政府が掲げる「働き方改革」のキーワードは浸透し、2017年には流行語大賞にもノミネートされました。しかし、実際にこの言葉を実践できている企業はどのくらいあるのでしょうか。残業抑制や、プレミアムフライデーの導入、KPIによる管理の徹底などで終わってしまい、かえって厳しい時間管理を現場の社員に強いる結果になっていませんか。

このように数字で追い込むと、人間同士の関係性の質にまで影響を及ぼし、往々にして組織の中にいる人たちは疲弊し、だんだんと関係性の質が悪化していきます(関連:ダニエルキムの成功循環モデルとは)。つまり、形だけの制度を入れたところで、本当の意味での働き方改革は実行できないのです。企業成長を実現しつつ、効率化を図るには、組織の生産性を最大限高める以外に手がありません。そのため、「働きがい」というコンセプトが重要になってきます。

働きがいが重要な理由1:従業員の雇用維持

日本における人口減少および就労人口の加速度的な減少については、周知の通りです。さらに人手不足を裏付けるのが、有効求人倍率の推移です。厚生労働省発表による、2017年の年間有効求人倍率は前年比0.14ポイント上昇の1.50倍。過去最高だった1973年(1.76倍)以来44年ぶりの高水準となっています。

「働きがい」を感じ長く働き続けてもらうことは、企業にとっても、従業員にとっても重要なことなのです。

(出典:平成26年5月 厚生労働省「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」をもとに当社にて図を作成)

働きがいが重要な理由2:働きがいと業績との関係

また同じ厚生労働省のレポートによると、「働きがいがある」と回答した人の勤める55.5%の企業が、業績が上昇傾向にあるという回答をしています。また一般的に待遇の良さなどを反映した「働きやすい」という回答した人の47.5%も同じく業績が上昇傾向にあることが読み取れますが、「働きがいがある」ほうがその傾向が顕著であることが分かります。

では、企業にとって重要な「働きがい」は、具体的にどのように形成していけばいいのでしょうか。

働きがいのある会社No.1のセールスフォース・ドットコム

Great Place to Work Instituteが国内で実施した調査において、2018年度の「働きがいのある会社」で第1位に(*1)、Vorkersが発表した「働きがいのある会社ランキング2019」で第2位(*2)に、選出されたセールスフォース・ドットコム。さらに米国の「働きたいIT企業ランキング」(*3)でも、第3位にランクインしています。ではこのように人々が魅力を感じる理由はどこにあるのでしょうか。

テクノロジーが支える、セールスフォース・ドットコム流「働きがい」の創り方

「働きがい」を感じるかどうかは、働く社員一人ひとりによって大きく異なります。また会社によってやり方も様々です。セールスフォース・ドットコムでも、企業制度、それを支える各種システム、ビジネス体制などたくさんの施策がありますが、ここでは、その一つであり、大きな源となっている「V2MOM」と呼ばれる経営メソッドをご紹介いたします。

セールスフォース・ドットコムの企業理念は、「信頼」「成長」「イノベーション」「平等」の4つの柱で形成されています。ここでどの企業でも悩むところが、この企業理念をいかに浸透させていくか、経営陣と各個人のモチベーションをつなげ、組織力を最大化できるのか、という問題だと思います。

これに対して、創業者のマーク・ベニオフが採用したのが、下記のバリューをVision (ビジョン)、Values (価値)、Methods (メソッド)、Obstacles (障害)、Measures (基準)を、全社員が自ら設定し、達成するという経営メソッドです。セールスフォース・ドットコムでは、CEOのマーク・ベニオフはもちろん、遠くはなれた国で勤務する同僚の目指しているゴールや進捗状況がオンライン上で見ることができるのです。

ビジョン:行いたいことや達成したいことを定義します。

価値:ビジョンの追求を支える原則や信念です。

方法:業務の完遂に必要な行動や手順です。

障害:ビジョンを達成するために克服しなければならない課題や問題、難点です。

基準:求める成果を表し、測定可能なものとします。

米国の調査会社(*4)によると、

  • 自身の業務が会社の成功にどのような形で貢献するのかを明確に理解し、自身で確認すること
  • 自身が行っていることによって何かが変わることを実感すること
  • 自身よりも大きな何かの一部であると感じること

がモチベーションと大きく関わっているといいます。従業員は、組織の目標と戦略を理解し、その達成に寄与しているとき、そして、会社の全体的なビジョンの達成における自身の役割をはっきりと認識できるときに、その積極性が増大するのです。

週休3日制でも売上2倍に

「働きがい」と「企業成長」を実現

週休3日制度を打ち出して、数々のメディアに取り上げられた元湯 陣屋。旅館業という従来休みが取りづらい業種でありながら、休みをしっかり取れる制度を導入し、さらに「顧客満足度」「従業員満足度」「利益」を全てプラスに変えた事例です。

この屋台骨となり支えているのがSalesforceのプラットフォームです。クラウド上で顧客データを共有し、調理場・接客担当・経営がどこにいてもシームレスにリアルタイムでコラボレーションができるのです。ITに下支えされたホスピタリティで、生産性を劇的に向上したうえ、宿泊されるお客様に特別な満足感を提供することが可能になりました。

さらに月曜日から水曜日を休館するという旅館業では前代未聞の制度を導入し、社員のプライベートの充実を実現。これにより、社員の離職率を30%から4%に大幅に下げる一方、オペレーションを改善し、売上を2倍に増加。一人あたりの平均年収も、288万円から約400万円に大幅に向上させることができたのです。

ひとくちに「働きがい」を向上させる、といってもそのやり方は、千差万別。世界15万社以上の企業が利用するSalesforceを活用して、「働きがいのある会社」に変革してみませんか。

無料eBook:間違いだらけの「働き方改革」へ 7つの処方箋~企業成長を左右する従業員エンゲージメントとは?~ »

出典

  • *1:Great Place to Work Institute「2019年版日本における働きがいのある会社ランキング」Great Place To Work Institute Japan(2019年2月8日)
  • *2:「働きがいのある企業ランキング2019」株式会社ヴォーカーズ(2019年1月29日)
  • *3:Indeed「従業員が選ぶ働きたい米国のIT企業」(2019年1月17日)
  • *4:Workforce Intelligence Institute & SuccessFactorによる調査