*2023年7月24日 更新
ミレニアル世代とZ世代は、同じ「若者」でもマーケティングキャンペーンへの反応が異なります。両者の買い物動向の違いを探ってみましょう。(本記事はUS本社ブログの翻訳版です。翻訳元のブログはこちら:Millennials vs. Gen Z: How Are They Different?)
たった数年で大きな違いが生じています。Z世代とミレニアル世代の購買行動の実態を調査し始めた当初に明らかになったのは、Z世代は現実的で節約志向が強く、ブランドが常に革新的であることを望んでいる一方、ミレニアル世代は理想的で、経験を得るためのお金は惜しまず、お気に入りのブランドに愛着を持っているということでした。
しかし、コロナ禍により世界が閉ざされた2年間で人々の意識はがらりと変わりました。両世代の購買行動に多少の違いは見られるものの、それまでのようなはっきりした違いは見られなくなったのです。各世代の性質や性格の違いを理解することはブランドや小売業者にとって醍醐味でもあり、課題でもあります。
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まず、基本的な情報を確認しておきましょう。
ミレニアル世代とは、1981年から1997年の間に生まれた人と定義されています。つまり、2023年時点で26歳から42歳を迎える世代です。
この世代がこうして括られるのは、その成長がデジタルの台頭とともにあったためです。インターネット環境の整備が飛躍的に進んだ時代に育ち、情報リテラシーに優れ、インターネットでの情報検索やSNSを利用したコミュニケーションを使いこなします。そんな、ITに高い親和性を持った世代です。
Z世代とは、1996年から2015年の間に生まれた世代と定義されています。つまり、2023年時点で8歳から26歳を迎える世代です。
この世代の半数以上は実家で暮らす小・中学生もしくは高校生ですが、実家から離れた大学に通っている人も多いということを念頭に置くことが重要です。このグループ全体が自分で収入を得て消費するようになったときに、志向や購買行動がどのように進化するのか気になるところです。
ミレニアル世代とZ世代では買い物の仕方やブランドとの付き合い方、お金に対する考え方が異なります。
インフレの影響で両世代の購買行動は変化しています。Salesforceが最近行った調査ではZ世代の30%、ミレニアル世代の27%がインフレにより購買意欲が著しく低下したことが明らかになりました。
しかし、ミレニアル世代の27%が節約のためにプライベートブランド商品を購入することが増えているのに対し、Z世代ではその割合がわずか13%にとどまりました。また、ミレニアル世代(26%)はZ世代(22%)よりも頻繁にディスカウントの小売店を利用しています。Z世代よりも、ミレニアル世代のほうが家庭を持っている割合が多いのでこれは当然の結果です。インフレにより高騰する食費を抑えるために、ミレニアル世代はこういった選択肢をとっています。
Z世代のほとんどが家庭をまだ持っていないことから、Z世代は自分の判断で節約していると考えられます。インフレによりZ世代の22%が新品よりも中古品を購入しているのに対して、ミレニアル世代はこの割合が19%です。さらに、買い物の支払いにZ世代の18%が後払いを利用しているのに対して、後払いを頻繁に利用するミレニアル世代はわずか15%にとどまりました。
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ミレニアル世代は、オンラインでの買い物に慣れ親しんでいます。ダイヤルアップによるインターネット接続から常時つながっている状態へと世界が変わりゆくのを目の当たりにしており、”いつでも・どこでも”この便利さを享受してきました。しかし、ミレニアル世代は未だにZ世代よりも頻繁に店舗で買い物をします。
その理由には、ミレニアル世代は店舗での買い物の即時性を好んでいることが挙げられます。Salesforceのコネクテッドショッパー最新動向レポートによると、ミレニアル世代の48%が「配送を待たず、すぐに商品を手にできること」が店舗を訪れる主な理由の1つとして挙げているのに対し、Z世代ではこの割合が39%でした。
Z世代の52%に比べ、66%のミレニアル世代がオンライン購入品の店舗受け取りを利用していることからも、すぐに店舗を訪れる必要性が明確になっているといえます。ミレニアル世代をターゲットとする小売業者には、店舗でのスムーズな受け取り手続だけでなく、シームレスな決済方法や商品を見つけやすい店舗内レイアウトが求められるといえるでしょう。ミレニアル世代にとって、学校に子供を迎えに行くついでに目的の店舗で必需品を受け取るのは、もっとも効率的かつ経済的な選択肢である可能性が高いのです。
しかし、Z世代も食料品の自宅配達には即時性を求めています。Z世代はオンデマンドエコノミーと共に育ちました。Uber、Lyft、Instacart、UberEats、DoorDashは2010年頃に創設され、Z世代に人気の30分以内の配達を約束するGoPuffも2013年に登場しました。
このことからも、ミレニアル世代の70%に対し、Z世代の76%がブランドよりも利便性を求めていることに驚きはありません。Salesforceの調査によると、Z世代の27%が1時間以内の食料品配達を望んでおり、23%が同じ時間内でのアルコール飲料の配達を希望しています。ミレニアル世代ではこれらの割合が食料品は12%、アルコール飲料は11%にまで低下します。
Z世代は生まれた時からタブレット端末に触れる機会があり、従来とは異なるデジタルチャネルを通した買い物にも慣れています。Z世代の64%がソーシャルショッピングを楽しんでおり、InstagramやFacebookなどのプラットフォームを商品チェックや購入に利用しています。また、41%がSNSインフルエンサーを介して買い物をしています。Z世代に比べてミレニアル世代は、こういったチャネルへの関心は低く、ソーシャルショッピングは58%、インフルエンサーを介した買い物は32%が利用していると答えています。
Z世代はロイヤルティプログラムに高い関心を示しておらず、加入していると答えたのはわずか45%でした。分かりやすくて使いやすいプログラムを展開できれば、ブランドや小売業者は、この加入率の低さを将来的なメンバー数増加のチャンスへと変えることができるかもしれません。Z世代の48%が利用規約の簡素化を求めており、57%がロイヤルティプログラム加入の条件として、特典が自動的に適用されることを挙げています。さらに、55%がブランド毎のロイヤルティプログラムではなく、特典が複数のブランドで適用されることを望んでいます。また、62%が特典がパーソナライズされたものであれば、ロイヤルティプログラムに加入する可能性が高くなると答えています。
一方でミレニアル世代のロイヤルティプログラムへの関心は高く、61%が少なくとも1つのメンバーシップに加入しています。Z世代と同様に、ミレニアル世代もパーソナライズされた特典(60%)や特典の自動適用(61%)を加入条件として挙げています。
しかし、プログラムの種類の好みはまったく異なっています。Z世代は65%が買い物でポイントが貯まるプログラム、46%がキャッシュバック特典を好んでいます。ところがミレニアル世代では、78%がポイント獲得を好んでいます。キャッシュバックも同様で、53%がその特典があれば加入したいと答えています。興味深いことに、節約志向のZ世代の27%が有料プログラム加入してより充実した特典を得ることに意欲的であるのに対し、ミレニアル世代ではその割合が21%となっています。
ミレニアル世代はこだわりのブランドがあり、それをオープンにすることにためらいがありません。同世代の70%が自身のニーズや期待に対応してくれるであろうと、企業を信頼しています。これは、ミレニアル世代の69%が購入するブランドに感情的な結びつきを感じていることが理由かもしれません。
79%ものミレニアル世代が、ブランドが自身の期待を把握してくれることを期待しており、68%は企業が自身のニーズに応えてくれることを期待しています。また、ミレニアル世代はブランドロイヤルティを相互的なものだと考えており、63%が常にパーソナライズされたオファー提供をブランドに期待しています。
Z世代では、63%のみが購入するブランドに感情的な結びつきを感じています。Z世代はの70%が自身の独自のニーズや期待をブランドが汲み取ってくれると期待しています。また、常にパーソナライズされたオファーを企業が提供することに期待するZ世代の割合は54%にとどまっています。
ミレニアル世代とZ世代がさまざまな点で異なっていても、ブランドはどちらの世代とも信頼関係を築かなければなりません。それには、データを活用し、両世代がもっとも重視していることを把握し、要望やニーズに合わせてオファーをパーソナライズする必要があります。
ミレニアル世代もZ世代も、誠実で透明性の高いコミュニケーション(ミレニアル世代97%、Z世代96%)や、企業とのあらゆるやり取りにおける一貫性(ミレニアル世代95%、Z世代93%)を望んでいます。プライバシーに関しても懸念を抱いており、ミレニアル世代の97%、そしてZ世代の92%が、顧客個人情報の適切な取り扱いへの保証を求めています。
最後に、もっとも重要な点として、両世代はデータ上の「数字」としてではなく、「一個人」として見られることを望んでいると、ミレニアル世代の95%、Z世代の91%が回答しています。永続的なロイヤルティを築くには、ブランドはあらゆるやり取りを顧客特有のものにカスタマイズし、進化し続ける購買行動や一人ひとりに見合った製品、サービス、プロモーション、特典を提供する必要があります。
世界各国の6,000人以上のマーケターへの調査と数兆件に上る実績データから、変わりゆくトレンドや全世界のマーケターの優先事項やKPIなどをご紹介します。
Salesforceのコンテンツ戦略ディレクターであるHeikeは、セールス、顧客体験、デジタル変革に関するトレンドを調査し、執筆しています。彼女は、Salesforceが賞を獲得したデジタルマーケティング関連のポッドキャスト「Marketing Cloudcast(マーケティングクラウドキャスト)」のホストとプロデューサーを2年にわたって務めました。Salesforceの前は、ベストセラーのノンフィクション本の編集を担当し、B2Cブランドのソーシャル戦略およびコンテンツのマネジメントを行いました。Heikeの仕事ぶりは、USA Today、Forbes、Wall Street Journal、Business Insiderなどの誌面で取り上げられています。