日本に必要なのは多様性

2015年12月3日、4日の2日間、年次イベント「Salesforce World Tour Tokyo 2015」が開催された。今回は3日、両国の両国国技館での特別セッション「新しい時代に向けた、リーダーシップ」の模様をお届けする。

司会はフリーアナウンサーの久保純子氏、一般財団法人 クリステル・ヴィ・アンサンブル代表理事の滝川クリステル氏、株式会社イー・ウーマン代表取締役社長の佐々木かをり氏が登壇。滝川氏、佐々木氏ともに、異なる分野でリーダーシップを発揮している。

滝川氏が立ち上げた、一般財団法人 クリステル・ヴィ・アンサンブルは動物愛護を目的とした団体。2020年を目標に、犬猫の殺処分ゼロ、放棄ゼロ、虐待行為ゼロを目指すなどの活動「Project Zero」と絶滅危惧種の保護、生物多様性を確保する「Project Red」の2つの活動を展開中。

滝川氏は同団体を立ち上げた経緯について「日本では年間12万引きの犬猫が殺処分にあい、税金を投入している。10年以上も前に殺処分の問題を知ったが、ニュースではなかなか取り上げられなかった。そこで周りを説得して報道したところ、大きな反響があり、その後自分のライフワークとして活動し、最終的に財団設立に至った」と語った。

佐々木氏は、国際女性会議を1996年以来開催しており、自身でも2つの企業を経営している。

「20代の会社設立時、取材に来るメディアは一様に『なぜ20代の女の子が会社を立ち上げるのか?』という質問ばかり。特に意図していなかったが、そこでこの問題に気づき、プロフェッショナルな女性がつながる初めてのネットワークという意味で国際女性会議を、インターネット上でつながるという意味で、イー・ウーマンを設立。活かされていない人が活きる、小さな声が伝わるというパワーを伝えたいと思って立ち上げた」と経緯を語った。

佐々木氏は、「日本に足りないと思うのは、多様性。これは、性別や国籍といったことだけでなく、一番重要なのは『考え方の多様性』。WEF(World Economic Forum)の統計によると、日本は男女ギャップが大きい国として有名。一方でOECDの国際成人力調査(成人としての問題解決能力やIT能力を計る)によると、日本人が男女ともに世界1位。つまり、ほとんどの有能な女性を日本の経済は活用できていないということ。ある試算によると、女性が社会進出すると日本のGDPが9-13%あがるとも言われている」とコメントした。

また同氏は、「日本に今後必要なのは、ひとつはダイバーシティ(多様性)。日本のかつての強みは一枚岩になって行うということだったが、今後は、ITと多様性が重要。会社も、家族も、多様性を受け入れることでもっと強くなれる。もうひとつはコミュニケーション。日本は良いものがたくさんあるのに、海外に伝えることをやってこなかった。食べ物やおもてなしの心、平和に対する考え方など、私たちが思っていることを伝えていく時代になったら良い」と述べた。