Salesforceの『第5版 セールス最新事情』がいよいよ公開されました。世界7,700人以上の営業従事者を対象に調査を行った今回のレポートでは、厳しい経済情勢のなか、最大限の成果を上げようと奮闘する営業チームの姿が見えてきます。
最新版『第5版 セールス最新事情』で明らかになったのは、確実なものなど何ひとつない、ということです。調査にご協力いただいた営業従事者の内72%は、年間目標を達成できる見込みは薄いと回答しています。インフレ、コロナ禍、サプライチェーンの混乱といった問題が常につきまとう状況では、無理もないことでしょう。
しかしながら、営業チームは困難のなかでも最大限の効率化、コストカット、生産性向上に取り組み、前に進もうとしています。この記事では『第5版 セールス最新事情』から10の数字を取り上げ、営業従事者が現状にどう立ち向かおうとしているかを見ていきます。
売れる営業チームは何をしているのか?
営業部門が抱える課題を乗り越えるヒントをご覧ください。
経済の先行きが不透明であっても、企業は営業目標を達成しなければなりません。そのため、リスクの高い戦略や戦術よりも、確実に結果を出せる方法が好まれるようになっています。実際に、営業リーダーの55%は、緩やかな成長を見込めるリスクの低い戦略を優先すると答えています。目下の厳しい経済環境においては、一か八かの賭けは敬遠され、確かな勝算のある道が選ばれるということです。
営業チームを常に悩ませているのは、膨大な雑務です。営業活動を進めたくても、業務時間の4分の3は、商談情報の管理や事務処理の対応、ツールの操作、データ入力、見込み客の管理といった業務に費やされてしまいます。結果として、営業活動にじっくり取り組めず、成績を伸ばせない状況になっています。
いくつもの営業ツールを行ったり来たりするしなければならないことも、営業担当者の時間を奪う要因になっています。営業チームが成約までに使うツールの数は、平均で10種類にも及んでいます。それぞれに役立つものだとしても、かかる費用と労力は相当なもの。業務効率化のために導入したツールのせいで生産性が妨げられ、お客様と向き合う時間が取れなくなり、商談を進められないという本末転倒な事態が起こりかかねません。
営業担当者への負担を減らすために、多くの営業チームがツールの整理統合を検討しています。単になくすのではなく、業務上重要なツールを最適化し、機能が重複しているものなどを減らす試みであり、この取り組みには大きな効果があると期待されています。実際、「営業部門はCRMを最大限に活用しているか」という問いに「強くそう思う」と回答した営業従事者は37%にすぎません。
米国を拠点とする三菱電機系のエレベーター会社、Mitsubishi Electric Elevators & Escalators社でシステムテクノロジー担当シニアマネージャーを務めるGeorge Carrera III氏は、ツール統合と最適化の重要性についてこう語っています。「効率化のために見直しを進めていくと、どれも重要で欠かせないツールのように見えてきてしまいます。しかし、業務プロセスをよく分析して、どれが本当に必要なのかを見極めなければなりません。使えるものだけを残し、役に立たないものは捨てましょう」
営業効率を向上させるための取り組みは、ツールの整理統合だけではありません。営業担当者の負担になっている雑務をなくす試みも進められています。人工知能(AI)と自動化を取り入れれば、商談情報の更新や見込み客の評価を手作業でこなす必要がなくなり、営業担当者は営業活動、つまり顧客とのやり取りに注力できます。これは机上の空論ではなく、パフォーマンスが高い営業担当者は、AIの活用度が1.9倍高いという調査結果が出ました。
人工知能(AI)や自動化を取り入れた営業活動のデモをご覧ください。
営業リーダーは、経済不安のなかでも売上を確保する道を探しています。彼らが重視するのは、顧客と確かな関係を築くこと。目の前の売上だけを追うのではなく、良い関係を築いて顧客の心をつかむことを営業担当者に求めています。こうした積み重ねが、関連製品や上位製品の販売、契約の更新を生み、予測可能な収益につながるからです。
顧客との関係を強化するために、単なる御用聞きからの脱却を目指す営業担当者が増えています。実際に営業担当者の82%が、会社からトレーニングなどの必要なサポートを受け、顧客の抱える難しいビジネス課題を解決し、顧客にとって個別の要件に対応できる頼れるアドバイザーとなることを目指しています。
ネットの普及で、より多くの情報に触れるようになった顧客への対応も大きな課題です。営業担当者の81%が、問い合わせの前に自分で情報収集をする顧客が増えていると回答しています。そのため営業担当者は、製品の基本機能を押さえるだけでなく、顧客からのより突っ込んだ質問にも答えられるよう備えなければなりません。
そこでカギを握るのが、部門間の連携です。営業担当者の多くは、チーム営業は成約を後押しすると回答していますが、一方で、関係者全員で情報を共有するのは簡単ではないとする回答もあります。部門間の連携は成長に欠かせない戦術であり、営業リーダーにとっては最優先で取り組むべき課題となるでしょう。
予算の縮小は、営業リーダーにとって頭の痛い問題です。ろくな人員補充もなしに厳しい売上目標を課せられるチームのストレスは大きく、不満をためて退職する営業担当者も出てきかねません。
そこで重要になるのは、成果を上げるために必要な情報や支援を、すべての営業担当者に提供することです。多くの営業リーダーが、部下の状況を気づかい、定期的な個人面談を行い、業務に役立つ研修を充実させ、ワークライフバランスや待遇の改善を図っています。
有益と受け止められているのは喜ばしいことながら、問題は頻度が少ないことです。上司による個人コーチングが毎週あると答えた営業従事者は26%にとどまり、相談したいことが山ほどある営業担当者にとっては少なすぎるでしょう。
ひとつ有効な方法として考えられるのは、明確なトレーニング効果が期待できる領域を自動で特定するソリューションの導入です。このようなソリューションを活用していると回答した営業リーダーは53%にとどまるため、取り入れれば大きな成果につながる可能性があります。
世界的に先行き不透明な経済状況が続くなか、営業従事者は売上目標の達成を不安視しています。しかし、悪い知らせばかりではありません。非常に厳しい状況にあるとはいえ、営業担当者の75%は、会社が何らかの打開策を用意していると考えています。
結果を出している営業リーダーは、効率と生産性を重視すれば、不況下でも成功できることを知っています。それを裏付けるのが、『第5版 セールス最新事情』の調査結果です。営業リーダーは今後1年間に力を入れる領域として、次の3つを挙げています。
2023年の成功のカギはここにあります。効率化を進め、ビジネスの成長をともに目指しましょう。
営業チームが活用すべき最先端のAIテクノロジーを5分で解説。
Adam Gilberd
セールス担当エグゼクティブバイスプレジデント
Salesforce入社から15年間、米国、カナダ、南米市場の複数のお客様領域で、さまざまな営業リーダー職を歴任。