このように感じていませんか?
AI技術の発展やDXの推進により、マーケティング分野においてもビッグデータの活用が急速に進んでいます。今すぐに自社でも対応を進めていかなければ、気がついたときには時代から取り残されているかもしれません。
この記事では、数多くの企業をサポートしてきたSalesforceがビッグデータマーケティングで得られるメリットや導入に大切なポイントをわかりやすくご紹介します。これを読めば、自社がビッグデータマーケティングをおこなうために何をすればよいか、具体的に理解できるようになるでしょう。
ビッグデータの分析は顧客の行動・思考の精緻な把握を可能とし、マーケティングの改善に大いに役立ちます。
急激にビッグデータマーケティングの重要性が叫ばれるようになった背景には、企業体力に余裕のある大手企業のなかにビッグデータの活用を通じて結果を残す企業が現れ始めたことが挙げられます。
マーケティングは他社の動向にも左右されるものです。他社が相次いでビッグデータの活用を取り入れるなかで自社がビジネス上の競争力を保ち続けるためには、同様にビッグデータを活用していくことが欠かせません。ビッグデータマーケティングのイメージをつかむため、まずは成功事例から見ていきましょう。
今回は大手企業3社の成功事例についてご紹介します。
2013年にサービスを開始したメルカリ。2021年現在で月間アクティブユーザー数が1,802万人にものぼる人気フリマアプリです。ビッグデータから以下の3つのKPI(重要業績指標)を算出し、適切な施策を検討することで成長し続けています。
引用元:【b→academy #10】メルカリの“やばい”データマーケティング
メルカリの施策は、大きく分けてオフラインとオンラインの2種類に分類できます。
オフライン施策
メルカリは出品者と落札者のバランスが重要なサービスです。TVCMに代表されるオフライン施策でユーザー獲得を狙う際に「現在はどちらの役割を強く望む層にアピールするべきなのか」「出品あるいは落札を増加させるためにはどのようなキャンペーンがもとめられているのか」といった戦略決定の手掛かりとしてビッグデータを活用しています。
オンライン施策
オンラインでは主にクーポン配布においてビッグデータを利用しています。「毎月割引率が上昇する継続利用の狙えるクーポン」や「起こる可能性の低い購入・売却に対して、あと一歩を後押しできるクーポン」などを機械学習を通じてユーザーに最適なタイミングで配布しています。結果、従来よりも新規ユーザーの初回利用が2倍となり、投資回収率も100%を越えているそうです。
言わずと知れた世界最大級のECサイト「Amazon」もビッグデータマーケティングを率先して活用しています。
顧客行動分析で値下げをせずに利益アップ
Amazonは、人気商品以外についてはあえて値下げをしないことで利益を上げています。ビッグデータからの顧客行動分析により最適な商品をユーザーへレコメンドするなど、値下げ以外の手法で十分な販売機会を確保できるため、利益の最大化を狙えている形です。いわゆる「ロングテール戦略(メインとなる売れ筋以外の商品の売り上げを積み重ね、安定した利益を確保していく手法)」に成功している事例として挙げられます。
人気回転寿司チェーン「スシロー」もビッグデータ活用に取り組んでいる企業です。
スシローは皿にICチップを搭載し、どの寿司ネタがどの時間帯にどのくらい食べられているのか、寿司ネタの需要を分析しました。結果、従来よりも顧客ニーズを満たした形で寿司ネタをレーンに流せるようになり顧客の満足度を高めることに成功。廃棄ロスも例年の1/4ほどに削減できています。
続いてビッグデータマーケティングのメリットを見ていきましょう。
ビッグデータ活用の最大のメリットとして挙げられるのが、客観的な数値に基づく顧客行動の可視化と予測です。ビッグデータを活用すれば、従来のデータ分析に比べて顧客一人ひとりの行動をより正確に把握できます。また、次に取るであろう行動の予測も可能にします。企業にとって一つの理想である「One to Oneマーケケティング(顧客一人ひとりに対して寄り添ったマーケティング)」の実現に向けた大きな手助けとなるでしょう。
メルカリの出品者と落札者の例に見られたように、ビッグデータマーケティングは自社が抱えている事業課題を客観的な視点から割り出すためにも活躍します。現在弱い部分や今後力を入れていくべき部分を数値から把握できるため、企業としての意思決定や戦略立案に大いに役立ちます。過去のマーケティング施策のデータをあわせて分析すれば、課題を解決するために現時点で最も効果的な施策は何か?と、踏み込んだ検討が可能となります。
上記のような「顧客行動の分析」と「事業課題の発見」は、ビッグデータとは関係なくマーケティングの基礎としておこなわれていることでもあります。重要なのは、ビッグデータ分析により高精度かつスピーディーに実現できるようになる、ということです。分析や意思決定にかかる時間を大幅に削減し、マーケティング活動全般の効率化が叶えられます。なおかつユーザーに対して従来よりも効果の見込める施策を提供できるため、コストと効果の両面からメリットを得られます。
メリットの多いビッグデータマーケティングですが、実際に自社で取り入れていくためには以下の3つのポイントが重要となります。
ビッグデータを正しく分析できる人材の育成や確保が求められます。ビッグデータはそのままでは埋もれた宝の山に過ぎません。ビジネスに転用するためには、知見を持った人間が誰でも利用できる形に分析していかなければいけません。
データ活用の重要性が高まるにつれて、自社内で人材を育成しようとする企業も増えています。人材育成には時間も労力もかかりますが、最近は直感的な操作が可能な分析ツールもあり、これまでも素早く知見を得られるように改善されつつあります。
人材に続いて大切となるのがデータの一元管理です。データ分析では、多数のデータが揃った状態から必要なもののみをピックアップしていく試行錯誤の過程が必要です。「このデータはマーケティング部門が所有しているけれど、あのデータは営業が」などとバラバラに保管されていては適切な分析は叶いません。適切なツールを導入するなどデータを一元管理できる社内体制をつくりましょう。
人材を確保しデータの一元管理が叶ったあとは、実際に分析を進めるフェーズとなります。ビッグデータの分析では、統計に知見のない人にも伝わるよう分析結果を可視化することが大切です。生のデータからマーケティングに役立つ事実を明らかにし、明らかにした事実をいかに統計の専門家以外にもわかりやすく伝えるかがポイントとなります。数値やグラフを多用し誰でも視覚的に理解しやすい形で共有できるように工夫しましょう。
最後に、ビッグデータマーケティングの実現に役立つツールを2種類ご紹介します。
SalesforceのBIツール「Tableau」では、ドラッグ&ドロップをはじめとする直観的な操作でデータの一元管理と分析を実現します。カラフルなグラフを多用していることから分析結果を視覚的に理解しやすく、統計に知見のない方も楽しく分析を進めていけるツールです。
IntimateMergerの「IM-DMP」は、およそ4.7億のユーザーデータと自社の保有データを組み合わせた分析を通じてマーケティング戦略立案をサポートします。細かなセグメント(同じ特徴を持った集団での分類)に対応しているため、自社の希望に沿った形で扱えるのが強みです。
すでにビッグデータの活用で結果を残している企業も登場している今、他社に負けないマーケティングを進めていくためには、自社もまたビッグデータを使っていくことが欠かせない時代になりつつあります。
まずはデータ分析人材の確保や分析に役立つツールの導入から検討し、この先の時代においても顧客満足度の高いマーケティング施策を打ち出せる体制の構築を目指してみてはいかがでしょうか。