本ブログは、米国で発表した Krux Is Now Salesforce DMP の翻訳版です。著者のTom Chavezは、米国セールスフォース・ドットコム Krux の CEO です。

KruxがSalesforce Ohanaの仲間入りを果たして半年が経ちます。先月、当社はブランドマーケター、パブリッシャー、エージェンシー、パートナー、従業員からなる最高にすばらしいコミュニティと共に、5回目となるイベント「Data Matters」を開催しました。私たちはこのコミュニティを「Data Trailblazer(データトレイルブレイザー:データを活用する先駆者)」の集まりとし、知識と教育を通して、自身のキャリアを積むなかで、お客様のために仲間と力をあわせて、新たな道を切り拓いていくことができると考えています。

これに伴い、データ管理プラットフォーム「Krux」を「Salesforce DMP」という名称にリブランドしました。このリブランディングは、Salesforceのポートフォリオの一部となり、未来を創っていくという意味で、非常に重要なマイルストーンとなるわけですが、目標に向かって進み出す前に、まずはこれまでの経緯を簡単に振り返ってみたいと思います。

Kruxとデータ・マネジメントの起源

私たちは何年も前から、ブランド企業が、様々なデバイスで行われるデジタルのやり取りからあらゆるデータを収集し、それらを利用して顧客理解を深めることで、より良いマーケティング体験を生み出すためのプラットフォームとしてKruxを機能させたいと考えていました。当初、ビジネスを推進するデータを所有する必要性を持っている出版社にフォーカスした製品を手掛けていました。当時、サードパーティデータ(多くがWebクッキーから収集)が最先端とされていました。しかし、真に求められているのはファーストパーティデータ(顧客のEメールアドレスや購買履歴)であることは分かっていました。そこで、私たちは大きな賭けに出ることにしたのです。
Kruxは「ピープル・データ(人のデータ)」という考え方を常に取り入れてきました。買い物をするのはブラウザやモバイルデバイスではなく、人だということを私たちは知っています。

あらゆる業界のマーケターや出版社にとって価値ある存在となるDMP

Kruxは、あらゆるタイプのデータで私たちのデータ・マネジメントに対する見方を広げるだけでなく、B2Cマーケターにとってはデータの所有権がきわめて重要であり、多くのマーケターが顧客と直接つながることを好ましく思っていないことも理解していました(CPG(一般消費財)企業が好例です)。コカ・コーラをはじめとする大手のマーケターは、スーパーボウル広告などのような一対多の広告戦略を実践していました。
また、DMPで単なるマーケティング以上のものをサポートする必要があることもわかっていました。インテリジェンス領域の一部にDMPを組み込むことで、あらゆるチャネルを網羅する形で、細かくパーソナライズされ、より充実した内容のブランド体験を促進できるようにすることが必要でした。
以上のような理由から、DMPの将来についてたずねられた時、私はこう答えるようにしています。DMPは大型のテクノロジースタックに完全に統合され、(既知と未知の両方のデータで)「正しい人物」を対象としたデータ・マネジメント環境を提供するようになるだろう、と。このようなオーケストレーション領域は、「正しいメッセージと正しい時間は」という困難な問いの答えを探し求める実行システムで構成されます。また人工知能(AI)層も含まれ、数十億個ものデータポイントをリアルタイムで1つにまとめる方法を模索する操作を行う「ブレイン(頭脳)」として機能します。

Kruxのブランド名を「Salesforce DMP」に変更 — 次に目指すものは?

Salesforce DMPでは、毎月30億台を超えるブラウザやデバイスとやり取りを行い、2,000億件超のデータ収集イベントをサポートし、50億件超のCRMレコードの処理をこなしつつ、2,000億件を超えるパーソナライズされたコンシューマーエクスペリエンスの調整にあたっています。
既知の顧客(SalesforceおよびMarketing Cloudの領域)と未知の潜在顧客(Salesforce DMPの領域)を同時にサポートすることは、CRMマーケティングとDMPの双方の優れた点を融合させるまたとない機会です。私たちはカスタマージャーニーの世界に生きており、そこではマーケティングは単なる広告キャンペーンにとどまらない大きな役割を担っています。顧客がそのブランドで体験することの一つひとつがマーケティングであり、Salesforce DMPはマーケターがデータを利用して、カスタマージャーニーの途中にある、あらゆるタッチポイントにインパクトを出せるように支援します。それを可能にするのがAIです。
Salesforce DMPは、マーケターがまったく新しいカタチで顧客とつながることを目指して技術革新を続けており、この半年間で目覚ましい進歩を遂げました。当社は、Salesforce DMP Einstein Segmentationを発表しました。同機能により、マーケターは機械学習を利用して、オーディエンス内に存在する複数の異なるペルソナを見つけ出すことができるようになります。
ファーストパーティとサードパーティの両方のデータソースから得られた統合消費者データに加え、Einstein AIを利用することで、ブランドのオーディエンスを正確に表す「ペルソナ」をアルゴリズムによって特定できるようになります。今後企業は、マーケティングをパーソナライズし、特定のWebページをたまたま開いたときに表示される定型のリターゲティングメッセージではなく、個人に響くメッセージによって主要なペルソナに個別に働きかけることができるようになります。たとえば、Conagra Brandsでは、Huntブランドの異なる消費者ペルソナに向けてメッセージをカスタマイズすることで、劇的な成果をあげています。
これは、ファーストパーティ、セカンドパーティ、サードパーティのデータで構成されるSalesforce DMPデータ・マネジメント層が、成長過程にあるAI層に情報を供給し、マーケターにとっての具体的な価値を生み出していることを示す好例といえるでしょう。
お客様、パートナー様、そして従業員の皆さんに感謝します。今こそ、Data Trailblazerにとって刺激的な挑戦の時だと考えます。