本ブログは、2017年5月に米国で発表した Behind the Scenes: The Making of Salesforce’s New Ad Campaign の翻訳版です。著者は、当時米国セールスフォース・ドットコムCMO(Chief Marketing Officer)を務めていたSimon Mulcahyです。2020年4月現在、テレビCM等で展開中の新たなキャンペーンについて、詳しくはこちらをご覧ください。
Salesforceでは5月より、「Blaze Your Trail(新たな道を切り拓こう)」という広告キャンペーンを全世界で一斉に開始しました。
私たちは、新たな道(Trail)を切り拓く(Blaze)先駆者(Trailblazer)を後押しすることがSalesforceのミッションだと考えています。このキャンペーンは、革新に挑戦するすべての人たちにご覧いただけるよう、空港やテレビ CM、Salesforce World Tour や Dreamforce といったイベント、ラジオなどのあらゆるチャネルで展開しています。日本では、7月4日に開催される「Salesforce Trailhead Live Tokyo」の会場で、この新しい世界観を体感頂けると思います。詳しくはこちら
今回のキャンペーンイメージの露出が増えるにつれ、キャンペーンの背景についてたずねられることが増えてきました。なぜイラストにアメリカの国立公園が描かれているのか、今回のテーマであるTrailblazerは Salesforce にとってどのような意味を持つのか、キャンペーンのイメージやコンセプトはどうやって出来上がったのかといった質問です。
そこでこの記事では、皆様を制作の舞台裏へとお連れし、今回のキャンペーンが実現に至った経緯をご説明したいと思います。
今回のキャンペーンでは、Salesforce スタイルのユニークな国立公園、「Blaze Your Trail」メッセージの組み合わせであらゆる広告イメージが構成されていることに気付くと思います。この Trailblazer のメッセージは、当社の企業ミッションの核心を表しています。この 18 年間、Salesfroce は、カスタマーサクセスの実現のために取り組んできました。お客様の成長と成功こそが、私たちの成長につながると確信しているのです。
成功するためには、人の後について行くのではなく、自ら先頭に立って他者を導いていかなくてはなりません。つまり、Trailblazer(先駆者)になる必要があります。そして Salesforce は、それぞれの企業や組織で新たな道を切り拓こうとするすべての人を後押しし、能力を最大限に発揮できるようにしたいと考えています。管理者であれ、CEO であれ、誰もがTrailblazer になることができます。私たちが考える Trailblazer は、次のような人です。
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また、Trailblazer に合わせ、Salesforce のブランドストーリーを伝えるために、アメリカの国立公園制度をテーマの 1 つに採用しました。
Salesforceの会長兼 CEO マーク・ベニオフがハワイに構えている自宅の近くには国立公園があり、彼が Salesforce コミュニティについて語る際も、国立公園の魅力を例えにすることが少なくありません。
私たちは、Salesforce のコミュニティを、親しみをこめて「Ohana(ハワイ語で広義の「家族」に相当する概念)」と呼んでいます。Salesforce Ohana のもと集まった人々は、コミュニティや仕事、お客様の成功を誰もがたたえ合い、まるで家族のような集まりです。そこはキャンプの旅あり、さまざまな催し物ありの、楽しい冒険の場所となり、大切なものとのつながりを確かめる機会を与えてくれます。私たちが国立公園の精神や探検という響きに深い共感を抱くのは、この「人が集まって何かをする」という点が共通しているからです。
国立公園の制度は、壮大な自然資源をあらゆる人に等しく開放することによって、教育を促進し、インスピレーションを与えることをミッションとして掲げています。このミッションは世界中で共有され、あらゆる国で同じような制度が生まれています。これは、新たな道を切り拓こうとする人を支援し、すぐれた成果を出すための手助けをするとともに、より良い生活を送るための案内役になるというSalesforceのミッションとも共通しています。
このような理由から、多くの人にインスピレーションを与え、すばらしいお客様事例を伝える Salesforce の新たなクリエイティブキャンペーンの立ち上げを検討したとき、Trailblazer と国立公園という 2 つのテーマでキャンペーンを展開する以外にないと確信したのです。
昨年 Dreamforce にご参加いただいた皆様は、看板やイベント会場のデザイン、個人的に受ける印象が例年と異なることに気づかれたかもしれません。Trailhead エリアに足を運ばれた方は、本物の森の中に足を踏み入れたように感じたとも思います。加えて、すべてのプレゼンテーションや基調講演の資料には、Salesforce の新しいキャラクター(と、たくさんの山々)が描かれていました。
Dreamforce 以降、私たちはこうした Trailblazer をテーマとするデザインを進化させ続けています。ここには、CEOである マーク・ベニオフ自らが時間を多く割き、デザインの洗練と改良に一役買っています。
今回のキャンペーンがきわめて大きな影響力を持つと確信したマークは、数々の受賞歴を誇る広告代理店 Citron Haligman に個人的に連絡をとりました。同社の創業者である Kirk Citron 氏と Matt Haligman 氏は、世界有数の人気ブランドや著名人のキャンペーンを手掛けてきたクリエーターです。
マーク、Citron 氏、Haligman 氏は直接コミュニケーションをとりながら Blaze Your Trail キャンペーンのアイデアを発展させ、完璧なクリエイティブの完成を目指しました。最終的には、マークが首を縦に振るまでに10カ月かかり、それまでにプロジェクトチームは 10 パターン以上のキャンペーン方法を提案しなければなりませんでした。
イラストレーターを探す必要もありましたが、今回のような仕事は誰にでも頼めるものではありません。Blaze Your Trail のビジョンを具体的な形にするため、世界の名だたるイラストレーターたちを検討するなか、マークが惚れこんだイラストレーターがいました。米国の郵便切手の図柄、数々のロゴデザイン、雑誌の図版に自らのすばらしい作品を提供し、ボブ・ディランと子供向けの絵本を共作した経験もある、ポール・ロジャース氏です。今回のキャンペーンの狙いと完ぺきにマッチしていたのが、同氏の作品スタイルでした。
このようにキャンペーン制作が進むなか、常に揺るぎなく確立されていた共通認識があります。それは、私たちのブランドの発展とともに展開されるどのようなキャンペーンも、Salesforce が 18 年にわたり取り組み続けている「カスタマーサクセス」という目標にそったものでなければならないということです。
つまり、今回のキャンペーンは Salesforce ブランドの最新のキャンペーンでありながら、実際には 18 年にわたるキャンペーンの一部なのです。当社のマーケティング活動の中心にはいつも、お客様の成功を後押しするという目標があります。
私たちは、今回の新しいクリエイティブではお客様を中心に据える必要があると確信しました。そのことに気づいてからは、あらゆる物事があるべき場所に収まっていきました。
一部の方には、このようなキャンペーンはエンタープライズソフトウェア企業らしくないと言われます。そんなときはこう答えています。「そのとおりです。当社は信頼、イノベーション、成長、すべての人の平等といった価値観を中心に置く一風変わった企業なのです。私たちが何より重視するのはお客様の成功であり、お客様の成功を全力で支援しながら、同時にそのことを楽しんでいます」。
皆様は今後数か月にわたり、Salesforce World Tour など Salesforce と関わりのあるすべての場所で、今回のキャンペーンのクリエイティブを目にするでしょう。
今回のクリエイティブでは、次の 4 つの要素を盛り込むことで、どこで目にしたとしても常に新鮮な印象を感じていただけるよう工夫しました。
私は Salesforce の最高マーケティング責任者として、仕事で関わるすべての Trailblazer の皆様から日々インスピレーションをいただいています。そして 1 日でも早く、Salesforce コミュニティからイノベーションの新たな一章が始まることを期待しています。