ディープラーニングとはどのようなものか説明を求められた際、名前はよく耳にするものの、その概要やメリットを具体的に説明できる人はそう多くないでしょう。
しかしディープラーニングは、今後のビジネス・社会を牽引する技術として成長することが期待される技術の1つです。
ここでは、ディープラーニングの概要や仕組み、代表的な活用例をご紹介します。
ディープラーニングの技術は、すでに身近なところに多く活用されています。どのような場面でディープラーニングが活躍しているのか。それが分かる3つの活用例をご紹介します。
iPhone・iPad・Macに搭載される音声アシスタント「Siri(シリ)」は、ディープラーニングを活用している最も身近な例の1つです。デバイスに呼びかけると反応し、持ち主が求める答えを提供します。バージョンアップにより実用性は徐々に高まっており、音声のみでカレンダーに予定を登録したり、日本語を英語に翻訳したりできるなど、様々な機能が取り入れられています。
ディープラーニングが、ドローンによる空撮と組み合わせて活用される事例もあります。たとえば、ドローンを通じて取得した画像を高度に判別し、インフラ設備の腐食レベルを自動判定するシステムが日本国内で開発されました。
同システムは、GPS電波の届かない環境でも自律飛行するドローンが点検対象を撮影し、着陸時にクラウドへ画像をアップロードして自動で腐食レベルを地図にマッピングします。ドローンによる機動力とディープラーニングによる高精度な判定により、インフラ設備の保全業務へ大いに貢献することが期待されています。
チャットボットは、人間と対話できる自動会話プログラムです。かつてのチャットボットは、事前に登録されている決まったパターンの文言を返答する拙いシステムでしたが、NLP(自然言語処理)の活用により自然な会話能力を獲得しつつあります。
すでに、企業のホームページや製品に関する問い合わせページなどに、カスタマーサポートやヘルプデスクの一部として組み入れられる場面が増えました。チャットボットも、ディープラーニングの発展により実用性を獲得した分野の1つです。
耳にする機会が増えた「ディープラーニング(Deep Learning)」という言葉ですが、具体的にどのような概念を示す言葉なのでしょうか。
今後、世界の技術進歩の中核を担う技術となるであろうディープラーニングについて、簡単に解説していきます。
ディープラーニングは、AIを発展させるために用いる「機械学習」の一種です。AIを構成するアルゴリズム(計算方法)として大きな期待を寄せられており、すでに多くのシステムに利用されています。
たとえば、自動車メーカーが力を入れている自動運転技術や、私たちの手元にあるスマートフォンの音声入力機能などは、ディープラーニングを用いた技術の代表例です。
十分なデータ量があれば、ディープラーニングを用いてデータから人の手を介さずに適切に特徴を抽出できます。これにより、人間のサポートをほとんど必要とせず、従来のコンピュータではできなかった高度な情報処理を遂行できます。
ディープラーニングは、人間の脳神経を模した入力層・隠れ層・出力層の3つの層から成るシステム「ニュートラルネットワーク」を応用した技術です。つまり、人が行っている情報のインプットからアウトプットまでの仕組みをコンピュータ上で再現したものだといえます。さらに、「ディープラーニング」ではニュートラルネットワークを多層(ディープ)化したことで、より複雑な対応が可能となり、精度の高いアウトプットが実現しました。
ディープラーニングにより可能となった、あるいは精度が高まった代表的な分野を3つご紹介します。
ディープラーニングにより、AIは人間の声を識別できるようになりました。スマートフォンに備わっている音声入力(音声をテキストに変換する)機能も、ディープラーニングを音声認識に活用したものです。
文字・モノ・人物の顔など、画像や動画に写ったものの認識が可能となった要因も、実用レベルに達したディープラーニングの活用によるものです。また、昨今話題となっている自動車の自動運転も、画像認識を応用した技術の1つです。
私たちが普段使っている書き言葉や話し言葉(自然言語)は、非常に複雑な文脈から成り立っています。これをAIに理解させる技術を「自然言語処理」と呼びます。画像認識や音声認識ほどの完成度には至っていないものの、音声対話システムを始めとする多くのサービスに利用され始めています。
ディープラーニングは今後も向上し続け、私たちの生活の向上に様々な面で大きく貢献してくれるはずです。特に、ビジネスシーンに対するインパクトは計り知れず、今でもすでに様々な業種業界で活用されており、今後もさらに私たちの仕事がより生産的に、より良くなるようなAIを活用したサービスが今後生まれてくるに違いありません。
そうしたトレンドを見逃さず、自身の生活やビジネスとの結びつきをイメージしながら、今後も常にアンテナを張ってディープラーニングの動きをウォッチし続けることをおすすめします。