LinkedIn は、Facebook や Twitter、新興勢力の Google+ と並ぶ、大手ソーシャルメディアの 1 つです。ユーザ数は全世界で 1 億 5000 万人を超えており、 事実上、ビジネス向けのソーシャルメディアの代表的存在と言えます (競合企業としては Viadeo や Xing が挙げられますが、それぞれのユーザ数は 3,500 万人、1,000 万人と、かなり開きがあります)。

そんな LinkedIn ですが、単に次の仕事先を見つけるための場所というくくりで見られてしまうことが少なくありません。 確かに、世界中の人材コンサルタントたちは、候補者を見つけてアプローチする目的で LinkedIn を広く利用しています。 しかし、もしそのような使い方しかできていないとしたら、LinkedIn のメリットを完全にはき違えていることになります。

見識ある営業担当者たちの間では、見込み客を獲得して確実に収益を上げるための主要な情報源として LinkedIn を活用するケースが次第に増えています。 実際、B2B の取引においては、迅速かつスムーズに見込み客の発掘を進めて収益力を高めるうえで、LinkedIn は非常に重要なツールです。

ここから先は、当社の営業エキスパートの 1 人であるアンナ・ブラットンに話を進めてもらいます。 アンナは、セールスフォースで大手有名企業の開拓を担当しています。 こうした企業には、通常、売上を左右する意思決定者が複数存在します。

顧客に接触を図るためにアンナが使っている主要ツールの 1 つが LinkedIn です。 長いときには 1 日に 3 時間アクセスしています。その理由は、「ビジネスチャンスを見つけるツールとして最高」だからとのことです。

では、LinkedIn を活用して営業力を強化するための 10 のヒントを、アンナに紹介してもらいましょう。

 

ヒント 1: つながる機会を逃さない

これから本腰を入れて LinkedIn を活用しようとしている営業担当者の方にまず申し上げたいのは、ご自身のコンタクトデータをじっくりと見てみてくださいということです。 LinkedIn の価値はコンタクトで決まります。 コンタクトに入っているのが、家族や友人、学生時代の級友ばかりという方は、何とかしなくてはいけません。

つながりは、新たなつながりを生みます。 1 次コンタクトが幹となって、2 次と 3 次のつながりが枝葉のように広がっていきます。 こうしてネットワークが拡大していくのです。 オンラインにせよオフラインにせよ、新しい知り合いができたときには、相手の記憶が鮮明なうちに、フォローアップのためのつながりリクエストをすぐに送りましょう。鉄は熱いうちに打て、です。

 

ヒント 2: 見込み客の組織構造を把握するコツをつかむ

私にとって、LinkedIn の主な用途の 1 つは、ターゲットの企業内の意思決定者を明確にすることです。 私はとても規模の大きな多国籍企業を複数担当していますが、そこでは、購買の意思決定にかかわる人物が数多く存在します。 また、小規模な B2B 案件の営業であったとしても、複数の人物を動かすことが必要になるケースは少なくありません。

LinkedIn のユーザは、プロフィールに驚くほど多彩な情報を記載しています。現在どのチームに所属しているか、どのオフィスで働いているか、どんなプロジェクトに従事しているか、などです。 少し探ってみれば、誰に話を持ちかければよいか見当がつくでしょう。相手がどんな人か (推薦を見ると参考になります)、これまでにどのような仕事を手がけてきたかなどの情報も容易につかめます。

また、組織の上下関係を把握して、契約を結ぶためにはどの人物を動かせばよいかということも、より具体的にわかるようになります (手始めに、相手のプロフィールで [関連して閲覧されているプロフィール] を見てみるとよいでしょう)。

 

ヒント 3: 何の予備知識もなしに電話をしない

私の知り合いの中には、面識のない顧客に電話をかけて営業することが好きだという人はほとんどいません。 たいていは時間の無駄に終わり、どだい無理なことだという気になってきます。 そして実のところ、現在は、何の予備知識も持たずに顧客に電話をかけるという行為は成り立たなくなっています。

LinkedIn を使えば、顧客のニーズをつかんで実のある電話をするために役立つ豊富な情報を、ほぼ確実に把握できます。 しかもこれは、決してデジタルストーカー的な行為ではありません。 私自身は、電話をかけた相手に対して、LinkedIn のプロフィールを拝見したということを隠さず伝えます。 これは話のきっかけとして非常に有効です。 さらに、毎日一方的な電話をかけてくる大多数の営業担当者とは違い、相当の手間をかけたうえでアプローチしてきているのだということも伝わります。

私が特に注目するのは、プロフィールに加えられた変更、ステータスの更新、顧客と自分に共通しているつながり、顧客がグループに行った投稿です (これらが、そもそも電話をかける十分なきっかけとなる場合もあります)。 さらに、有料版のアカウントでは、直接つながっているコンタクトだけでなく、LinkedIn の全ユーザの拡張プロフィールを参照できます。 そこから、現実の世界でつながりを構築するうえで一段と役立つ情報が得られます。

 

ヒント 4: InMail を使ってガードをかいくぐる

営業担当者ならよくご存知のように、幹部クラスの意思決定者に接触を図るのは難しいものです。 考えてみればそれは当然のことで、幹部たちには毎日膨大な数の電話やメールが押し寄せています。 彼らは時間の浪費を防ぐために、特定の電話にしか出ず、ほとんどのメールを無視し、秘書などを使って不要な売り込みを門前払いしているのです。

私自身、思い付く限りのあらゆる策を練って、オーソドックスな手段による幹部への接触を目指します。しかし、先方のガードがあまりに堅すぎるということもあります。 そんなときは InMail の出番です。

InMail は、LinkedIn の内部的なメールシステムで、LinkedIn のあらゆるユーザに対して、紹介なしで直接メールを送ることができます。 InMail を使えば、あなたが送ったメールは確実に先方のメールボックスに届きます。 LinkedIn によると、InMail の返答率は電話営業の 30 倍だということです (私の経験からすると、この数字はやや控えめだと思います)。

InMail を利用するには、有料版のアカウントを使うか、またはクレジットの購入が必要です。 アカウントのレベルが高いほど送信できるメールの数は増えます。 エントリレベルの有料アカウントである Business アカウントの場合、標準で利用できる InMail の数は月に 3 通です。 したがって、むやみに使うことは避け、ほかの手段での接触がすべてうまくいかなかったときのために取っておくのがよいでしょう。 ただし、有難い仕組みもあり、InMail の送信から 7 日以内に相手から返答がなかった場合には、その分のクレジットが送信者に返還されるようになっています。

 

ヒント 5: 検索機能を使いこなす

LinkedIn は検索機能がとても充実しています。 役職、会社、場所、キーワードなどを条件に指定した詳細検索が可能であるほか、 有料アカウントでは、企業規模や社内での職務レベルにもとづいた検索も実行できます。 さまざまな条件をうまく組み合わせれば、詳細な背景情報にもとづいて、キーパーソンをすばやく簡単に探し当てることができます。

また、検索条件を保存しておくと、その条件に新たに一致した顧客のリストを毎週レポートとして受け取ることができます。 たとえば、「ダブリンから 50 マイル以内の拠点に勤務する製薬業界の調達責任者」という検索条件を設定して保存すると、 この条件に一致した顧客のリストが毎週メール配信されます。つまり、詳細を確認するのに値する人物を教えてもらえるということです。 これはとても強力な機能で、 本当に手放せません。

 

ヒント 6: 顧客の企業で起きている変化をつかむ

営業担当者ならご承知のとおり、変化はチャンスを生みます。 人材の入社や退社、企業の重要発表など、どのような変化にせよ、先方に接触して相手のニーズに訴える話を持ちかけるための絶好の材料となります。

LinkedIn では、そのような変化も簡単に知ることができます。 LinkedIn にページを持つ企業をフォローすればいいのです。 その企業に起きた変化を自分のページで直接把握できるようになります。 これにより、最新情報を迅速につかみ、新たな商機を容易に見つけられます。

 

ヒント 7: 最新情報の入手以外の目的でもグループを活用する

私は LinkedIn のグループが大好きです。 多くのユーザと同じように、自分が担当する業界についての知識を得るためにグループを使っています。 メンバーから上がってくる質問を見ると、どのような不満があって、どのようなニーズが満たされていないのかがよくわかります。 また、そうした質問が、見込み客に接触を図るためのこのうえない材料になることもあります。

さらに、次の 3 つの点でも、グループは大いに役立ちます。

  • 1. 事業を活発に展開しているか、人材を募集しているかどうかといった点を把握して、顧客企業で現在起きていることについての理解を深めることができます。
  • 2. アプローチすべき人物の詳細情報を知ることができます。特に氏名がわかるのは貴重です。 なお、詳細を確認できるのは、通常 1 次コンタクトのみに限定されています (ヒント 1 で述べたポイントは、この点から見ても重要です)。
  • 3. グループのメンバーであることは、つながりを増やすための根拠になり、そのための機能も提供されます (つながりリクエストを送信するときに選択できる条件の 1 つになります)。

 

ヒント 8: 読み手にアピールするプロフィールを作成する

ここまでに述べたことの多くは、自分が相手に対して行う行動、つまり情報を見つけて接触を図ることについての話でした。今回のヒントは、相手が自分に対して行う行動について配慮すべき点に着目しています。 相手が興味を持ってくれた場合は、必ずこちらのプロフィールを見てくれます。 したがって、プロフィールは完璧に記入しておき、自分自身と自分の会社の両方に対してプロフェッショナルな印象を持ってもらえるようにするのが賢明です。

企業サイト、自分の Twitter アカウント、自分の Facebook ページへの最新のリンクも記載しておきましょう (私の経験では、LinkedIn のプロフィールを見てくれた人の多くは、Twitter アカウントもフォローしてくれます)。

また、質の高い推薦も必要です。自分たちの製品やサービスに満足してくれている既存顧客からの推薦があると非常に効果的でしょう (大事なのは量より質です)。 これにより、プロフィールを見てくれた人に、自分という人間をよりよく知ってもらうことができます。 B2B ビジネスであっても、結局のところ、人は人から物を買うという点は変わらないのです。

最後に、写真は必ず載せておきましょう。 実在感がありますし、写真があったほうが印象もよいでしょう。 写りのよい一枚を選んでください (奇抜な写真や最近の飲み会で撮った写真などは避けましょう)。笑顔もお忘れなく。

 

ヒント 9: プロフィールを閲覧した人を確認してつながりを広げる

いつも驚くのですが、自分のプロフィールをどのユーザが見たかを確認できる機能があることをご存知ない方が多いようです。 閲覧を行ったユーザがプロフィールを匿名に設定していない限りは、[あなたのプロフィールを閲覧した人] のリンクをクリックすることで確認できます。 無料アカウントでは確認可能な人数に制限がありますが、有料アカウントではすべてのユーザを確認できます。 当然ながら、この機能を知ったら、たびたび使わずにはいられなくなります。

この機能は、次の 2 つの点で活用できます。

 

  • 1. 自分のプロフィールを閲覧してくれたということを口実にして、相手につながりリクエストを送って接触を図ることができます。
  • 2. ほかのユーザのプロフィールを閲覧すると、必ずそのうちの何割かが自分のプロフィールを閲覧してくれます (上の 1 と関連します)。

自分のプロフィールを閲覧したユーザが「製薬業界の調達担当者」のように記載されているときでも、そこをクリックすると リストが表示され、個々のユーザを参照できます。 その後、各ユーザのプロフィールを短時間でざっと確認します。これにより、自分がプロフィールを閲覧したことが彼らにわかるようになります。

 

ヒント 10: LinkedIn をセールスフォース製品に連携させる

ご推察のとおり、私はセールスパイプラインの追跡と管理に当社の Sales Cloud (CRM) を使用しています。 Sales Cloud では、LinkedIn のコンタクトデータを簡単に連携させることができます。取得元はタグによって識別可能です。 この連携により、Sales Cloud で顧客の職務経歴、学歴、共通のつながりなどをすばやく確認できます。 写真も追加できます (これはとても便利です)。

もちろん、見込み客についての情報は LinkedIn だけから得られるわけではありません。 Sales Cloud には、Facebook、Twitter、YouTube、Klout で収集したデータも取り込むことができます。 これにより、見込み客について包括的な情報を把握して、結果的に大きな価値を生み出せるようになります。

 

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今すぐやってみましょう!

以上のようにして、私はセールスパイプラインの拡大と管理に LinkedIn を役立てています。 率直に言って、LinkedIn なしでは、途方に暮れてしまうでしょう。 LinkedIn が営業を代行してくれるわけではありませんが、LinkedIn を賢く活用することで、競合他社に大きく差を付けることができます。 LinkedIn は営業のパフォーマンスを大きく伸ばす強力な武器になります。 これが私の実感です。


アンナ・ブラットン

アンナ・ブラットンは、行動力にすぐれたソリューション指向の IT プロフェッショナルです。コラボレーションテクノロジーに注目し、同テクノロジーを戦略的ビジネスでどのように有効活用できるかという課題に情熱を持って取り組んでいます。 セールスフォース・ドットコムでのキャリアをスタートさせたのは 2 年前です。現在は、EMEA 市場を対象に、ライフサイエンス、消費財、小売、旅客運輸などの業種における戦略的アカウントの事業開発に携わっています。