Salesforceは活用すればするほど、投資してよかったと実感できるソリューションです。ゴールを設定して運営体制や業務プロセスの確立し、定着化を成功させること。成果につなげるためには、活用してもらうことが重要です。
どうすればSalesforceを使ってもらえるのか。まず、Salesforceについて理解してもらう必要がありそうです。では、Salesforceのことをもっと知りたいと思ってもらえる様になるにはどうすればよいのか。もっと「楽しく」学ぶことができたら。もっとわくわくしながらSalesforceについての理解を深め、ゲーム感覚で互いに競い合う要素をプラスできたら。こうして誕生したのがTrailheadです。「楽しく」学べる Trailhead は、他社との差別化要素の一つであり、Salesforceの成功に一役も二役も買っています。
本Blogでは、Salesforceのイノベーション&トランスフォーメーションセンター(ITC)チームが、「楽しく学ぶ」という Trailheadのコンセプトを、どう学習パスとチャレンジに結び付け、どのようにしてユーザーの活用率やチームの生産性の向上につなげたのか、事例をまじえてごご紹介します。
2015年、ある大規模なグローバルテクノロジー企業が 2,500人のユーザー向けにSales Cloudを導入しました。ところが、その後1年もしないうちに、担当者から活用率についての相談を受けたのです。「なぜみんな使おうとしないのでしょうか?」彼らはずっと、活用率が上がらないことに悩んでいました。同社の総ログイン率(TLP)は50%を下回っていました。厳しい現実ですが、人は変化を嫌うものです。特に、培ってきた評判や既存の顧客関係に頼ってビジネスを運営している伝統的な企業ほど、その傾向が強くなります。せっかく最先端のデジタルCRMプラットフォームを手に入れたにもかかわらず、どうすればSalesforceを最大限に活用できるかわからなかったのです。
幸運なことに、同社のカスタマーサクセス担当ディレクターはこの事態にすばやく対処し、活用率向上のためにパイロット版のチャレンジプログラムを開始しました。このプログラムは、1週間で完了する短いアクティビティで構成されており、同社で活用率が芳しくない国の1つであった米国で実施されました。すると、わずか12週間後には驚くべき効果が表れます。30%台しかなかったTLPが一気に60%台に跳ね上がり、ピーク時には68%になったのです。
このチャレンジプログラムが成功した後、ITCチームもプロジェクトに参加することになりました。そして、最初に行った活用率向上のチャレンジプログラムをさらに発展させ、お客様と協力しながら、活用率向上のためのジャーニーマップを完成させます。このジャーニーマップには、さまざまな国やロール、レベル、ユーザーをターゲットにした一連のアクティビティが盛り込まれています。アクティビティはすべて「楽しさ」をテーマに作られています。CRMでは、ただ管理上の「タスク」をこなすだけではなく、お客様と日々仕事をする「醍醐味」が味わえなくてはなりません。
ICTチームはこうした成果だけでは、まだ活用率向上への対策が不十分であると考えていました。そこで次に実施するタスクセットの作成を手伝い、今度は上級ユーザー向けにレベル分け(ブロンズ、シルバー、ゴールド)をすることにしました。さらに、全国レベルで競争するという要素を取り入れ、目標とポイントを設定して賞品をもらえるようにしました(iPadやApple Watchなどの豪華賞品です)。さらにこのチャレンジを幅広い活用率向上戦略の一環として、マーケティング部門やセールス部門のシニアマネージャーにも協力を仰ぎました。彼らはChatterを通じてチャレンジを全面的にサポートしてくれただけでなく、成績上位者への賞品を提供してくれました。
このチャレンジプログラムでは、Salesforce内でブロンズ、シルバー、ゴールドの各チャレンジを、あらかじめ決められたタスクとしてユーザーに割り当てておきました。たとえば、「グループを作成する」「商談を更新する」「専門的なレポートを作成する」といったタスクです。ユーザーは各自のSalesforce組織内で、タスクや進捗、成果について Chatterで通知され、チャレンジ全般を管理します。これによってさらにSalesforce の活用率が上がり、社員のエンゲージメントが向上しました。
物事を100日間継続すれば習慣化するという理論がありますが、これにもとづき、各チャレンジは10~12週で実施しました。レベルをクリアするごとに参加グループのSalesforceのスキルベースや経験値に実績が累積されるため、活用率はもちろん、最終的にはビジネスバリューの向上にもつながります。あらかじめ設定したKPIを計測するために、Einstein Analyticsのダッシュボードを使って可視化すると、活用率は飛躍的に伸びました。
Salesforceの活用率向上のために、ゲーミフィケーションを用いた新たなアプローチを導入してからちょうど1年で、このお客様のTLPはなんと84%になりました。取り組みが大成功だったことは疑う余地もありません。ジャーニーマップとチャレンジプログラムの活用によって活用率は着実に伸び続けています。さらに多くのユーザーが Salesforceを活用し、新たな機能が追加されると、チャレンジプログラムも充実度を増しています。
最も高いスコアが報告されたのは、取引先責任者、商談、リードの作成についてのプログラムでした。実は、こうしたチャレンジプログラムがあまりにも浸透したため、この企業では今でも成果を上げたエンドユーザーに賞品が授与され、全社的な受賞制度まで作られたのです。同社はこのアプローチを非常に気に入り、プログラムを他のロールや部門にも拡大したいと考えています。また、業績の向上にもゲーミフィケーションを活かせないか検討しているそうです。
さらに同社は、このアプローチにTrailheadバッジ*1を組み込もうとしています。トレーニングの幅を広げ、何を学ぶかを従業員自身で組み立てられるようにするためです。昨年末に発表されたmyTrailheadが、来年の同社の活用率をどれだけ変化させられるか楽しみです。
私はこのパイロットプログラムが大成功をもたらしたことを受け、Salesforceのカスタマーサクセスグループ(CSG)の EMEA北部チームにゲーミフィケーションを導入し、同じアプローチを試してみることに決めました。私はTrailheadの推奨役としてこの取り組みを主導し、ロールに応じたトレイルを充実させて学習を促進したいと考えました。その試みはまたも成功し、108人のCSGチームメンバーが、2か月という短期間のうちに、新たに2,700個ものバッジを取得したのです。しかも、チームの半分近くがすでに 100個以上のTrailheadバッジと5万ポイント以上を獲得して、「Ranger」*1のランクに達しています。
*1 Trailheadでは、各コースを完了する毎にポイントやバッジが獲得できます。この点数や獲得数に応じてランクが設定されており、その最高ランクが「Ranger」です。
ゲーミフィケーションにいかに絶大な効果があるか、おわかりいただけたでしょうか。トレーニングにゲーム感覚を取り入れ、楽しみながら競い合っていけば、活用率はきっと向上するでしょう。ぜひトレーニングにゲーミフィケーションを取り入れみてください。 Trailheadを使えば、効率的にチームの強化ができます。(パーソナライズ機能やバニティURLといった画期的な新機能も追加されています。詳しくはこちら)。また関連コンテンツの作成と共有が可能な Trailmix や、学習コンテンツをカスタマイズ可能なmytrailheadの最新情報もぜひチェックしてみてください。トレーニングを刷新して、Salesforceの活用率を上げ、ビジネスの成功につなげましょう。
本ブログは、米国で発表した「The Gamification of Salesforce: Making User Adoption Fun!」の抄訳版です。著者のDennis Keizer は、Salesforceのイノベーション&トランスフォーメーションセンター(ICT)チームに所属するビジネスアーキテクトです。