各種コミュニティの設置による

パートナー戦略強化がカギ

消費者の嗜好が加速度的に多様化する中、企業が自社のリソースのみで独力で対応し、ビジネスを拡大していくには、限界があります。企業が市場の動向をしっかりとキャッチアップし、消費者のニーズを的確に満たしていくためには、代理店やフランチャイズといったパートナーと強固なタッグを組み、それぞれが強みを持ち寄ってエコシステムを構築し、共に成功を目指していくことが有効です。そこで重要になってくるのがパートナー戦略です。

米国の企業では、パートナーを巻き込んだエコシステムを核にビジネスを展開していく取り組みが進んでおり、それに伴ってパートナーコミュニティの強化に努めるケースも増えてきています。そうしたなかで、例えば金融、ヘルスケア、小売、消費財など、業界ごとに特化したコミュニティの運用プロセスがソリューション化されるといった動きも始まっています。

パートナーコミュニティの構築によってエコシステムを強化し、パートナー間の密接な協業によって、ビジネスを成功に導いている米国企業の事例をご紹介したいと思います。

ピザのフランチャイズストア展開

コミュニティを活用してスピード化に成功

1つめの事例は、米国最大のテイクアウト用ピザのチェーン展開するパパ・マーフィーズ(PaPa Murphy's)です。同社は、1,500店以上のフランチャイズストアを展開しており、2014年にはNASDAQ市場に上場しています。

パパ・マーフィーズは、店舗展開が1,400店を超え、上場したことを契機に、Community Cloudを導入し、新規フランチャイズ店舗を開設するためのオペレーションをプロセス化した「Pathway」と呼ばれるパートナーコミュニティプラットフォームを構築しました。

そもそも、新たにフランチャイズ店舗を開店するためのプロセスは非常に複雑で、そこには店舗のオーナーおよびパパ・マーフィーズをはじめ、店舗立地の調査から、オープン日まで、建設業者など、さまざまな企業がかかわり、これらパートナーを含めた各社の密接な連携のもとに進められていくことになります。

従来はこのようなやり取りをスプレッドシートで管理していたわけですが、17のプロジェクトがある場合、17のスプレッドシートを別々に更新・管理する必要がありました。

そこで、Pathwayでは、Community CloudとAppExchange上のTaskRayなどを組み合わせて、フランチャイズ店舗を新たに作り上げていくためのあらゆるタスクおよびそれにかかわるスケジュール管理などの業務プロセスを「Pathway」に組み込みました。これにより、プロジェクトを主導するオーナーが、店舗立ち上げの作業に関する工程を把握し、各パートナーに対し適切に作業を割り当て、個々のプロセスの完了をチェックしながら、的確に店舗の開店に向けた取り組みを進めていけるような仕組みになっています。Community Cloudを導入することで、従来必要とされていた400にも及ぶタスクと、15-20に及ぶスプレッドシートをダッシュボード管理で関係する人々全てに共有できる仕組みを作り上げたのです。

Pathwayを構築したことにより、パパ・マーフィーズでは、新たなフランチャイズ店舗の立ち上げにかかわる作業がスピード化。より短時間で完了できる体制を整えることができました。さらには、開店までを区切りとするのではなく、将来的には店舗改装や移転などのライフサイクル全体にまでこの仕組みを活用していこうとしています。

革新的な製品とともに

革新的なユーザー体験を提供

2つめの事例は、同じく米国に本社を置くゼロ・モーターサイクルズ(Zero Motorcycles)です。同社は、画期的なスポーツタイプの電動バイクを世に送り出したメーカーとして知られ、Forbes誌では「バイク界のテスラ」と呼ばれ、瞬く間に業界リーダーのポジションを獲得した企業です。

同社のバイク製品は、一般的な自動車・バイク同様、各地のディーラーを通じて消費者に販売されます。当然、メーカーとして販売店とのパートナーシップの強化は同社にとってもビジネス上の最重要テーマの1つです。

そこで、同社では、セールスフォース・ドットコムのCommunity Cloudを導入。同サービスをベースにディーラー同士の情報交換の場となるパートナーコミュニティを構築しました。コミュニティでは、ゼロ・モーターサイクルズの在庫情報に各ディーラーがアクセスできるような仕組みを提供。さらにディーラーが抱える様々な問題の解決を図るためのフォーラムといったものも開設しています。

こうした仕組みを用意することで、同社とディーラー各社の間のパートナーシップはより強固なものとなり、ビジネスにおける連携も、これまで以上にスムーズに行えるようになっています。

  • ゼロ・モーターサイクルズ(Zero Motorcycles)の事例はこちら

そのほかパートナー戦略の一環としてコミュニティを活用した例については、下記eBookをご参照ください。