日本における中小企業の割合が、全企業数の99.7%にも及ぶことはご存知の方も多いでしょう。中でも従業員数が5名以下~20名程度の小規模企業は、全体の約85%を占めています。日本を支えていると言っても過言ではない小規模企業ですが、現在まで緩やかに減少し続けているうえ、その収益や売上高も中規模企業よりも低い水準での横ばい傾向にあります。人材の不足により将来的な成長のためのアクションを起こすのが難しく、売上が停滞している企業も多いのではないでしょうか。
(参考:平成29年4月 経済産業省 中小企業庁 2017年版「中小企業白書」)
そこでSalesforceでは、小規模企業経営者に対するアンケート調査を実施。従業員数が15名以下の企業経営者および役員への調査から、小規模企業における経営の課題や顧客情報管理の現状が浮かび上がって来ました。
なお、本調査の回答者のうち年商2億円未満の企業は83.6%の割合でした。
年商2億円未満の企業が抱える課題。
売上拡大が最大の課題である企業は26.4%
重要度の高い経営上の課題について、最も回答が多かったのは「売上拡大」。市場や社会情勢の変化に対応し企業を発展させていくために、誰もが追求している大きなテーマです。他の選択肢も経営上の重要課題であることは間違いありませんが、最終的に売上に関わるファクターであることは自明の理と言えるでしょう。中でも「新規顧客の獲得」は、売上拡大に直結する最も大きなテーマの1つです。
理想と現実のギャップが浮き彫りに。
新規顧客獲得のために対策をとっていない企業は4割超
売上拡大に重要な位置を占め、経営上の重要な課題として本調査でも次点を得ている一方で、「新規顧客の獲得」の打ち手として対策をとっていないと回答した割合は41.4%にのぼりました。新規顧客獲得の重要性を認識しているにもかかわらず、適切に対処できていない実情が見て取れます。次に多かったのが「訪問営業」です。ウェブページや広告など省人化施策をとっている企業も見られたものの、社員自らが顧客対応を行う割合のほうが高いようです。ちなみに、「既存顧客との関係強化の打ち手」として定期的な訪問営業をしていると答えた割合が45.6%と最も高かったものの、対策をとっていない割合が次に高く30%を超えました。
上記のことからも、小規模企業では経営上の取り組みに人手を必要としていることが分かります。
人材の確保・育成にも困難。
社会的な労働力不足の影響を自覚する企業が6割超
小規模企業にとって無くてはならず、本調査でも経営上の最重要課題に挙げられた割合が3番目に多かったのが「人材の確保・育成」です。中小企業庁が「小規模企業白書」内でも度々言及しているように、小規模企業における人手不足は深刻化しているのが実情。本調査でも「社会的な労働力不足が、現状または将来的に人材確保・育成に影響を与える」と回答した割合が64%を越えており、大きな課題として認識されていることが分かります。
しかし「人材の確保・育成」に関して、対策をとっていないと答えた割合は46.6%にのぼっています。
人材の確保・育成についての問題点では「適切なスキルを持った人材がいない」「人材の育成に時間がかかる」「経験者やポテンシャルの高い人材が取れない」に票が集まり、スキルや経験に課題を抱えていることが分かりました。
特に「人材の確保・育成」が必要な職種として「営業・販売・サービス」の割合が最も高く54.6%を獲得。顧客の維持・拡大の打ち手として訪問営業を重視している小規模企業にとって、まさに売上拡大に直結する職種と言えるでしょう。
とはいえ、社会的な人材不足が叫ばれる中、人材確保に課題を抱える小規模企業が「営業・販売・サービス」を強化するためにはどうすれば良いのでしょうか。
例えば、有効だと言われているものの1つに顧客情報管理があります。では、小規模企業では現在どのような顧客情報管理が行われ、そして効果は出ているのでしょうか。詳細はVol.2にて紹介します。
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