※本ブログは、米国で発表したブログ「Is the Grass Greener on the Other Side? Stop Customers From Switching to a Competitor」の翻訳版です。著者のNicola Brookes 氏は NewVoiceMedia 社のコミュニケーションディレクターです。
デジタル社会の到来により、企業に対する顧客の期待がかつてないほど高まっています。期待に沿わなければ、すぐに別の企業に乗り換えるという消費者も少なくありません。
NewVoiceMedia の調査によると、米国の企業は、カスタマーサービスの不備が原因で年間 620 億ドルの利益を逃している(詳細はこちら※英語)といいます。この金額は、2013 年と比べると 20 億ドル以上も増加しています。
カスタマーサービスの質が低いという理由で別の企業に乗り換えた顧客も、44% から 49% に増加しています。米国では、消費者が乗り換えを繰り返すことは珍しくありません。そして、いったん顧客を失うと、取り戻すことはほぼ不可能です。
このように顧客との関係がうまくいかなかった原因はどこにあるのでしょう。そして、競合他社に顧客を奪われないようにするにはどうすればよいのでしょう。
最近の消費者は、さまざまな手段で買い物をします。アプリで製品を見つけ、実店舗で手に取ることなくそのままインターネットで購入する人もいます。またネットで購入する前に、ソーシャルメディアで問い合わせを行い、後日コールセンターに電話して詳細を確認する人もいます。
企業が抱える問題の原因は、このようなカスタマージャーニーの細分化です。新たなテクノロジーが新たな商機を生み出す一方で、様々なタッチポイントをまたいで構築される (クロスチャネルな)セールスファネルや顧客の購入経路を十分に把握できない企業は、遅れを取ることになります。
顧客は、どのような手段で問い合わせてもすぐに回答を得られることを期待し、問い合わせ先の担当者には自分の情報をきちんと把握していてほしいと思っています。顧客情報を正確に把握していないと、企業は質の高いサービスを提供できず、結果として顧客離れを招きます。
では、他社に顧客を奪われないようにするにはどうすればよいのでしょう。多くの場合、答えはコンタクトセンターにあります。というのも、たいていの消費者は、いったんカスタマーサービスにがっかりすると、あとはソーシャルメディアを使って公の場で不満をぶちまけるだけになってしまうからです。
ここで、顧客定着率を高める 5 つの方法を紹介しましょう。
何か問題が起きた時に、複数のカスタマーサービス窓口で何度も説明を求められることがありますが、消費者にとってこれほど面倒なことはありません。私たちの調査によると、49% の回答者が、繰り返し説明させられることが嫌で、企業に直接問い合せることを避けていると回答しています。
このような状況を回避するには、すべての通信チャネルをシームレスに連携させ、全社員が顧客に関する共通の情報にアクセスできるようにする必要があります。
最善の方法は、一元化された1 つのプラットフォームを使用して、顧客からのすべての問い合せを追跡できるようにすることです。つまり、顧客がメールで問い合わせた後でコンタクトセンターに電話した場合でも、対応したスタッフがメールでの問い合わせ内容を詳細に確認できるようにするのです。
こうすれば、カスタマーサービスの質を下げることなく、電話での対応時間を短縮することができます。
誰でも電話口で保留のまま長時間待たされるのは嫌なものです。調査の結果を見ても、58% の回答者が 5 ~ 10 分待たされたら電話を切ると答えており、長時間待たされることが乗り換えを決める重要な要因となっています。
上記で述べたように、顧客とのやり取りを効果的に追跡することができれば、コンタクトセンターの業務がより効率的に進み、スタッフもより迅速に対応できるようになります。
問題解決における最速の手段は電話であると考えている人は 45% に上ります。にもかかわらず電話をたらい回しにされると、適切な窓口にたどり着くまでに、顧客の不満はたちまち膨らんでいきます。
トレーニングや人員に投資して、顧客が抱える一般的な問題を幅広く解決できるようにすれば、電話の転送が減り、顧客の満足度も向上します。
適切なコールセンター・テクノロジーを導入し、顧客の購入経路を把握できれば、さらに一歩前進して真にパーソナライズされたサービスを実現できます。
たとえば、重要な顧客の電話を優先したり、過去に担当したことがあるスタッフにつないだり、あるいは顧客の詳細情報に応じて適切な提案を行うことができるのです。
このようなサービスを提供できれば、顧客は簡単に問い合わせできるようになり、競合他社への乗り換えを防ぐことにもつながります。
最新のコンタクトセンターには、莫大な量の顧客データがあります。これを利用して、担当スタッフと顧客との間で 1 対 1 のつながりを構築しましょう。
人は誰でも、自分がその他大勢の 1 人として扱われることを望んでいません。時間をかけてサービスをパーソナライズし、顧客のロイヤルティに報いることは、そう難しいことではないはずです。しかも、それによってあなたの最終的な利益に大きな影響を与える可能性があります。
消費者の期待が日々高まっている今、既存顧客を逃さないようにするには、競合他社よりもすぐれたサービスを提供していると納得してもらうことが一番です。そしてそれは、コンタクトセンターですぐれたスタマーサービスを提供することから始まります。
より顧客との関係性を深め、収益を上げる方法については、下記ebook『グッドマンの法則』に学ぶ カスタマー・エクスペリエンスの新常識 をご参照ください。