企業のデジタルトランスフォーメーションを支え、革新に挑戦し続けている「Trailblazer(トレイルブレイザー:先駆者)」。彼らの取り組みは、他の企業でも参考になる示唆に溢れているはずです。そこでこのシリーズでは、先駆者たちがどのような成果を上げているのか、そしてその成果に至るまでにいかなるチャレンジを進めてきたのかを紹介します。
平成もすでに30年になり、営業現場でも平成生まれの若い人々が数多く活躍するようになっています。その一方で管理職やチームリーダーの中には、彼らに対し「自分たちとは常識が違う」「思ったように動いてくれない」と、違和感を持っている人も多いのではないでしょうか。若手社員はまだ十分な業務経験を持っていないため、経験不足から思うような成果が出せないということは、当然ながらあるでしょう。しかしそれだけではなく、平成生まれは欲が少なく、失敗を避けようとする傾向があるため、上の世代から見ると「歯がゆさ」を感じさせる側面もあるようです。しかし彼らをマネージする管理職自身がマインドチェンジを行い、若手社員のポテンシャルを引き出しているケースも、決して少なくありません。
そのような企業として今回ご紹介するのは、株式会社manebiさまです。同社は「かっこよく生きる。」を社是として掲げ、「学びたい人」と「教えたい人」をオンラインでつなぎ、それぞれの業界のニーズにフィットしたeラーニングサービスを展開している企業です。これによって、自分らしい答えとして「生きる意味・働く意味・存在意義」を発見し、自ら幸せになる人々を増やしていくという取り組みを推進しているのです。代表的なサービスとしては、派遣会社に特化したeラーニングサービス「派遣のミカタ」があり、2018年3月ですでに600社以上に導入されています。
それでは同社の管理職がマインドチェンジをするきっかけになったのは、いったい何なのでしょうか。それは「もっと成長したいという思いです」とmanebi 取締役副社長 COOの平石 鳳志氏は語ります。
「派遣のミカタ」の営業体制は平石氏と社員1名、学生インターン数名で構成されており、販売開始の時点で顧客情報基盤としてSansanを導入、これを案件管理にも利用していました。しかし以前はリード獲得からクロージングまでを1人の営業がすべて行っており、案件の状況を正確に把握することも難しかったと振り返ります。Sansanでは記録する情報の統一が難しく、人によって入力内容が異なっていたからです。また学生インターンが試験期間に入ったときに、うまく引き継ぎができないという問題も抱えていました。
「直近の目標は2018年7月までに導入企業数を1,000社にすることですが、150社に導入した時点で、このままでは爆発的に導入社数を伸ばしていくことは難しいと感じました。そこで他にどのような営業体制が存在し、そのためにはいかなるツールが必要なのかを調べていった結果、インサイドセールスとSalesforceの存在を知ったのです」。
インサイドセールスを導入して分業体制を確立することで、実務経験の少ない現代の若者たちも動きやすくなるはず。そしてそのためには、情報基盤も刷新しなければならないと平石氏は決断します。最終的にSalesforce Sales Cloudを採用しますが、その理由は大きく2つあったと説明します。
第1はユーザーインターフェースが優れていたこと。複数のCRM製品を比較した結果、Sales Cloudが圧倒的に使いやすく、柔軟性も高いと感じたといいます。特にダッシュボードはデータの流れがわかりやすく、これなら営業活動全体を把握しやすくなると評価されました。
第2はセールスフォース・ドットコム自身がインサイドセールスを実践し、高い成果を上げていることです。これを徹底的に真似することで、短期間で効果を引き出していくことが目指されたのです。
2017年8月にはSales Cloudを契約。セールスフォース・ドットコムの支援のもと、インサイドセールスの業務フローを作り上げ、そこからフィールドセールスに引き渡す仕組みを確立していきます。これと並行して、Sales Cloudの利用マニュアルを社内で独自作成。2017年10月から本格的な運用を開始しています。
「Sales Cloudを活用した分業体制は、若い人の能力を引き出す上で、大きな効果があると感じています。若い人はツールの理解が早く、すぐに使いこなせるようになります。またマネジメント側も案件状況の可視化や予測が行いやすく、各営業担当者がいまどこで悩んでいるのかもすぐにわかります。営業担当者自身も自分自身の状況を可視化できるため、次に何に手を付けるべきか、悩まずに判断できるようです」。
このように営業体制をガラリと変えた一方で、マネジメントの考え方も大きく変革していきました。以前はトップダウン型で行っていたマネジメントを、個々の営業担当者の多様性を認める方向へとシフトしていったのです。
「私は大学時代体育会系のアメフト部にいたこともあり、上司や先輩の言うことは絶対であり、トップダウンでものごとを行うことが当たり前だと思っていました。しかし今の若い人にこの常識は通用しません。そこで今では生産性を高めることを大前提に、2週間に1回の個別面談で相手の個性に合わせてモチベーションを引き出しながら、多様性と規律のバランスを取るようにしています。これによって以前よりも若手がのびのびと活動するようになり、数字が200~300%アップしたケースもあります」。
もちろん自分自身の常識を若手に合わせて変化させるのは、決して簡単ではなかったはずです。しかし平石氏は「47歳になった今でももっと成長したい、この燃え盛る思いが自分自身の変革を後押しました」と語ります。
その一方で、セールスフォース・ドットコムの営業担当者の存在も、manebiのマネジメント変革に大きな貢献を果たしていると指摘します。
「これだけいいツールを導入したのだから、とことん使ってやろうと考えています。そこでセールスフォース・ドットコムの営業担当者にも頻繁にきていただき、いろいろと話しを聞くようにしているのですが、これが実にいい効果をもたらしています。私自身も以前はそうでしたが、20歳以上も年上の『おじさん』の話を聞いても、若い人は『ホントかな?』と考えてしまいます。しかし社外の実績のある人の話であれば、本気になって聞くようです」。
セールスフォース・ドットコムのノウハウ提供をもとに、世界No.1の営業のやり方を徹底的に真似ていく。これが達成できたときに、自社オリジナルとなる方法論が見えてくるはずだと平石氏は語ります。Salesforceの導入は単なる情報基盤の刷新にとどまらず、それを使う人々の意識も大きく変えてしまうポテンシャルを持っているのだといえそうです。
manebiの取り組みについてはこちらから更に詳しく確認いただけます。
manebiさまが徹底的に“真似”したSalesforceのインサイドセールスの手法については、以下よりダウンロードいただけます。