Salesforce Pardotは、Salesforceがプライバシーを重視(英語)している姿勢を証明するため、マーケティングのコンプライアンス(英語)に必要なツールを提供し、倫理と信頼を最も重要な価値としています。たとえば、次のような特徴があります。

  • 個人プロファイルを構築する際に、無関係なインターネットプロパティを利用しない。 

  • フィンガープリント採取(英語)のような「気味の悪い」方法でトラッキングしない。 

  • 同意を管理するフレームワークなどのリソースを開発し、オーディエンスのプライバシーに配慮したコミュニケーションを支援します。

これらはすべて、Pardotがどのようにマーケティングのパーソナライゼーションを可能にするか、その透明性を与えるために行われているものです。

 

同じくAppleもプライバシーに配慮する立場を打ち出しており、メールのプライバシーを保護する新しいテクノロジーを展開しようとしています。

 


 

Appleのメールプライバシー保護とは

Appleは6月の世界開発者会議(WWDC)で、 メールプライバシー保護(MPP)(英語)の導入を明らかにしました。プロダクトへの展開は今秋になる予定です。これまでPardotのようなマーケティングオートメーションソフトウェアでは、トラッキングピクセルのようなメールコンテンツを使って、メールがいつ開封されたかを確認してきました。オートメーションは多くの場合、メールの開封を起点として構築されます。メールを開くことは、そのコンテンツへの関心を示すシグナルであるからです。マーケターはメール開封時のデータにもとづいて、キャンペーンのアプローチを調整します。関心のある見込み客にはコンテンツをさらに送り、関心のない見込み客にはメール配信の頻度を下げます。MPPが導入されると、このようなことができなくなります。MPPは、メールがApple Mailクライアントに届いた時点でメールコンテンツを自動的に読み込み、購読者がメールを開封したかのように見せます。MPPには、コンテンツ取得のプロキシなど、それ以外のプライバシー保護機能もあります。

 

Pardotのプロダクトチームとエンジニアリングチームは、AppleがMPPをどのように実装するか、この変更がお客様にどのような影響を与えるかを調査しているところです。現時点で把握している情報にもとづき、影響の範囲と対応策を一足先にご案内します。

 

Pardotユーザーが準備できること

MPPがメールマーケティングに与える総合的な影響は不明ですが、すでに確実なのは、メールの開封がエンゲージメントのシグナルとして信頼できなくなることです。また、Einstein Send Time Optimizationのアルゴリズム(英語)のようなメール機能に影響が出ることも確実です。Einsteinチームはこの変化に対応するために、すでにアルゴリズムの更新に取り組んでいます。また、メールの総計値ガード (英語)が正常に動作するかも確認中です。

このようにSalesforceはできることから対策を進めていますが、皆さんにも準備できることがあります。

  • MPPに関するニュースをチェックし、Appleが明らかにした変更について理解し、説明や対応ができるようにしましょう。

  • Pardotのオートメーション、動的リスト、完了アクション、スコアリングを見直して、メール開封をキャンペーンの条件分岐に使っている場所を洗い出します。関心の有無を正確に把握するために、メール開封の代わりに、リンクのクリックや、Webセミナーへの登録などの外部活動、その他のエンゲージメントシグナルを使うことをお勧めします。

  • メールメッセージのセンチメントをより直接的に理解する方法を探します。たとえば、メール内に「関心がある」や「関心がない」のボタンを設置するのは、キャンペーンへの関心度を測る一番確実な方法です。インプレッションよりも確実な結果を求めましょう。

Appleの新機能がリリースされたら、エンゲージメント指標に現れる変化を観察します。現在のエンゲージメントデータとリリース後のデータの違いをよく見れば、その機能がどんなPardotに与える影響かがわかります。たとえば、MPPがリリースされる前と後のクリックスルー率に注目すれば、メール開封がどのくらい信頼度の高いエンゲージメント指標だったかが見えてきます。Pardotのアドオン機能である高度なメール分析では、エンゲージメントをメールクライアント別に分類できるので、Appleユーザーを抽出して調査できます。

 

 

今後の展開

規制の強化とテクノロジーの進歩により、プライバシー保護への要求は厳しくなる一方です。それに対応して、マーケティングも変化しなければなりません。Pardotを含め、すべてのマーケティングオートメーションソフトウェアは、個人に紐付く指標の利用を制限され、代わりに集計データや、外部活動の情報、より直接的な消費者とのやり取りを使う方向にシフトしていくことになるでしょう。Pardotは、その流れに対応していきます。

 

今後数か月以内に、プライバシーに配慮したPardotの新たなエンゲージメント機能を、ロードマップに追加できる予定です。最新情報については、Winter '22以降のリリースノートをご覧ください。現在は、行動データを外部ソースから取得してオートメーションやEngagement Studio(英語)で利用する機能を検討中です。これらの機能により、まもなく適用される変更だけでなく、これから先に起きるであろう変化に対しても、柔軟に対応することができます。

 

より効果的なデータ活用を支援するSalesforce Marketing Cloud 2021年6月リリース(英語)には、Pardot関連の機能強化が2つ含まれています。

 

このブログ記事は、「セキュリティ、プライバシー、テクノロジー」シリーズ(英語)の一部です。