Web サイトにある機能といえば、検索バーです。ブランドサイトの隅にある、小さな虫めがねが表示されたフィールドに検索ワードを入力すれば、無数に存在する Web ページを一気に検索し、ショップ内を自由に見て回ることができます。

小売業者にとって、検索とは消費者を商品に引き寄せる入口となるものです。検索なしにコンバージョン率と売上を伸ばすことはできません。とはいえ、検索がいかに重要であるかをサイトの一番目立つところに書き立てることなどできません。セールスフォース・ドットコム が四半期ごとに毎月 5 億人以上の購入者を分析している調査 Shopping Index によると、検索機能を利用する消費者は、検索しない消費者の 2.4 倍も購買率が高いという結果が出ています。また、検索する消費者は、モバイルやデスクトップのオンラインショップで、検索しない消費者の 2.6 倍の額の買い物をするというデータもあり、検索によって売上が向上することを裏付けています。

事実、Commerce Cloud を活用したサイトでは、 売上全体の約 25% が、検索して買い物をした 9% の消費者によって生み出されています。各ブランドサイトでは、消費者の 1 回あたりの訪問時間が以前と比較して短くなっており、モバイルでは特にその傾向が顕著です。こうした状況を考慮すると、消費者が快適に検索できるスマートな検索ツールをオンラインショップが提供すれば、販売を大きく押し上げることができると考えられます。

セールスフォース・ドットコムは、よりスマートな検索を可能にし、小売業者と消費者の双方が満足できる機能を追求してきました。その結果、開発されたのが「 Einstein Search for Commerce」 です。 Einstein は機械学習、ディープラーニング、予測分析、自然言語処理を活用した一連の高度な AI 機能で、Salesforce Platform 全体に組み込まれています。   

Einstein Search for Commerce は、以下のような方法でよりスマートな検索を実現します。

  • Einstein Search Dictionaries :サイト内をくまなく検索し、小売業者のキーワードリストに登録されていない検索ワードを提示します。さらに、リストに追加すべき類似商品(シノニム)を提案します。これまでは、eコマースチームがリストに登録されていない用語を特定し、どのシノニムリストを追加すればよいかを判断したい場合には、「巨大なスプレッドシートを使って手作業でワードを入れ替え、追加するシノニムリストを当てずっぽうで決める」という作業が必要でしたが、もうこのような手間はかかりません。

    さらに、Einstein Search Dictionaries は Commerce Cloud プラットフォームのデータを分析し、検索ワード間の関連性を検出して、該当するワードを追加すべきシノニムリストを割り出します。たとえば、あるブランドで消費者が「モーヴ色のセーター」を検索したのに、該当する商品がなかったとします。すると Einstein Search Dictionaries は、「ピンク」や「パープル」のシノニムリストに「モーヴ色」を追加するよう提案します。「モーヴ藤色」に近い色の商品が検索結果に表示されることによって、消費者は欲しかったアイテムを見逃すことがなくなり、小売業者は在庫があるにもかかわらず、消費者が探しきれなかったばかりに販売のチャンスを損ねるという事態を回避できます。

  • Einstein Search Recommendations: 入力予測検索、あるいは逐語検索をパーソナライズします。世界的ブランド数十社のおよそ 600 サイトで使用されている Einstein Product Recommendations と同様に、最先端の AI を活用して、既知の消費者であるかないかにかかわらず、最適な検索結果を提示します。このエンジンは、消費者がクリックなどのアクションを起こすたびに、さらにスマートになっていきます。検索履歴といった購入者の行動とともに、Commerce Cloud ネットワークからトレンドやレコメンド情報など消費者のデータを集めて、おすすめ検索ワードのパーソナライゼーションを強化します。これにより、消費者が求めている商品はもちろん、特に欲しいとは思っていなかった商品までもがすばやく探せるようになります。消費者が検索バーに何か入力する前に、おすすめの検索ワードがドロップダウンリストに提示されます。
  • Keyword Search Sorting Rules: 商品の検索結果を、「標準」以外の並び順で表示できるよう細かく制御できます。販売促進担当者は、特定のワードの優先順位を上げて、注目させたい商品に特定の検索結果が返るようにし、割り当てをカスタマイズすることで、デフォルト以外の並び順ルールで検索結果を表示させることができます。 たとえば「サンダル」を検索した場合は新着順で、「スキンケア」を検索した場合は人気順で検索結果を表示することが可能です。これまでは、「サンダル」を検索しても「スキンケア」を検索しても、結果はデフォルトの並び順で表示されていました。

Einstein Search Dictionaries と Keyword Search Sorting Rules は 2018 年度の第 1 四半期(2018年2月1日~2018年4月30日)に利用可能になります。 Einstein Search Recommendations はベータ版が同じく 2018 年度の第 1 四半期 に利用可能になります。すべて無償で Commerce Cloud に標準搭載されます。

消費者は、すばやく、シームレスに、ストレスなく検索できる機能を求めています。また、小売業者は、検索ワードとの関連性が高い検索結果をすばやく表示できる、インテリジェントな検索機能を提供する必要があります。Commerce Cloud はもっとスマートで、もっとパーソナライズされた検索を可能にして、小売業者やブランドの売上を拡大し、顧客ロイヤリティを向上させます。

その他情報について

Commerce Cloudの詳細については、こちらをご参照ください。

【執筆:米国セールスフォース・ドットコム Vice President,  Product Marketing ゴードン・エバンス】