今やオフィスのOA化は、IT技術の飛躍的な進歩により、日進月歩の勢いで進んでいます。

物流業務、在庫管理、経理業務、顧客管理…あなたの会社でも、部門に関係なくOA化の波にさらされているでしょう。特に顧客管理、CRMシステムについては、この数年でさまざまなサービスが登場し、一気にOA化が進んだといえます。

これまで、アナログ式にやっていたことが、ある日突然、OA化に切り替わる。面倒くさいと感じる方も、「ついていけない」「逆に効率が悪くなりそうだ」と思う方もいるでしょう。しかし、変化の激しい技術革新の波に乗り遅れてしまうと、それを取り戻しビジネスシーンの前線へ踊り出ることは非常に難しくなります。

ここでは、IT技術を活用した職場のOA化について、その課題や解決策をまとめます。

 

OA化とは何か

そもそも、OA化とは一体どういうことを指すのでしょうか。なぜOA化を実施するのか、デジタル化やIT化とは何が違うのでしょうか。

 

当たり前になっているOA化

OA化とはOffice Automationの略であり、直訳すれば「事業所、事務所の自動化」となります。具体的には事務所で行われる業務をコンピュータやコピー機、FAX、プリンターなどの機器を使って自動化することを指しており、その大きな目的は事務的な業務の効率化にあります。

 

IT化との比較

IT(Information Technology)化は、業務の仕組み、手続きそのものを情報処理により効率化する取り組みです。OA化と同様にコンピュータ等の機器を利用するものですが、それに加えてLANやWi-Fi回線によるインターネット環境を構築し、システム、アプリケーション、ソフトウェアといった情報処理を行う仕組みを取り入れることを指しています。

業務を効率化するために電子機器を利用するという意味ではOA化とIT化は地続きであり、IT化はOA化をより発展して切り出したものとも言えます。また、ITシステムの導入までを含むより広い意味合いでOA化という言葉を使う場合もあります。

 

OA化することのメリットとは

OA化がここまで広く進んできた背景には、その導入による様々なメリットが存在するからに他なりません。では、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

 

業務効率化

OA化で得られる直接的なメリットとしてまず挙げられるのが、業務の効率化です。たとえばコピー機を導入すれば、同じ内容が記載された紙面を複数用意することが可能となり、情報共有が効率的に行えるようになります。FAXを利用すれば、郵送していたものをオフィスにいながら相手に届けられるようになります。

 

省力化

OA化により業務効率化を図ることができれば、人手を使って作業する時間を大幅に削減できます。特にルーティンで繰り返し行っている業務に対しては、より大きな効果が得られます。

 

生産性向上

OA化によって業務効率化、省力化がなされることにより、一つひとつの業務にかかっていた時間が削減でき、その空いた時間を別の業務に使えるようになります。一人あたりの業務時間に対してアウトプットが増えるため、生産性の向上が期待できます。

 

利便性の向上

インターネットやメールは、郵便や電話などの通信をOA化したものとも言えます。さらなるOA化としてインターネット、メールなども取り込むことで、情報の共有や事務所外での手続きをより簡単に実現できるようになります。物理的な距離を越えて利用可能な通信手段により、より利便性の高い連絡網を生み出すことができます。

 

新たな業務の仕組みを生み出す

IT化、デジタル化までを含めたOA化を行うことで、これまでの業務よりさらに効率的な業務の手法を作り上げることもできます。たとえば、仕事の始業、終業をデジタルタイムカードを用いて記録するのもOA化の一つです。また、このデジタル勤怠情報を利用し給与の算出までが行えるようにすれば、経理業務をより効率的に変えることができますし、評価制度と連携させることもできるでしょう。

こうした取り組みを続けることが、ビジネスに新たな価値をもたらす「DX」の実現へも繋がっていきます。

 

OA化の課題とは

業務を効率的に行うためのOA化。しかし、そこにはメリットだけでなくいくつかの課題も存在します。それらの課題を見ていきましょう。

 

ストレスにつながる可能性がある

大阪樟蔭女子大学の夏目誠教授ほか研究グループが発表した「ストレス点数表」をご存知でしょうか。過去1年間に経験したイベントから、どれだけストレスが蓄積しているかを調査し、それを「ストレス点数表」として整理。その合計点で、翌年に健康障害が生じる危険性を提示したものです。

合計が150点未満で30%、150~299点以内であれば50%、300点以上になれば80%、翌年に健康障害が生じる危険性があるといいます。

上記は、ストレス点数表の65のストレス要因からの抜粋。もちろんこれらには、精神的や心理的なものだけでなく、暑さや寒さという要因も含まれていますが…、あなたはご覧になってどう感じたでしょうか。意外かもしれませんが、実は「職場のOA化」は、上司・同僚・部下とのトラブルや人間関係などと、同程度のストレス要因となりえるのです。

 

定着化できるかどうか

近年急速に導入が進んでいるSFA/CRMシステムの運営におけるもっとも大きな課題について、ユーザーに対して下記の項目でアンケートを実施しました。

もっとも課題意識が高かったのが「定着化」でした。システムを導入したものの「エンドユーザーが入力しない」「一部の人しか利用しない」「マネージャーが利用しない」「二重管理がされている」など、途方に暮れる声があちこちから聞こえてきます。

定着化は、その後のシステム活用を左右する重要なフェーズ。ここで失敗すると、爆発的に増え続ける顧客情報や業務データを管理・活用するために導入したシステムが、手間だけを増やす嫌われものになってしまうかもしれません。こういった場合、システムの導入推進担当者と現場のユーザーとの間で意識のズレが生じているケースが多く、いくら導入推進側がシステムの使用を促しても、普段の業務で手いっぱいである現場のユーザーにその声は届きません。

 

OA化を進めるためには熱い担当者が必要?

ストレスに繋がる可能性もあるOA化、ときには導入反対の声も大きくなるのかもしれません。いかに心理障壁をとりはらうか。OA化プロジェクト担当者は、一人ひとりに、もしくは部門ごとに、クレームにも近い要望をヒアリングしたり、一人ひとりがスムーズにシステムを使えるように熱心にレクチャーを繰り返したり…。もちろんOA化という大規模な社内改革なので、対象者も数多いでしょう。100人近くになることもあるでしょう。

これだけ心理的に大きな障壁のあるOA化の遂行を支えているのは、まさにOA化プロジェクト担当者の“熱意”にほかなりません。

 

「定着化」のヒントは脳科学にあり!

OA化を進めるためには、担当者が熱意をもって推進することと同時に「定着化」を重要視することが必要です。それを実現するための一つのアイディアとして脳科学を利用する方法があります。

当社が担当した案件の中には、新しいシステムの導入に際し、社内で猛反対があったにもかかわらず、一年未満で定着化を達成した事例もあります。実はシステム導入に社員が抵抗感を抱くのは、脳科学の観点から見るとごく当たり前のこと。その後いかに活用を促進できるかが、貴社におけるシステム定着の明暗を分けるのです。詳しくは、eBook『脳科学で読み解く「定着化」の秘訣』にて。実際の導入事例も取り上げながら、システムの導入から定着に至るまでのノウハウや取り組みをご紹介。これを読んでつまずいていたポイントに気づき、対策を会得すれば、新システムによるストレスから社員を解放することができるでしょう。

出所:

勤労者のストレス点数のランキング-出来事のストレス評価(夏目誠 大阪樟蔭女子大学大学院人間科学研究科)