行きたい」、「買いたい」、「したい」という4つのアクションに分類されるようです。

確かに私たちは様々な場所でちょっとした時間にそれらの検索を行っていますよね。今後はスマホだけでなくGoogle Homeなどのスマートスピーカーも普及していくことでしょう。ユーザーニーズを探る際にもこのマイクロモーメントの検索は常に意識していく必要があります。

例えばあるファッションサイトの流入キーワードをPCサイトとスマホサイトで比べるとスマホサイトのキーワードは「ワイドパンツ+コーデ」や「ダウンジャケットの洗濯方法」などのお悩みやハウツー、「七五三の親の服装」などシーンに関する検索が目立ちます。またそれらのキーワードでの直帰率は高く、思いついたことをすぐに検索して解決したら立ち去るというスマホサイト特有の刹那的な行動が浮かびます。PCサイトのように説明文を読んでじっくり商品を選ぶという行動はあまりないのかもしれません。

ある美容院のサイトの流入キーワードを見ると、スマホでは流行の髪型に関する検索が多く、パソコンではエリア+美容院と店舗を探す言葉、また“50代”を含む検索が多く見られました。使用するユーザー層もパソコンとスマホでは違うのでしょう。

スマホ比率が多いサイトではそのようなユーザーニーズからハウツーやお悩み解決などのページを充実させて、“読んだ直後に”アクションできる関連商品やメルマガ、LINE登録などのボタンを置いてマイクロコンバージョンを達成させるといいかもしれません。

またスマホでは“位置情報”が重要となるのも1つの特徴です。レストランやカフェ、美容院や買い物などは現在いる場所から検索して近くの施設へ行く行動が多いようです。その場合には「エリア名」を入れない検索も増えており、前述した美容院のサイトでは「近くの美容院」という流入キーワードが案外多いことに驚きました。

そのときに重要となるのがGoogle マイビジネスです。地図と共にスマホ検索結果では最上部に出ることが多いです。実店舗があるような会社ではぜひ登録して最適化するのがいいと思います。

・MFIが日本でもリリース?準備することは?

このスマホ時代の流れに則ってGoogleも検索での重要性をパソコンからスマホへと位置付けるようになってきています。まず2015年4月にはモバイル フレンドリー アップデートが実装されました。これはスマホで読みやすく使いやすい(=フレンドリーな)ページの順位が上がるようなアップデートで、今までの評価に追加された形でスマホでの検索のみに反映されました。どちらかというとスマホページがなかったり、フレンドリーでないページはこのアップデートにより順位や検索流入をかなり落としています。2016年5月には第二弾のアップデートもありました。

そして2016年後半にアナウンスされたのがMFI(モバイルファーストインデックス)です。ご存知の方も多いかもしれませんが、これはスマホのクローラーに返されるページがクロールとインデックス、最終的にはランキング評価の対象になるというものです。つまりスマホページがあれば今後スマホページがインデックスされて、ランキングの対象になる、スマホページがなければ引き続きPCページがインデックスされて評価対象になるということです。これによって順位が大きく変わるのでは?スマホページがなければヒットしなくなるのでは?サイトを作り直さなくてはいけないのでは?という声も聞きますが、そんなことはありません。スマホページがなければなるべく作るようにし、あるのであればフレンドリーであるかチェックすればいいのです。Googleも順位変動がないよう準備のできたサイトから移行対象とするとアナウンスしています。もちろん大きな変化ですので全く順位変動がないとは言い切れませんが、最低限以下の点に注意しておくといいかもしれません。

MFIに向けたポイント

・スマホ向けの最適化されたページを作る。作ったページはモバイルフレンドリーテストツールでチェックする 
・PCページと同じ商材や情報を掲載し、ページにコンテンツの差分がないようにする
・ユーザーが速く快適に操作できるサイトを目指す。作ったページはモバイルサイトのテストツールでチェックする ※2018年7月からスマホも速度が評価指標に
・PCとスマホでURLが違う場合にはアノテーションタグを入れる

参考:https://developers.google.com/search/mobile-sites/mobile-first-indexing

2018年3月下旬にはGoogleより「モバイル ファースト インデックスのベストプラクティスに準拠したサイトの移行を開始した」との発表もありました。ベストプラクティスとは前述したポイントです。今後PCとスマホサイトが同一URLのサイトから徐々に移行していくことでしょう。

移行する際にはサーチコンソールで通知します、とアナウンスされていますが通知は遅れているようです。生ログを確認できる環境の方はスマートフォンの Googlebotのアクセスが増えていないか、もしくはキャッシュがスマホに変わってないかなどを確認するとよいでしょう。

モバイルフレンドリーが適用されてもMFIに移行しても重要なことは「検索するユーザーのニーズに対して最善のサイトを作ること」、SEOの本質は変わりません。

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