近頃フィンテックという新しい言葉が新聞やネット上を騒がせています。フィンテック(FinTech)は 金融(FINance)とテクノロジー(TECHnology)からできた造語で、ITを活用した決済、資産管理、融資などの金融サービスを指します。これまでの金融サービスにおいては銀行がメインプレイヤーでしたが、多くのベンチャー企業がユニークなビジネスプランを引っ提げて市場に参入しており、金融サービスにおけるイノベーションの加速が期待されています。
欧米・中国ではフィンテックサービスがすでに広く市民権を得ていますが、日本でもベンチャー企業によるサービス展開や、2015年12月から銀行の出資に関する規制緩和の検討が本格的に開始されるなど、フィンテック市場の拡大に向けた動きが見え始めています。また、金融サービスにおけるITシステムではセキュリティ管理が最重要視されるため、これまで以上にITシステム選定に注意を払う必要性があります。
海外ではフィンテックの波がすでに到来しており、アクセンチュアのレポート(アクセンチュア “フィンテックと銀行の将来像”)によれば、2014年のフィンテック関連のベンチャー企業への投資額は世界で122億ドル(1ドル117円換算で約1.4兆円)にも達しました。総額に関しては、圧倒的にアメリカが多いものの、ヨーロッパにおいても、イギリスを中心にフィンテックへの投資が盛んになっており、2014年の投資額は前年の2013年と比べて215%増の14億8000万ドルにも達しています。対してアジアにおいては、投資額自体は、欧州同様、アメリカに比べるとまだ少ない状況です。
しかし急成長している状況には変わりません。中国のEコマース最大手アリババ・グループのモバイル決済「AliPay」は2015年6月には、4億人ユーザーを抱えるまでに成長しています。中国の調査会社iReseachによると、AliPayは現在一人勝ち状態で、実に中国市場の約7割を独占すると言います。中国からのインバウンド消費を目的に、日本国内のコンビニエンスチェーンや百貨店でもAliPayに対応するニュースが相次いでいます。
急速に広がるフィンテック関連サービス。フィンテックブームには、それだけ社会的なインパクトがあると考えられているのです。
市場規模はまだまだ小さいとはいえ、日本国内においてもフィンテック関連サービスが次々と現れており、徐々に浸透してきています。
株式会社MFSは、低金利の住宅ローンへ借り換えることによって返済金額がどれだけ節約できるかを試算するアプリ「モゲチェック」を2015年6月にローンチしました。全国の銀行120行、1000本以上のローンの中から最適なプランを提案してくれます。本アプリはローンチから3か月で5000ユーザーを獲得し、これからの飛躍が期待されています。(株式会社MFSの事例はこちら)
このように、日本国内においてもユーザー数を多く集めるサービスが出始めていることに加えて、さらなる追い風として金融庁が規制緩和の検討をはじめています。
金融庁は、銀行がIT企業に出資する際の規制を緩和するために、銀行法などの改正に取り組み始めました。2016年の通常国会中に銀行法の改正案の提出を目指しています。
現在は金融グループが取り扱う業務は法令によって決まっており、また現行法では銀行であれば5%、金融持ち株会社であれば15%という出資規制があります。今回の出資規制緩和案では、定められている業務以外の業態の会社に対しても、金融庁が金融サービス向上につながる判断した場合は、個別に認可して従来の出資比率を緩和できるようになり、フィンテック市場の更なる活性化が期待されています。
これまでにもITシステム構築時のセキュリティ確保は声高に主張されてきました。ユーザーのお金にまつわる情報を取り扱うフィンテックにおいては、より強固なセキュリティが求められます。
特に厳格なリスク管理を求められる金融機関において、ひとつの指針となるのが、金融情報システムセンター(FISC)が発行している『金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書』です。最新版は2015年6月に改訂された第 8 版追補改訂で、主に「クラウド利用」と「サイバー攻撃」について、リスク管理のフレームワークが新たに設定されました。
前述の「モゲチェック」はSalesforce上で展開されています。また「モゲチェック」のビジネスを展開する際には、提携金融機関からSalesforceの堅牢性が高く評価され、提携がスムーズに行えたとのことでした。
Salesforceのクラウド・モバイルアプリソリューションは、最新のFISC基準に合致しているだけではなく(FISCへの対応については、こちらのページをご参照ください)、国内外で多くの金融機関において利用されています。フィンテックのスタートアップから、大規模な金融サービスまで、ユーザーの皆様に安心してお使いいただける環境を整えております。
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