2017年7月4日、東京ミッドタウンにおいて「Salesforce Trailhead Live Tokyo」が開催されました。数多くのお客様やパートナー様にご来場いただき、講演はすべて満員御礼。また「Trailheadハンズオン」や「Salesforce Communityによるワークショップ」等が行われたTrailhead体験ゾーンも、たくさんの方にお集まりいただき、大盛況のうちに幕を閉じました。今回は、基調講演の模様をお届けします。

基調講演に先立ち「プレショー」で4名のTrailblazerを紹介

基調講演に先立ち、セールスフォース・ドットコムの坂内明子が進行を務めて、10分間の「プレショー」を実施。「機械学習の民主化」に取り組む株式会社グルーヴノーツ 代表取締役社長の最首 英裕氏、「親子の笑顔を妨げる社会問題を解決する」ため活動しているNPO法人フローレンス ディレクターの宮崎 真里子氏、キヤノンマーケティングジャパン株式会社 総務・人事本部 人事企画部 人材育成課 課長で、Salesforceユーザーグループで「働き方改革」を推進する佐伯 若奈氏、そしてNTTテクノクロス株式会社 ビジネスソリューション事業部 アシスタントマネージャーで、Salesforceエバンジェリストでもある鈴木貞弘氏が、Trailblazerとして紹介されました。

(写真:株式会社グルーヴノーツ 代表取締役社長 最首氏(左上)、NPO法人フローレンス ディレクター宮崎氏(右上)、キヤノンマーケティングジャパン株式会社 総務・人事本部 人事企画部 人材育成課 課長 佐伯氏(左下)、NTTテクノクロス株式会社 ビジネスソリューション事業部 アシスタントマネージャー 鈴木氏(右下))

ここでまず最首氏が「ニューラルネットワークを使い、独自の機械学習を、プログラムを作らずにデータを与えるだけで使えるようにすることが当社のビジネスです」と挨拶。グルーヴノーツのサービスはSalesforceと緊密な連携が可能であり、Salesforceに独自の機械学習を付加して精度の高い予測をSalesforceの裏側につけることが非常に簡単できると説明しました。

次に宮崎氏が「14年前に病児保育を始めた時はすべて紙と電話でしたが、今では会員組織が6,000名を超えていますが、Salesforceで瞬時に情報を共有できるようになっています」と述べた上で、今後も他の専門家や組織と連携しながらスピードを高め、社会問題解決にひるまず取り組んでいきますと発言。さらに佐伯氏が、現在「W Power Group」というユーザー会を発足させ、運営に携わっていることを説明。佐伯氏は、「Wは、女性(Women)の活躍と男女関係なくWin-Winになること、そしてWorkstyleの変革に向けて発足し、すでに5年取り組んでいます。」と語り、今年は特に「働き方改革」についてユーザーグループの同じ志を持つ人々と勉強に取り組んでいると述べました。

その後、鈴木氏がSalesforceエバンジェリストとしての活動内容を紹介。Blogを通じたSalesforceの機能紹介など、数々の活動内容を紹介。先駆的な活動をする同氏の登場により会場が盛り上がったところでプレショーが終了しました。

いよいよマーク・ベニオフが登場となったのです。

熱烈な感謝の言葉を述べるマーク・ベニオフ

マークはまず日本語で「おはようございます」と挨拶し、いつもと同じように、顧客、パートナー、社員への熱烈な感謝の言葉を述べていきました。MVPとなった方々に立っていただき「どうもありがとうございます」と語りかけ、来場者全員に対しても「みなさん、おかえりなさい、Salesforceの家族がこのように集まれる場を持てたことは、たいへん嬉しいことです」と話しかけていったのです。その上で「これからも一緒に家族として、素晴らしい未来に向けて歩んでいきたい」と述べ、本題に入っていきました。

ここでまず紹介されたのが、セールスフォース・ドットコムの現状です。セールスフォース・ドットコムは現在も急成長を続けており「(会計年度で)2018年度の売上は103億ドルになる見込みです」とマーク。これは非常にエキサイティングなことであり、100万社以上あるソフトウェア会社の中で、100億ドルの売上を達成しているのは3社しかないと指摘します。また営業支援プラットフォームの市場では34.2%のシェアを獲得。これは2位以下の他社と2倍以上の差をつけたNo.1シェアです。

「このような成功も、私たちが家族として一緒なったからこそ達成できました。皆様がいなければ、この成功はあり得ません。セールスフォース・ドットコムはクラウドの時代が来るというビジョンを持ち、それを実践することでバリューを生み出してきました。そこで最も大切なのは、お客様一人ひとりからいただく信頼です」

このように再び感謝の言葉を述べた上で、マークはさらにエネルギッシュに、次のように話を続けます。

「成長につながる品質を実現するには、男女問わずあらゆる能力を持った人が全員参加することも欠かせません。平等(Equality)は非常に重要です。教育や、給与の平等、環境の平等にSalesforceは取り組んでいます。地球温暖化問題にも取り組んでおり、数か月前にはゼロ・エミッション(二酸化炭素排出量ゼロ)企業になりました。People誌によれば、セールスフォース・ドットコムは人を大事にする企業No.1だと評価されおり、当社は新しい技術やソフトウェアを作るだけではなく、社会貢献にも取り組んでいます。セールスフォース・ドットコムの人々、リソース、テクノロジーを活用して世界中のコミュニティを向上するというシンプルなアイディアに基づき、1-1-1モデルとしてビジネスと社会貢献を融合した活動を展開しています。現在までの合計は、210万時間、1億6,000万ドル、3万1,000ライセンスに上ります。この取り組みには現在2,700社以上の企業が参加しています。

2020年までにSalesforceエコノミーがもたらす3890億ドルの経済機会

その後、第4次産業革命について言及。クラウド、ソーシャル、モバイル、IoT、AIのイノベーションにより、すべてがつながる社会が到来することで、GDP換算で15.7兆ドルの影響がもたらされると指摘します。これによって可能になるのが、顧客との新しい形のつながりと、顧客情報の一元管理です。「ロボット、LINE、IoTの向こうにはお客様がいて、お客様を忘れた企業は衰退します」とマーク。このような時代だからこそ、お客様とより深くつながることが重要なのだと言います。

さらにマークは、Salesforceによる経済インパクトを「Salesforceエコノミー」として紹介。IDCによれば、Salesforceエコノミーは2020年までに、GDPに3890億ドルの影響を与え、間接的もしくはこれに誘発された190万人の雇用が生まれるといいます。また日本国内でもビズリーチの調査によれば、Salesforce関連のスキルを必要とする求人数の伸びが、ここ3年で4.6倍になっていると言われています。

  

(出典:当日の講演資料より抜粋)

「このエコノミーに参加することで成長が可能になります」とマーク。その鍵となるのがTrailheadなのだと語ります。これは無償で提供されている、Salesforceを学ぶための学習プラットフォームであり、コースを完了することでバッジを獲得できます。すでに250万のバッジが発行されており、バッジ取得者の中にはプログラミングに関する知識がまったくない状態から、独自の業務用アプリケーションを開発できるようになり、パイオニアとしてTrailblazerになった人も少なくありません。「Trailblazerの数はすでに400万に達しており、皆さん一人ひとりがTrailblazerになれる可能性を持っています。これによってキャリアを伸ばし、イノベーションを生み出せるようになるのです」

AI分野などでIBMとの歴史的な提携も

ここでマークは、話題をAIへと転換。「去年のDreamforceでSalesforce Einstein(AI)について紹介しましたが、これをSalesforceのプラットフォームに取り込むことで、飛躍的にスマートになりました」と述べた上で、実際の顧客の事例を紹介します。

その1つがコカ・コーラの自動販売機です。これはカメラとインターネット接続機能が装備されており、Salesforce Einsteinとつながっています。自動販売機内の在庫状況はカメラで監視されており、異なる商品が補充された場合には画像認識で即座に識別できるようになっています。また産業用ロボットの事例も紹介。これは本社とつながっており、工場で問題が発生すれば即座に本社に伝える機能を持っています。

「AIによって画像認識や音声認識、言語処理などが可能になり、これらがCRMをどんどん変えていきます」とマーク。そこには1兆ドルのビジネスチャンスがあると指摘します。「Salesforce Einsteinはあらゆる人々に役立つデータサイエンティストの役割をはたすものであり、最もスマートなCRMを実現するものとして、大きな活躍が期待できます」

さらにAI分野における、IBMとの歴史的な提携についても言及。その概要がビデオで紹介されました。

ここまでが基調講演の前半部分です。この後、AIやIoTを中心とした5つの変革について、ライザップの事例紹介、Amazon Web Servicesの事例紹介と続いていくのですが、これらについてはVol.2で紹介します。Vol.2はこちら