1974年に日本初のがん保険とともに創業したアフラック生命保険株式会社。顧客接点におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)のファーストステップとして、コンタクトセンターを再構築されました。同社のCIOとしてデジタルトランスフォーメーションをリードする上席常務執行役員の二見 通氏が、プロジェクト立ち上げの経緯とその成果について紹介しました。(本ブログは2018年12月にSalesforce World Tour Tokyoで実施されたセッション “お客様の成功を支援するSuccess Cloud〜事例 アフラック生命保険株式会社”の内容をもとに作成されています)

 

コンタクトセンター再構築プロジェクト

〜プラットフォーム選定のための5つのポイント

アフラックは「『生きる』を創る。」をブランドプロミスとして、2018年3月末時点で契約者数1553万人、保有契約件数2441万件を誇ります。そして「デジタルを活用した最高の顧客体験の提供」を掲げ、コンタクトセンターの再構築プロジェクトに着手しました。

「お客様と代理店、そしてアフラックがタイムリーな情報で結ばれていなかったことが、私たちのペインポイントでした」と、二見氏は語ります。従来のコンタクトセンターは、新規加入、保全、代理店、保険金、主管部に関する5つの業務で、それぞれ異なるシステムを採用していました。新規加入のお客様、代理店からの問い合わせ、保険金にかかわるご相談などそれぞれについて電話応対履歴が管理され、データが分散していたのです。加えて、操作性やデザインに統一性がなく、5つのシステムで定期的な製品のバージョンアップも必要でした。

再構築にあたっては、「デジタルを活用した最高の顧客体験の提供」をゴールに5つの選定ポイントが絞り込まれました。1つ目は、コンタクトセンターを1つのアプリケーションと捉え、あとからアプリケーションの追加が可能で、かつ多くのビジネスアプリケーションに対応できるプラットフォームであること。2つ目は、開発の効率性やコスト効率化を考えてプラットフォームを選択すること。3つ目は、開発の効率性を高めるため、豊富な標準機能を備えていること。4つ目は、グローバルな知見、経験を取り入れるためのベストプラクティスが用意されていること。5つ目は、充実したサポート体制です。

(アフラック生命保険株式会社 上席常務執行役員 チーフ・インフォメーション・オフィサー 二見 通氏)


常時利用が1000名ユーザー規模のシステムを300人月で構築、開発コストを30%削減

多くの議論を重ねた結果、新たなコンタクトセンターの基盤システムとして選択されたのがSalesforceでした。「1つのプラットフォーム上に、新規加入、保全、代理店、保険金、主管部の5業務がすべて集約できました。その結果、一貫性がある顧客対応を実現したのです」と二見氏は話します。

顧客データが共有されたことで、オペレーターの顧客対応がスピーディになり、質も向上しました。加えて、オンプレミスで開発した以前のシステムに比べ、開発コストは30%も削減。さらに、二見氏は開発のスピードにも導入した効果を実感したといいます。「Salesforceの開発は3つのフェーズに分けて進めたのですが、トータルの開発工数はなんと300人月です。約3500人の総スタッフが利用し、内1000名が常時利用するコンタクトセンターのシステム。それなりの大規模システムが短期間で開発できました」と、驚きを表現します。

 

カスタマイズを徹底的に排除、Success Cloudを通じてベストプラクティスを導入

こうしたプロジェクトの成功要因はどこにあったのでしょうか? その1つに二見氏は「カスタマイズを徹底的に排除した点」をあげます。既存システムでは、それぞれの業務に合わせて個別にカスタマイズが重ねられていました。便利な一方、バージョンアップなどでは非常に苦労をしていたため、カスタマイズの排除が目指されました。実現にあたっては、Salesforceの標準機能を最大限に活用する必要があります。

そこで同社が活用したのがSuccess Cloudでした。Success Cloudは、Salesforceを最大限に活用し、お客様を成功に導くために準備された無償・有償を含むサービスの総称です。「学習」「定着化」「ビジネス変革」を支援するさまざまなリソースやプログラムが提供されています。

アフラックでは、定着化支援の「アクセラレータ」プログラムやSalesforceとCRM業務、ITアーキテクチャーの専門知識を備えたエキスパートによる「アドバイザリーサービス」を通じて、標準機能を最大限に活用しながら、リリース後の継続的改善を続けられるシステム構築を実現しました。学習ではオンラインラーニング「Trailhead」を存分に活用し、人材育成にも取り組みました。

「我々はカスタマイズの徹底的な排除を目指しましたが、Salesforce製品の標準機能に詳しかったわけではありません。Success Cloudを併用することで、国内のみならず米国のナレッジまで余すところなく提供してもらい、グローバルなベストプラクティスを取り込むことができたのです」(二見氏)

 

デジタルトランスフォーメーションの成功には社員と企業文化の変革が重要

プロジェクト成功のもう1つの大きな要因は「社員と企業文化の変革」であったといいます。デジタルトランスフォーメーションの実現に向けて、「どのように企業文化を変革させられるか」に悩む企業は少なくありません。二見氏はこの問いに対し「まずは企業という大きな括りではなく社員個人の背中を押すことに注力すべき」と実体験を語りました。

「企業には、優秀でも最後の一歩を踏み出せない人がいるはずです。まずはその人の背中を押し、支援することです。すると結果が生まれ、その成功が自信につながり、次のチャレンジへと進ませます。一人の成功により周りでもチャレンジする人が増えていきます。気が付くと企業が正のスパイラルに入っていくのです」(二見氏)

そこには「忍耐も必要」と二見氏は付け加えます。「システムもビジネスもアジャイル展開が主流となっていきます。短期間で結果が求められるわけですから、当然失敗もあります。失敗を恐れないカルチャーは必要不可欠になっていくでしょう」(二見氏)

お客様に最高の顧客体験を提供するためにコンタクトセンター再構築プロジェクトを成功させたアフラック。今後、お客様向け、代理店向けのアプリケーションなどもSalesforceのプラットフォーム上に展開していき、すべてのデータが最新の状況で共有出来る状況を描いています。最高の顧客体験を目指し成長し続ける同社の取り組みを、Salesforceは製品とSuccess Cloudの両面から支援し続けます。

 

関連リソース:

·       Success Cloudカタログ(PDF)

·       Success Cloud Webサイト

 

Salesforce World Tour Tokyo 2018 のセッション動画や資料の一部をこちらで公開しています。また基調講演の模様は、ブログでもご紹介しています。ぜひチェックしてみてください。