社会への貢献が企業の評価に反映される今日、人類最大の課題と言える気候危機に対し、企業・組織の果たすべき役割、Salesforce自身 のビジョンと取り組み、そしてテクノロジーが支援できることを示すホワイトペーパー「サステナブルなDXがもたらす企業価値向上とビジネスの成長」のご紹介です。

 

最大のグローバルリスクである気候変動と企業・組織の役割

気候危機は今まさに人類が直面している課題であり、待った無しの対応が迫られています。これは私達の住む地球全体の大きなチャレンジと捉えられます。 このように社会全体が大きな課題に直面しているこの時代、人々の価値観にも変化が生まれています。ビジネスにおいても、ステー クホルダー全体の利益を考え、環境もその最も大きなステーク ホルダーと捉えて、環境に配慮したサステナブルなビジネスを志向し、積極的にその情報を開示する企業・団体等の組織(以下「企業」)が続々と増えています。そしてそれは市場の要求となり大き なうねりを巻き起こしつつあります。世界に目を向けると、全世界に拠点を持つグローバル企業による、脱炭素に向けたサプラ イチェーンの再構築の流れが起こっており、日本企業はグローバ ルな取引において脱炭素化を推進する必要があり、対応できない場合にはサプライチェーンから外されるリスクを負うということに他なりません。このように気候危機の解決において、企業は重要な役割を担っています。

 
 

グローバル課題からのESG投資への流れ

気候変動問題の重要な要因の一つとして、企業活動が挙げられ、2006年に国連での提言をきっかけに、ESG(Environment, Social, Governance)を重視すべきという考え方が社会に広まりました。その後、これらグローバル課題の更なる深刻化に伴い、SDGs(国連持続可能な開発目標)が2016年に発効されるとともに、同年に、気温上昇を抑え、カーボンニュートラルを目指したパリ協定が発効されました。これらは、サステナビリティ実現に向けたグローバルレベルでの対策の大転換点となったといえます。

このような社会的潮流により、企業のESG対応戦略の巧拙が財務及び事業継続に大きな影響を与える社会になり、企業のESG対応に対する投資家等の関心が急速に高まっていることから、ESG投資が進展しています。ESG投資額は、2018年には既に約30.7兆ドル(約3,300兆円)に達しており、昨今では世界の投資の約1/3はESG投資になっています。

そしてESG投資の進展とともに、企業のESG情報は、投資家や金融機関にとって企業価値等の的確な評価のために不可欠な情報になりつつあります。そのため、ESG投資の際の基礎情報となるESG情報開示への圧力やサステナビリティ評価制度への注目度が急速に高まっています。
今後ESG情報は、投資家が企業のサステナビリティに関する適切な判断をするための基礎情報として、ますます重要性が高まっていくことが想定されます。

 
 

サステナブルなデジタルトランスフォーメーションへ

今後企業には、自らの稼ぐ力の持続と社会のサステナビリティ実現の両立を図り、経営の在り方や投資家との対話の在り方を変革する「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」*1の実現が求められてきます。
そして企業がSXを目指すのに必要となってくるのは、環境や状況が激しく変化する中で、その変化に対応して自己を変革する能力、すなわち「ダイナミックケイパビリティ:企業変革力」*2であると言われています。
ダイナミックケイパビリティとは、1)脅威や危機を「感知」する能力、2)機会を「捕捉」し既存の資産・知識・技術を再構成して競争力を獲得する能力、3)競争力を持続的なものにするために、組織全体を刷新し、「変容」する能力、この3つの能力を指します。これにより、企業は変化の中においてもより素早くステークホルダーのニーズを捉え対応することができるのです。そして「感知」「捕捉」「変容」の能力を高める上で、デジタル技術の活用が不可欠となってきます。例えば「感知」するためにはデータの収集・分析技術は大きな力を発揮します。機会を「捕捉」しリソースを再構築するにはリアルタイム・データの収集・分析は非常に協力な武器となります。そしてデジタル技術による「変容」こそが、DXなのです。

気候危機に際し、このSXの実現と、それを具現化するデジタル技術の活用、ひいてはDXの推進のため、企業がとるべき具体的なアクションとして、Salesforceでは下記が必要と考えています。

 

1. 高い目標設定とバリューチェーンを通じたアクション

世界全体でパリ協定の目標を達成するために、企業としても同レベル以上(例:2030年2010年比温室効果ガス45%削減、2050年正味ゼロ)の高い目標を設定・表明し、バリューチェーン全体を通じて抜本的なアクションを行うことが必要です。高い目標の表明なしに、イノベーションの実現や革新的なソリューションの開発は困難であるといえます。

2. グローバル課題解決とビジネスの拡大に向けた協働

グローバル課題の解決とビジネスの拡大を両立させるためには、自社のみでは困難であり、協働して対策を行っていくことが必要となります。例えば、サステナブルな製品の共同開発、再生可能エネルギー等の共同調達、調達先や顧客との温室効果ガス(GHG)の排出削減のための協働や優良事例の共有等、様々な協働事例があり、その活動が急速に広がっています。

3. サステナブルなデジタルトランスフォーメーション

持続可能なビジネスを行うためには、事業やサプライチェーンが社会や環境に及ぼすインパクトやリスクを的確に把握するとともに、それをタイムリーにステークホルダーに開示していく必要があり、データの可視化は必須となります。さらにそのデータを分析し、自社のバリューチェーンにおいても持続可能なビジネスのための変革を行い、自社の競争力を高めること、すなわちDXが必要となってきます。サステナブルな事業の運営とDXは車の両輪といえます。

4. イノベーションの実現・革新的なソリューションの開発

サステナブルなDXはイノベーションを生み出します。そして危機への対応には、イノベーションの実現や革新的なソリューションの開発と普及が重要な鍵となります。全ての企業がグローバル課題の解決を事業に組み込み、イノベーションの実現や革新的なソリューションの開発に注力すれば、社会のサステナビリティは飛躍的に向上するといえます。

企業にとって、気候危機における企業の役割の重要性が高まっている今こそサステナブルなDXの実現が必要であり、実現するチャンスであるといえます。そのためには、企業経営者は、ビジネス上の価値観を再評価し、現在・将来の世代のために、より責任と持続可能性を高める方法を考え、事業を通じてリーダーシップを発揮して取組んでいく必要があるとSalesforceは考えています。

 
 

サステナブルなDXがもたらす企業価値向上とビジネスの成長のためにSalesforceができること

「サステナブルなDXがもたらす企業価値向上とビジネスの成長」では、更にSalesforce のビジョンと取り組み、そしてテクノロジーがいかに企業価値の向上のためのステークホルダーエンゲージメントを可能にするか、をご紹介しています。ぜひご覧ください。
パンデミックの結果として、DX はこれまでにないスピードで起こっています。
気候変動というグローバル課題に社会全体が取り組もうとし ている今、企業に求められる事は、DX を加速し、バリューチェー ン全体において持続可能な事業活動を行い、ステークホルダー とのエンゲージメントを深める事です。こうしたサステナブルな DX により企業価値を高め、ビジネスを成長させるという視点が 必要となってきます。

Salesforce は、DX を単なるデジタル技術活用やソリューショ ン導入ではなく、データ志向の、顧客を中心とするビジネスへの 進化であり、企業文化や組織風土の変革をも含めた「トランス フォーメーション」と考えています。文化や風土をつくるのは人で あり、一人一人の行動がトランスフォーメーションの礎となります。 Salesforce は誰もが気候変動の課題に取り組むことのできるよ うな支援も続けています。

  • Salesforceは森林保全を進めており、「1t.org」の創設パートナーとして、2030年までに1億本の樹木を保全・再 生する目標を公表し、その目標に皆で向かう進捗状況を可視化す るデジタル・ツール「Tree tracker」を発表しました。
  • 在宅 勤務をより持続可能なものにするための実用的な方法を提供する 「Sustainability at Homeガイド」を発行しています。
  • 誰もがスキルや知識の習得のために学ぶことができる Salesforce の トレイルヘッドでは、気候変動問題についても学習が 可能です。


企業、そして私達一人一人の今の行動が未来の地球の姿を創 ります。Salesforce は、ビジネスは世界を変えるための最良のプ ラットフォームであるという強い信念に基づいて、持続可能なよ り良い社会の実現を目指しています。この信念を多くの企業のみ なさまと共にし、より良い社会を作っていきたいと考えています。

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