2018年第3四半期(2018年8月〜10月期)は、買い物客の支出とデジタルトラフィックの双方が順調に伸び、デジタルコマースの堅調な成長が見られました。セールスフォース・ドットコムが第3四半期ショッピングインデックスでまとめたCommerce Cloudデータによると、買い物客の支出は6%拡大し、またデジタルトラフィックが11%増加したことで、小売企業は前年比17%という高いデジタルコマースの成長率を上げていることが分かりました。また、買い物客がブランドに対してこれまでで最高レベルのエンゲージメントを示し、モバイルによる注文がコンピューターを上回るまであと一歩に迫るなど、単なるデジタルコマースの成長にとどまらない興味深い四半期となりました。
第3四半期ショッピングインデックスでは、購買活動のトレンドと変化を見極めるため、全世界の5億件を超える買い物客の活動を分析しています。現在の小売業界のトレンドを理解するために役立つ、次のような調査結果が明らかになっています。
買い物客は、購買の増えるホリデーシーズン前に小休止することなく、ホリデー以外の期間としてはこれまでで最高レベルの購買意欲を示しました。この四半期の購買意思(検索、カートへの商品の追加、支払い手続きの開始など)は22%まで上昇し、2016年第3四半期以降、21%の伸びを見せました。ブランド企業はコンピューター、モバイル、タブレットなど、あらゆるチャネルで買い物客のエンゲージメントが着実に向上しており、「脆弱な」チャネルは存在しないことが示唆されました。
セールスフォース ・ドットコムでは、今年9月に、今年のホリデーシーズンにはモバイルでの注文が全注文の46%を占めることを予測していました。しかし第3四半期の時点ですでに、この予測の実現に限りなく近づいていました。買い物客の45%がモバイルフォンを通じて注文を行っており、モバイル端末がコンピューターを追い越して注文の過半数を占めるまで、あと1ポイントに迫っています。言うまでもありませんが、小売企業はモバイル体験を最優先させ、まずチェックアウトファネルからフリクションを取り除く必要があると言えます。
サイト検索は、エンゲージメントの構成要素としてますます重要性を高めています。実際に2016年以降、サイト検索の利用は22%にまで増加しています。これまで以上に多くの買い物客が、検索機能を利用して、希望する商品を正確に特定しています。しかし、サイト検索が収益にもたらす貢献度は、この期間を通じて横ばい状況が続いています。つまり、小売企業が買い物客との強力なエンゲージメントのトレンドを最大限に活用するなら、検索機能をよりスマートにするなど、サーチャンダイジング戦略の向上に注力する必要があります。
第3四半期は、ソーシャルメディアプラットフォームから小売サイトへの訪問はわずかに拡大し、2017年第3四半期の全トラフィック中4%から、5%へと増加しました。しかし、デバイス間のアトリビューションの差異は際立っており、モバイルトラフィックの7%がソーシャルプラットフォームに起因するものであった一方、コンピューターの場合はソーシャルメディアからの訪問は全体の2%未満でした。これが示唆していることは明白で、ソーシャルメディアに明るい買い物客には、モバイル端末のほうが好まれていることが分かります。しかしモバイルの本当の意義は、トラフィックの割合よりもさらに奥深いところにあります。ソーシャルメディアでは、ロートラフィックの前年比成長率が大幅に増加しており、モバイル端末ではコマースサイトへのトラフィックが46%も増加しています。
詳細なデータ駆動型のインサイトについては、第3四半期ショッピングインデックスをご参照ください。
今回のインデックスは、米国、カナダ、英国、ドイツ、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、および北欧諸国の主要市場にフォーカスし、全世界の5億を超える買い物客の活動を分析して、購買の真実を明らかにしています。この一連のベンチマークは、デジタルコマースの過去9四半期および現在の状況について、詳細な考察を提供しています。
※ 本ブログは、米国で公開した Q3 Shopping Index: Strongest-Ever Shopper Engagement Heading into the Holiday Season の抄訳版です。