日本の全企業数のうち実に85%を占める小規模企業。Vol.1では、その経営課題についてアンケート調査の結果とともにご紹介しました。売上拡大を目指す小規模企業にとって、社会的な労働力不足の今、人材の確保・育成が最も必要とされるのが「営業・販売・サービス」の職種でした。
その人手不足を補うには、営業・販売・サービスの業務効率化も欠かせません。そのために有効と考えられているのが、戦略的な顧客情報の管理と活用です。今回は、小規模企業における「顧客情報の管理・活用」の現状について詳しく見ていきましょう。
営業・販売・サービスを強化すべきも、
顧客情報の管理が不十分な小規模企業は81%
顧客情報の管理状況について、「顧客情報の管理に取り組んでいる」と回答したのは19%にとどまりました。一方で、「取り組んでいるが十分ではない」と「取り組んでいない」を含む、顧客管理への対応が不十分な層は8割超。中でも、最も割合の高かった「取り組んでいるが十分ではない」は半数近くの45%にものぼりました。顧客情報の管理の重要性を認識してはいるものの、対応が追い付いていない実情が見えてきます。
活かしきれていない顧客情報。
情報獲得が場あたり的になっている割合は46.4%
顧客情報の管理状況について「取り組んでいるが十分ではない」と回答した方にその理由を尋ねた結果、「情報の獲得が場あたり的にしか行われていない」および「情報の分析が行われておらず経営計画に活かされていない」と答えた割合が4割超に。顧客情報の獲得と分析という2つの側面に課題があることが分かりました。
利用しているツールは旧態依然。
顧客情報の管理に表計算ソフトを使う企業が47.9%も
顧客情報の管理に使用しているツールは、一般的な表計算ソフトが最多に。次いで紙の台帳、電話/FAXと続きました。
また、管理している顧客情報にもとづき、顧客への営業活動やサポートをする際に利用しているツールについても、表計算ソフトを筆頭に紙の台帳、電話/FAXが上位を占める結果に。
この3ツールはどれも標準的なビジネスツールとして使用されてきたもので、大部分が従来型ツールの使用にとどまっていることが分かります。顧客情報管理専用のツールを導入している小規模企業は少数でした。
入力・更新・分析に不満。
50.0%が「情報入力に手間がかかる」
顧客情報の管理に使用しているツールの不満点について「情報の入力に手間がかかる」と回答した人が50.0%と、他を大きく引き離して最多に。ツールの運用に苦慮している実情が窺えます。
また、営業活動やサポート活動に利用しているツールの不満点に関しては「情報の分析がしづらい」がトップ、「情報の検索がしづらい」「情報の共有がしづらい」が僅差で上位になりました。こちらはツールの活用面に課題があるようです。
顧客情報の管理が重要であることは明らかなものの、戦略的な情報の獲得や分析となると少しハードルが高いと感じる方もいるかもしれません。
それらをワンストップで実現できるのが「ITを活用した顧客情報の管理」です。顧客情報の管理を効率化し、円滑な営業活動をサポートすることで、導入企業には業績アップやコスト削減などさまざまな効果がもたらされます。大組織であっても、営業活動や商談の進捗を可視化でき顧客とのやりとりを一元管理できるため、大企業ではすでに多くが導入していますが、日本経済を支える多くの小規模企業ではあまり認知が進んでいないのが現実です。Vol.3では、本調査から見えてきた今ならまだ間に合う、ITを活用した顧客情報の管理の「はじめ方」について詳しくご紹介します。