アメリカ発 ―― あらゆる企業において、ソーシャルへの変革 (ソーシャルメディアを活用し、ソーシャル化する社会に対応する変革) を成し遂げるために重要なのは、効果を追跡する指標や、チームごとの成果を可視化する方法をどのようなものにするかを決定することです。説得力のあるダッ シュボードを作ることは、経営層の支持を得るのに役立ち、より広く組織に対し、製品ラインに関連する指標を活用する必要性を説くのにたいへん有効な手段で す。

最初のステップは、利用可能なデータを吟味することです。下記のリストがすべてというわけでは決してありませんが、 たたき台としては十分でしょう。緑の円グラフは、各指標がそのチャネルの効果をどの程度まで有効に追跡できたかを示しています。オレンジ色で囲んであるの は、各チャネルの効果を集約するのに有効であったと思われる指標です。

Measure_Social_Success_S

表からおわかりのとおり、各指標の有効性について評価しようとすると、2 つの課題が浮かび上がってきます。

  • ソーシャルメディアの評価について話をするとき、説明すべきチャネルは少なくとも 8 種類あり、それぞれにチャネル独自の指標がある――では、有効な指標として 1 つか 2 つに絞るにはどうすればよいのか?
  • 「会話のシェア」や「クチコミ」のような新しい指標は、本質的にわかりにくいため、説得力のある有効なツールとはならない

しかしながら高い次元においては、セールスフォース・ドットコムでは会話のシェアがもっとも重要なソーシャルメディ アの指標だと考えています。あらゆるマーケティング活動が会話の共有を形成し、それがリーチ (コンテンツを目にするユーザの数) をどれだけ効果的に伸ばせたかというバロメーターとなるからです。

Share_of_Conversation

セールスフォース・ドットコムでは会話のシェアの動向を追跡していますが、これは、用いるのに慎重を期する指標でもあります。明確な変化が現れづらいと、この指標についての理解を社内に浸透させるには時期尚早であり、社員がその有効性を納得するのは難しいでしょう。

そこで、企業のソーシャル化の実現に向けたマーケティングの変革を推進するため、注目すべき指標を 3 つに絞り込みました。

  • 登録者: Facebook、Twitter、YouTube、LinkedIn のファンとフォロワーなどを含みます。誰もが理解しやすく、そのチャネルを訪問しただけで測定できる指標です。セールスフォース・ドットコムではこれを 「ソーシャルメディアによるマーケティングの中核データ」を形成するものだと考えています。メールアドレスを収集するようなものですが、いろいろな意味で それを上回る価値があります。
  • 動画閲覧: これは、コンテンツがきちんと届いているかを測定する非常に有効な手段です。当社では動画制作に多額の投資をしています。それは明確で簡潔なメッセージを 共有しやすい形で届けることができるからです。顧客を対象にした最近の調査によると、動画は購入意欲を刺激し、製品を購入する際の強力な推進力となってい ます。私どもセールスフォース・ドットコムは、新しいオーディエンスを魅了し、彼らの再訪をさらに促進することを目標に据えた、メディアを活用する企業で あらねばならないと自認しています。
  • ブログ訪問者: ソーシャルメディアからの商談パイプラインを創出するための多様なモデルを検証した結果、ブログの絶大な効果が明らかになりました。企業の Web サイトからは適度な距離があり、インバウンドリンク獲得に有用です。他のソーシャルチャネルの活性化にも役立つコンテンツです。

上記の 3 つが、最終的に選び抜かれた、ソーシャルメディアを利用するマーケティング部門を活気づかせる指標です。これらが優れている別の大きな理由は、チームのみ ならず、ときには個人まで特定して追跡することができる点です。例えば、Facebook のページのランキングを設けて、月ごとの比較でもっとも伸びているページに脚光を当てることもできます。

セールスフォース・ドットコムでは、ダッシュボードに加え、これらの指標をスライドショーにして社内各所に設置したテレビで繰り返し流しています。ビデオでは、社員の士気を高めるため、スクリーンショット、貢献のあった社員の顔写真、成功例などを紹介しています。

翻訳: 増子久美 (Hisami Mashiko)