Salesforce World Tour Tokyo会場から配信した「Salesforce NOW」のCultureコーナーでは、フリーアナウンサーの望月理恵さんをMCに迎え、子どもたちの多様な学びのあり方と企業連携についてNPO法人フリースクール全国ネットワーク 代表理事の江川和弥さんにお話しいただきました。
望月さん:Salesforceはどれだけ社会貢献に対して本気なのですか?教えてください。
Salesforce 社会貢献部門・丸野遥香(以下、丸野):Salesforceでは創業から20年以上1-1-1モデルと呼ばれる、就業時間の1%、株式の1%、製品の1%を通じて地域社会に貢献する取り組みを続けています。その根本には、「ビジネスは社会を変えるための最良のプラットフォーム」であること、そして、地球を最大のステークホルダーととらえてアクションを続けています。今回も「Team Earth」としてお客様と取り組むボランティアブースの運営も行っています。
望月さん:株式の1%はどういうところを支援しているのですか?
丸野:Salesforceのコアバリューの1つである「平等」に基づき、格差の広がりつつある若者の「教育」やキャリア支援などの「労働力開発」分野において、各NPOの皆様と連携しています。最近では、不登校のこどもたちに着目し、子どもたちの居場所となるフリースクールのデジタル学習教材や現場を支えるスタッフの方の研修の開発、また、全国のフリースクールの実態調査を支援しています。連携先の1つである、福島県会津若松市にあるフリースクールの様子を動画でまとめてきましたので、ご覧ください。
望月さん:不登校は少しネガティブな印象というか、それだけ日本では増えたのかという印象なのですが、フリースクールができることによって色々な可能性が広がったということなのでしょうか?
江川さん:ありがとうございます。私は福島県会津若松市という人口約10万人の町でフリースクールを運営し、24年ほど経ちます。学校に行かない子どもは毎年増えており、昨年の調査実績で24万人ほどの子どもたちが学校に行かない状況になっています。その子どもたちがどう学ぶかが問われていて、私たちのようなフリースクールで学べる子どももいれば、なかなかフリースクールに辿り着かない子どもたちも多いのが実態です。子どもたちの学校外の学びをどう充実させていくのか、今後この社会にとって大事な問題だと思っています。
望月さん:子どもたちに、学びの場でどういう力を身につけてほしいと江川さんは思っていらっしゃいますか?
江川さん:ヨーロッパなどもそうですが、いわゆる公教育を受けない子どもは人口の1割くらいはいて、今後も公教育を受けないという選択をする子どもたちはいると思います。その1割くらいの子どもたちが自分の頭で考えて、自分で判断して、何か挑戦していく、そんな時間を手に入れるということが、逆にこれからの日本の社会や教育にとって非常に大事なことなのではないかと私は思っています。
望月さん:子どもたちが前向きな気持ちになり、行動に出るということは親がどう動くかということも大事になってくるかと思うのですが、親たちはどう行動していけばいいのでしょう?
江川さん:フリースクールに通う1番の要因は、保護者の方がフリースクールを紹介してくれるということです。保護者の方自身も学校に行かなくなった子どもたちをみて、すごくパニックに陥ったり、自分自身の教育を責めたりすることは初めの段階で起きるのですが、親子関係を崩してお互いに責め合ったり、自分の子どもを病院に連れていくだけでは何も解決しません。実際子どもたちは間違った判断をしているのではなくて、自分に合った学びを探しているんだということを保護者の方が理解をすれば、「この子に合った学びはどこにあるのだろう」「どういう学びをすればいいのだろう」とトライするようになります。そんな場所がフリースクールであって、私たちも子ども中心に子どもたちに応じた学びを創っていくというのが我々の一つの目的です。そんな場所を保護者の皆様と創って行きたいと思っています。
望月さん:フリースクールに通っている子どもたちの変化はどんなものがありますか?
江川さん:よく言われるのは2つ、1つはよくしゃべるようになること。フリースクールは子ども中心なので、どうしたいの?とか、今何を考えているの?どんな気持ち?などを表現することを問われていて、自然としゃべることができるようになります。もう1つは、フリースクールで学校とは違う学びをトライすることで、高卒の資格と学校外の学びを両立できるようになり、それを変化として捉えています。
望月さん:そんな子どもたちを企業が支援する重要性はどういうところにありますか?
江川さん:Salesforceさんが学校外で学んでいる子どもたちを差別しないという視点で見ていてくれることは大きいですし、ITを通じた支援ということで、子どもたちが自分たちで使えるようなオンラインの学習教材(eboard)を支援いただいていて、自宅でもフリースクールでもどこでも勉強ができます。子どもたちはそれらを1.7倍速で聞いたり、繰り返し聞くことができます。自分のペースで学べることは非常に魅力だと感じています。
丸野:子どもたちに合う学び方という話が出ましたが、学びが多様化するということは環境を問わず学ぶ環境が必要となった際に、私たちのようなIT企業やテクノロジーが貢献できる部分は大きいのではないかと日々感じています。
望月さん:地球を1つのチーム「Team Earth」として、大人も子どもも1つのチームとして成長していくためにはどうしたらいいのでしょうか?
江川さん:大人が子どもに相談する、という場合もあって良いかと思います。例えば、ゴミ問題ではあれば、どうしたらゴミを減らせるのかなど、大人が子どもをリードしないといけないと思うのではなくて、大人が子どもと相談しながら一緒に作っていく。それが未来の大人を育てていくことにつながると思っています。それが未来のごみの減量や地球の環境保全につながっていくと思います。
丸野:子どもの教育に関してもTeam Earthの取り組みの1つだと思いますし、色々な取り組みをもって、みなさんと一緒に地球のためにアクションを一緒に起こしていきたいと思います。
望月さん:企業と非営利団体が協働することによってできることがより増えますよね。企業の参加は大きな力になりますか?
江川さん:行政だけでもできないし、非営利団体でもできない。そこに企業が入ることによって自由な支援が広がり有り難いと思っています。子どもたちも将来どういう企業で働くかは分かりませんが、自分たちの働くイメージが、企業の皆さんと一緒にボランティア活動をしたり、一緒に行動をしたり学び合うことによってイメージができるというのも子どもたちにとって大きなことだと思っています。
最後に、イベント会場では2日間にわたり、NPO法人 荒川クリーンエイド・フォーラムの皆様のご協力のもと、ボランティアブースを運営しました。マイクロプラスチックと土をより分ける活動を通じて、河川/海洋ごみ問題の啓発を行うことが目的です。2日間で約300名のお客様にご参加いただき、約1リットルのマイクロプラスチックが採取されました。採取されたマイクロプラスチックは荒川クリーンエイド・フォーラムさんが運営するマイクロプラスチックアクセサリーブランド「aid to」のアクセサリーの材料としてアップサイクルされます。
荒川クリーンエイド・フォーラムさんの活動の詳細は、YouTubeチャンネルをぜひご覧ください。
Team Earth は、地球で暮らす、すべての人々のために、より良い未来につながるアクションを起こすムーブメントです。持続可能な未来を創造し、ポジティブな変化へつなぐために、私たちと一緒に一歩踏み出してみませんか。