企業の採用活動は、年々厳しさを増しています。2019年3月卒を対象とした最新の調査結果によると大卒求人倍率は1.88倍となり、7年連続で連続上昇。とくに従業員数300人未満の中小企業では9.91倍となり、採用が極めて難しい状況が続いています。どの企業も凌ぎを削って採用活動にリソース投資をしているにも関わらず、厚生労働省のデータでは新卒入社後3年以内の離職率は、従業員数100〜499人規模の企業において30%超。離職率が低いとされている従業員数1,000人以上の企業でも、20%台から下がる気配は感じられません。
新入社員の離職がもたらすのは、採用活動にかけた投資回収の問題だけではありません。若年層を定着させられないと次の時代を担う人材を育成できず、結果的に未来の事業経営の大きなリスクになるため、部署やチームだけでなく組織全体で取り組むことが大切です。
では、新入社員の離職を防ぎ、定着率を上げるにはどうすればよいのでしょうか?
少し前まで、新入社員は「ミレニアル世代」と呼ばれていました。アメリカのピュー・リサーチ・センターが定めたところによると「ミレニアル世代」とは1981〜1996年に生まれた人を指し、デジタルネイティブの先駆けとしてこれまでとまったく異なる価値観を持つ世代です。一方、2019年に新卒入社を迎えるのは1990年代後半に生まれた「Z世代」と呼ばれる世代。「ミレニアル世代」よりさらに“生粋の”デジタルネイティブで、生まれたときからデジタル機器が生活の一部になっており高速インターネット、スマートフォン、SNSとともに成長してきました。
そんなZ世代の新入社員は、どのような職場環境を求めているのでしょうか。代表的なものとして「オープンなコミュニケーション環境」「評価基準の透明性」「個性の尊重」「業務の効率性」が挙げられます。いずれもSNSなどの新しいツールを活用して他人と日常をシェアし合うことが生活の一部になっているからこそ醸成された、Z世代ならではの特色だと言えるでしょう。
重要なのは職場環境を整えて新入社員の離職を防ぐだけでなく、「いかに事業成長をリードしうる存在として育成するか」という点です。モチベーションを高めて力を発揮できるよう、上司・先輩としてどのようにリードしていくべきなのでしょうか。もはや一方的に知識・経験・スキルを教え込むという方法は時代遅れ。とくにZ世代の心には響きません。そこでZ世代の新入社員を即戦力化するために「やってはいけないこと・やるべきこと」5カ条をご紹介しましょう。
SNS を通してさまざまな価値観に日常的に触れているZ世代にとって、「多様性」は大切なキーワードです。リーダーが一方的かつ高圧的に命令することは彼らの価値観に反すると言えるでしょう。上司・先輩ではなくメンターとしてZ世代の価値観に寄り添うこと、プロセスを共有して意見を交換しながら進めることが成長の第一歩となります。
「何が求められているか」を基準に自分を変えようとするのではなく、「自分の個性をどう活かすか」を重視する傾向にあるZ世代。彼らにとって全員を同じように育成する手法は、抵抗感が大きいかもしれません。一人ひとりの個性をどうすればフルに発揮できるのかをベースに組織を構成・運営することがポイントになるでしょう。
一人ひとりの個性を的確に見極めるためには、リーダーが最前線のプレーヤーになるのは避けるべきです。後方で必要なサポートを行い、一人ひとりが主体的に考え行動する環境をつくりだすことがポイントになります。それにより個性の把握ができるだけでなく、新入社員が事業貢献へのやりがいを実感しやすくなるというメリットも生まれます。
Z世代は評価基準の透明性を重視します。「一生懸命やっていたから」などリーダーの主観的な判断での評価では、彼らと信頼関係を築くことはできず、成長のためのモチベーションを引き出せなくなるでしょう。そうならないためにも、プロセスと成果をきめ細かく“見える化”し、相互に納得感を持って評価を決定することが不可欠です。
あらゆるプロセスにおいて効率性を重視するZ世代にとって、慣習や自己満足のためだけに従来から続けている非効率な仕事は、理解できません。ソフトウェア、クラウドサービス、アプリの導入など新たな仕組みづくりにZ世代のアイデアを活かすことで、Z世代が働きやすい環境づくりと彼らのモチベーションアップを叶えられるでしょう。
より大きく、よりスピード感を持って世界が姿を変えつつある今日、継続的に事業成長するためには若手世代の力が不可欠です。ここまで優秀な若手社員を定着させ育成するための5カ条をご紹介してきましたが、これらは企業活動に関わる顧客情報や営業活動を可視化できるツールやシステムの活用することで、実現しやすくなるかもしれません。活動のプロセスを共有することで、新入社員は成果を出しやすくなり、リーダーにとっても個々の状況を把握し評価しやすくなるなどのメリットが生まれるでしょう。
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参考文献:
・「第35回ワークス大卒求人倍率調査(2019年卒)」(リクルートワークス研究所 2018年4月26日)
・「新規学卒就職者の離職状況(平成27年3月卒業者の状況)」(厚生労働省 2018年10月23日)