あなたの組織にはどのような「データ」が存在するでしょうか。ビジネスを遂行する中ですでに無数のデータが存在し、意図せざるとも日々膨大な量が蓄積され続けているはずです。膨大なデータ群は、顧客行動を把握・分析する上でとても大きな意味を持っています。
近年、データをどのように活かしていくべきかが益々重要視されており、ビックデータに関連して「データドリブンマーケティング」、「One to One マーケティング」、「マーケティングオートメーション」など、様々なテクノロジーや概念がマーケッターの間でトレンドになっています。
中でも、「One to One マーケティング」は、その概念自体は古くからありましたが、デジタルマーケティングの進化により、近年身近になってきたのです。
点在する巨大なデータ群から意味のあるマーケティングデータを抽出するためにはどのような手法が有効でしょうか。一般的な CRM(顧客情報管理)施策などでは属性(デモグラフィック)情報を利用してユーザーのプロファイルごとに異なるコンテンツを提供します。しかし、消費者 をより精緻に分類しようとすれば性別、年齢、住所、職業などの属性情報だけではなく、趣味趣向関心などの心理(サイコグラフィック)情報や、実際にサイト を訪れてどの様なコンテンツを閲覧したか、最近コンバージョンしたのはいつかといった行動(ビヘイビアル)情報を活用することが必要となります。
これに加え、コンテンツを提供するタイミングや送信先のデバイスなど消費者によって無数に存在する組み合わせに対応した施策を用いることで、初めて One to One マーケティングが実現できるのです。
先に述べたように、One to One マーケティングを真に実現するには、従来の属性情報に加え、日々変化する消費者の行動情報が欠かせません。行動情報は属性情報と異なり、ストリーム型の データ形式(*)となるためそのままの形式では自由に取り扱うことが困難です。例えば EC サイトで「カートに商品を入れたが買わなかった顧客」をターゲットとした施策を行いたいと考えた場合、Web アクセスログなどを分析すれば対象の顧客を抽出することは可能ですが、毎回手動で実施するのは現実的ではありません。
*ユーザー数にかかわらず無制限に増え続けるデータ形式
このためストリームデータとして存在するアクセスログを「○月×日~○月△日までに、カートに商品を入れたがコンバージョンしなかったユーザーのリスト」という、施策対象者を特定するような形式に変換・抽象化してやる必要があります。
一般的にこれらの処理は、企業がマーケティングデータの集約を行うための「プライベート DMP(Data Management Platform)」がよく導入されていますが、Salesforce Marketing Cloud を活用する方法もあります。Salesforce Marketing Cloud には強力な RDB (Relational Database) 機能が実装されており、巨大なデータを取り扱うことができます。また Audience Builder を使用することでユーザーの行動履歴を含めた自動セグメンテーションも可能です。
規模やプロジェクトの段階により、どの施策を優先的に導入するかの検討が必要となります。DMP 構築と Salesforce Marketing Cloud をあわせて利用したほうがより複雑なデータ処理・統合には効果的なため、目的に適したソリューションを選択しましょう。
Web 上の行動情報、購買履歴、属性情報を統合して、顧客が考えていること(顧客のインサイト)を推察したマーケティングが実施できると、一体どのようなことが可能なのでしょうか。
例えば、前述した「カートに商品を入れたが購入しなかったユーザー」へ e メール施策を実施するとしましょう。ユーザーの年齢性別や過去の購買履歴を参照した上、カート上に放置した商品に加えて、頻繁に web に見に来ている製品のセグメントから新製品やセール品のレコメンドすることで、よりパーソナライズされた情報の出し分けが可能になります。
加えて、以前に購入(コンバージョン)した曜日や時間、その時に使用したデバイスなどを判別し同様のシチュエーションを再現してやれば、よりメールの成果を期待することができます。
消費者に
を分析・コントロールしてこそ、真の One to One マーケティングを実現することができるのです。
One to One マーケティングを成功に導くには「どうやってデータを処理するか」ではなく「何のためにデータを処理するか」という目的意識です。よりデータの価値を引き出すためには、データ集積から施策活用まで検討すべき項目が無数に存在しています。
NTT コムオンラインでは、どのようなデータ処理や施策が必要なのかを熟知している経験豊かな解析コンサルタントが、Salesforce Marketing Cloud をはじめとした One to One マーケティングソリューションをご提案しています。システム構築から導入後の運用サポートまでワンストップでのご提供が可能です。
著者:
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
マーケティングインテリジェンス本部 課長
顧客行動分析コンサルタント/データアナリスト
三上 慎一
国内大手グループウェアベンダーの UI デザイナー/インフォメーションアーキテクトを経て、2005 年よりアクセス解析/各種データ解析コンサルタントに。定性・定量を問わず様々なユーザー行動調査手法と統計分析に精通。