2016年9月に発表されたSalesforceのAI(人工知能)であるEinstein。3年目を迎えたいま、AIはどこまで進化して、営業現場において活用できるようになったのでしょうか。今回はSalesforceが提供するアプリケーションのなかから、Sales Cloud Einsteinですでに提供している主要機能をあらためてご説明するとともに、2018年Summerリリースでついに登場したEinstein 売上予測についてもご紹介します。
Salesforce Einsteinは、Salesforceに組み込まれた人工知能です。Salesforce上にあらかじめ組み込まれているため、AIを活用するのに専門知識は必要ありません。あらゆる業務、部門、業界のビジネスユーザーを支援できるように、設計されているのです。
例えば、見込み客情報を選別するためにAIを利用しようとすると、従来のアプローチであれば、
といった、時間やリソース、専門人材が必要でした。しかし、Salesforceなら誰もがAIを活用できるのです。
Sales Cloudは、世界No.1の営業支援アプリケーションです。これを利用することにより、営業プロセスにおいて、見込み客を管理したり、商談の受注率を向上させたり、モバイルで情報にアクセスして直接次の営業活動につなげるなど、生産性を向上することができます。Sales Cloud Einsteinは、AIエンジンにより、CRM上にあるデータを利用して、営業プロセスをさらに効率化・自動化していくための機能を提供しています。具体的には営業現場における課題を次のような機能で支援することが可能です。
リードとは、見込み客情報のことを示唆します。展示会で受け取った名刺、ウェブからの問い合わせなど、営業活動の中ではたくさんの見込み客情報が発生します。しかし日々たくさんの見込み客情報は獲得できていても、一体それらの情報がどのくらいの確度で商談につながるのかは分かりません。そのため、それらの見込み客のうち、過去に商談化したお客様と類似している点がどのくらいあるのか、ということを数値化して明示化していくプロセスをリードスコアリングと呼ぶのです。
従来リードスコアリングを行うには膨大な作業を要していましたが、Sales Cloud Einsteinのリードスコアリング機能は、Sales Cloudに格納された「会社名」、「部署名」、「役職」といったデータを分析して、商談に結びつきやすいリードを数値化して把握することが可能になります。
営業現場においては、マーケティングもしくはインサイドセールス(内勤営業)などのチームが、この機能を利用することで効率的な営業活動を展開することができます。
商談スコアリングとは、前述したリードスコアリング同様、商談が有望かそうでないかを数値化して見極め、限られた営業リソースを効率的に投下することを支援する機能です。過去に成約した商談、失注した商談を分析して、有望な商談を見極めます。
商談を分析するにおいて重要なのは時間軸と連動する項目データです。日本企業において良く利用されている日報データだと、商談をその時々の「点」で捉えることになります。しかし商談情報をSalesforceに格納してデータを構造化することで、下記のような「線(時間軸)」で商談化活動を読み解くことができるのです。
このような形でデータを見た場合、過去に商談が上手くいった、つまり「勝ちパターン」であるものは、時間軸から見て、この時点で、この段階まで商談が進んだという履歴が分かるのです。つまり、過去の勝ちパターンと近い形で商談が動いているものは、スコアが高く、そうでないものは、スコアが低くなります。また、スコアが低くなった理由について、次に取るべき行動をAIが示唆してくれるのです。
従来このような働きは、営業マネージャーが勘と経験で行っていたのが実情でした。しかし、AIを利用することで、属人的なマネージャースキルを補うことができるようになり、また個々の営業担当が自分で生産性を伸ばすことが可能になるのです。さらに営業マネージャーが当該の売上を確保するために、営業活動の優先順位を見極めるのにも有効です。
売上予測は、2018年6月にリリースされたばかりの新機能です。売上予測は、規模や業種を問わず、どんな企業においても行われているプロセスで、納期や、企業が抱えるコストを大きく左右します。そのような重要なプロセスであるにも関わらず、スプレッドシートを利用して、勘と経験で数字を弾き出すという、旧態依然とした売上予測を行っている企業がほとんどでしょう。
前述したリードスコアリングおよび商談スコアリングは、時間とリソースの猶予さえあれば、ある程度人力でも対応できるプロセスでした。しかし売上予測では、Salesforceに格納された、人に関する情報、商談情報、チームの情報など多様な情報を加味して、予測することを可能にしています。
例えば、下記の図にあるように、営業マネージャーは自分のチームメンバーのすべての商談、営業活動を一瞥できます。さらに過去の商談成約状況や行動を読み解き、目標数値に対して、どのくらい追加で達成できそうか、失注する金額はいくらかが分かるようになっており、それがどのくらいの範囲で的中するのかも示唆してくれるのです。
売上予測を利用することにより、たとえば保険会社の地域マネージャーは、自分のチームが当期の売上目標を達成できそうか、失いかけている案件がないかなど、ダッシュボードをひと目見るだけで把握することが可能です。さらに、モバイルでもこれらの機能が利用可能なので、外出先でもアクセスして、その場で次の行動に移すことができます。
また、この保険会社が新規市場への事業拡大を図るにあたって市場開拓費用を捻出できるかどうか確信が持てない場合、CFOは売上予測を素早くタップして、会社として新たな地域に費やす十分な資金が当月、あるいは当期中に得られるかどうかを予測することができます。
以上のように、Sales Cloud Einsteinは、様々なカタチで営業にたずさわる人を支援し、営業の新しいカタチを可能にしていきます。しかし、このようにAIの活用を可能にするには、必ず元となるデータが必要です。まだCRMを導入していないという方は、ぜひSales Cloudの体験デモをご覧ください。すでにSales Cloudを導入済みのお客様は今すぐSales Cloud Einstein Readiness(英語のみ)をお試しください。