40年後には労働力が40%減少する。そんなショッキングなニュースを聞いたことはありませんか。
これは2014年に総務省が発表した「平成26年版情報通信白書」によるもので、2013年には7,883万人であった生産年齢人口(15〜64歳の人口)が、2060年には4,418万人にまで落ち込むというもの。少し前の資料に思えるかもしれませんが、この資料では2020年の生産年齢人口を7,341万人と予測しており、ほぼ資料通りに減少しているのが現状です。(総務省の統計によると、2019年3月の15~64歳人口は7519万9千人)
IT技術の発展や業務形態の変化などもあるため一概にはいえませんが、それでも現在の業務を40%少ないリソースでこなさなければならないと考えると、戦々恐々たる思いの方も多いのではないでしょうか。この先加速の一途をたどると考えられるリソース不足に対して、企業が取るべき戦略について考えてみましょう。
日本における生産可能年齢人口の比率は、年々低下を続けています。近年はますます加速傾向にあり、今後、労働のリソースが不足することは避けられない状況です。
一方、企業が競い合うべき相手は、国内企業から世界の企業へと変わってきています。そしてそこには、ビジネスにおけるスピード感や、まだ誰も発見していないような新しい価値の創造が欠かせません。
これらの命題に対する一つの解決策となるのが、企業のIT化です。IT化は、業務の効率化、生産性向上、品質向上、納期短縮等に効果を発揮します。それにより、新しい発想を生むための時間が生まれ、世界の企業に立ち向かう競争力を得ることにつながるのです。
しかし、国内の現在の状況を見てみると、企業のIT導入比率はアメリカやイギリス、ドイツなどと比較して明らかに低いのが実状です。
では、IT化はあなたの企業や毎日の作業にどんな変化を与えるのでしょうか。そのメリットを6つに分けて紹介します。
これまで従業員の手によって行われてきた作業を自動化していくことで、それ以外の業務に割く時間を容易に捻出できるようになり、効率的に業務を進めることができるようになります。
業務を効率化することで、同じ時間の中でこれまで以上の成果物を手にすることができるなど、生産性が大きく向上します。
定型化された業務における人的ミスを減らし、安定した業務の遂行が可能となります。製造現場においても工程のオートメーション化により不良品を減らし、より品質の高い製品をより多く製造することができるようになります。
業務が効率化され生産性が向上することにより、必然的に業務のスピードも上がります。部門間などのやりとりもシームレスに行うことができ、納期の早期化に貢献します。
業務の内容や製造している製品のスペック、提供するサービスの情報などをデータ化し可視化することで、企業内の組織の壁を越えた情報の共有が可能となり、業務にプラスのサイクルを生み出すことができます。
IT化により、業務の内容、製造ラインの情報、サービスの提供状況などを蓄積、ビッグデータとして解析することで、会社や製品、サービスにこれまでになかった新たな価値を見出し、次の事業の展開につなげることができます。
事業の拡大や新しい製品の展開時、従業員の離職など、リソース不足に陥る理由はさまざまありますが、いずれのケースにおいても日常の業務に何らかの影響をきたすことは間違いありません。そうした事態においても業務を止めることなくリカバーできるかどうかは、企業としての信頼の問題にもつながるものです。
では、リソース不足時に企業はどのような対応を取るべきなのでしょうか。
社内のリソース不足になったとき、解決策として真っ先に思い浮かぶのは外部委託でしょう。子会社や協力会社、業務請負会社、人材派遣会社などの外部組織から労働サービスを購入することで、これまで社内で行っていた、もしくは新しく発生した業務に対応することを指します。
従来は他の社員と同様に、同じオフィス空間の中で業務を行う形態が主流でしたが、最近は地方や海外など遠く離れた場所にいる相手に業務を発注するケースも増えてきました。また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛により、アウトソーシングを行う場合でも、リモートワークが可能な環境の必要性が浮き彫りになってきました。ビデオ会議システムや業務共有ツールなど、ビジネス関連のITツールが一般化してきたことで、今後アウトソーシングはますます広がりを見せることになるでしょう。
労働力を外部に求めるのではなく、社内のリソースを強化するのも重要な戦略の一つです。高いスキルを持った人材を雇用することや、既存社員に教育を行ってスキル向上をさせることが、リソース不足を解決する一手になるでしょう。
特に最近は社内セミナーの開催やスキルアップ制度の拡充など、社員教育に注力している企業も多く、人材育成の重要性が再認識されています。ビジネススキル研修やコーチング研修などの研修サービスも活用しながら、社員一人ひとりに合った社員教育を実施していくことが重要です。
リソース不足問題に対するソリューションの一つとして、近年注目を集めているのが企業のIT化です。一つひとつの作業をITの力で効率化できれば、過剰なマンパワーを投入することなく生産性を向上することができます。特に最近はSFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)に代表されるような営業支援ツールも登場し、少ないリソースでも数多くの顧客をきめ細やかにフォローできるようになりました。
IT化は、業務効率化や生産性向上の実現に有効な施策です。しかし、導入すれば必ず業務効率化や生産性向上が実現するわけではありません。IT化によって解決したい課題を設定し、具体的な目的や定量評価できる目標を定めたうえで導入しなければ、無用の長物になってしまう可能性もあります。
例えば、受発注や会計など定型の業務でミスが発生し無駄なコストがかかっている場合なら、受発注や会計のクラウドサービス(SaaS)を利用することで人的な作業のミスを減らし、効率化を図ることができます。また、外回りの営業担当者との間で情報共有がうまくいっていない場合には、タブレットを営業担当者に持たせて外出先から情報を送らせることで、効率的に情報共有することができます。店舗でお客様に自社製品やサービスの情報を知らせたい時には、デジタルサイネージを導入することで効率的に視覚情報を届けることができます。
このように、ITを導入する際には必ず解決したい課題を浮かび上がらせ、費用対効果がどれだけ得られるかを考えたうえで具体的な検討に入りましょう。
企業が成長していくためには、優秀な人材の確保や社員教育によるスキル向上、またIT化による業務の効率化などが欠かせません。特に今後、生産年齢人口が減少しリソースが不足する時代に突入するとその傾向は顕著になるでしょう。
こちらのeBookでは、企業をIT化することで業務はどう変わるのか、ITと人が融合することで大きな効果を発揮する11のシーンを具体的な事例とともにご紹介します。これからの時代、避けては通れないIT化を推進するための参考事例として、ぜひご一読ください。
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