※本ブログは、米国で発表したブログ「Welcome to the World of Intelligent Marketing and Analytics with Salesforce Einstein」の翻訳版です。著者のBob Stutzは、Salesforce Marketing CloudのCEOであり、Chief Analytics Officerです。
みなさん、こんにちは。Marketing Cloudを担当しているCEOで、Chief Analytics OfficerのBob Stutzです。
日々の暮らしのなかで、私たちは無意識にAI(人工知能)の力に触れています。機械学習を活用してユーザーに最適な楽曲のプレイリストを提供するSpotifyや、自然言語処理を活用してデジタルアシスタントのSiriを提供するAppleの例など、今やAIは身近な存在となっています。
マーケティングやアナリティクスのプロにとってAIが正確にはどのような意味を持つのか、その要点を、SalesforceのMarketing CloudとAnalytics Cloudの事業を統括するリーダーとしてご説明します。経営層はもとより、私たちの誰もが、顧客が期待するのはより迅速で、かつスマートでパーソナライズされたエンゲージメントであると認識しており、その意味を理解しています。
しかし、このような期待に応えるのは容易なことではありません。一部の大手企業を除く、多くの企業が、エンタープライズアプリケーションにAIを活用できていませんが、それは、AIを実現する技術上の複雑さや必要なリソースに原因があります。一方で、モニタリングすべきチャネルや管理すべきソース、分析対象のデータの数は従来と比べ増加しており、残念ながら、ヒューマンコンピューティングの力だけでは、これらすべてを解析するには足りません。
マーケターはアナリティクスのインサイトを頼りに個々のキャンペーンについて、適切なオーディエンスやチャネル、コンテンツ、タイミングを判断しています。しかし、これらのアナリティクスとアナリティクスをベースにしたインサイトは、影響力のある人の意見や過去のデータをもとにしていることが多いといえます。実際には、顧客の嗜好や行動、期待は刻一刻と変化します。マーケティングにおいて意思決定を下す場合、顧客の過去の行動に目を向けるだけでは十分ではありません。最も適切で最もパーソナライズされたエクスペリエンスを実現して顧客にリーチするためには、顧客の次の行動を予測できるよう過去のデータとリアルタイムのデータの両方からインサイトを得る必要があります。
セールスフォース・ドットコムは、CRMのための世界初のAIプラットフォームを2016年9月に発表しました。Marketing Cloud Einsteinにより、マーケターは過去の行動に目を向けたアナリティクスを離れ、個々のマーケティングメッセージについて適切なタイミング、チャネル、コンテンツ、オーディエンスを予測できるアナリティクスへとシフトすることができます。具体的には、次のような機能を利用できるようになります。
Marketing Cloud Einsteinを、ほぼ1年にわたりベータ版として提供してきましたが、すでに目覚ましい成果をいくつかあげています。なかでも特筆すべきは、eコマースとクーポンの事業を手がけるShopAtHome(HPはこちら(英語))のケースです。Predictive Scoresにもとづいてカスタマーエンゲージメントを再定義した結果、メールのクリック数を23%、メールの開封率を30%引き上げることに成功しました。
自動化されたアナリティクスを開発するにあたって主な課題となるのは、データモデルを理解し、さらに、そのモデルと顧客との関係、ビジネスプロセスとの関係を理解することです。また、パイプラインやリードに変化が生じているのはなぜか、特定の商品に関するサービスケースが突然増加しているのはなぜかといったような、問いかけるべき質問に対して先入観なく対処する必要もあります。しかし、答えが必要な問いはすでにわかっていると思いがちです。そして自らの仮定を立証できるようなデータを求めます。つまり、自らの仮説を追求しようとするのです。では、このような検証をすることなく、ビジネスに関するあらゆる重要な問いにすぐに答えを出せるようになったとしたら、どんな結果が期待できるでしょうか。
SalesforceはWave Analyticsを導入して、アナリティクスの民主化を図りました。アナリティクスをビジネスワークフローやアプリにインサイトを直接埋め込むことで、より使いやすく、より直観的で連携性に優れ、アクションにつながるものとし、あらゆるデバイスからでも利用できるようにしています。それ以降、セールスフォース・ドットコムでは、営業、カスタマーサービス、マーケティング、金融サービス、ITの分野を対象にさまざまなWaveアプリケーションを提供しており、また、主要なISVパートナーからも20のアプリが発表されています(英語)。Salesforceは、このようなWaveアプリの提供を通じて、お客様が従来にも増してすばやく自らの業務について多くの新たな問いかけを行い、その答えを見つけられるようサポートしています。
教育書の商業出版を手がけるホートン・ミフリン・ハーコート(HMH)社は、Wave Analyticsをビジネスのサポートに活用している企業のすばらしい事例と言えます。HMH社では、営業責任者や営業担当者が重要業績評価指標(KPI)の分析を容易に実行できるようになり、カスタマイズが可能なWaveダッシュボードやレンズ、チャートを使って取引先情報を把握することが可能となり、年間200%のROIを達成しています。また、同社では、6~8週間ごとに新たなビジネスKPIを展開することもできるようになりました。Wave Analyticsのアプリを利用し、いままで以上にすばやく自らの業務について問いかけ、その答えを見つけられるようになったためです。
当社は、BeyondCoreの買収(詳細はこちら(英語))を通じて、カスタマーサクセスプラットフォーム全体にわたり、スマートなデータディスカバリーや高度なアナリティクスの機能を強化しました。ガートナーのアナリスト、Rita Sallamがブログ記事(英語)で概要を述べているように、「BeyondCoreとSalesforce Analytics Cloudのパワーは、市場における数々の明らかな差別化要因により、Waveを次世代のBIAプラットフォームへと一気に進化させる可能性を秘めています」。
Analytics Cloud Einsteinで達成すべきミッションは、今何が起こっていて、その理由は何か、そして、次に起こることは何か、何をするべきなのかといった必須の問いにユーザーが答えることができるようにサポートすることです。Salesforceは、次に挙げる画期的な新機能を通じて、このミッションを実現します。
Analytics Cloud Einsteinの実績を示す事例の一つとして、最近、Fortune 500の某企業と手がけたプロジェクトがあります。同社のカスタマーサポートサービスについて、ラプストカスタマーや顧客離れを減らそうというものでした。Analytics Cloud Einsteinは、契約の更新率、キャンペーンの効果、営業プロセスの効率、カスタマーエクスペリエンスなど、特に重要となるいくつかのビジネスKPIを向上させるうえで力を発揮しました。その効果は、数百万ドルに相当する7%の売上増加という結果となって表れています。
コンシューマーアプリに見られるAIベースの機能と同じように、Einsteinは機能します。Salesforceをご利用のお客様は、マーケティング部門やアナリティクス部門のほか、営業やカスタマーサービス、ITなどの部門でも、個々のビジネスの状況に合わせて、タイムリーなインサイト、関連性に優れた予測、インテリジェントなレコメンデーション、ワークフローの自動化といった広範なメリットが得られます。