成功に不可欠なのは顧客を中心につながること

2015年12月3日、4日の2日間、年次イベント「Salesforce World Tour Tokyo 2015」が開催された。今回は3日、両国の両国国技館で行われた講演についてレポートVol.2をお届けする。(Vol.1はこちら

米国セールスフォース・ドットコム 社長 兼 副会長のブロックが登壇し、「顧客の時代」をテーマに講演を行った。

ブロックは、「メインフレームの時代は数1000の端末が接続されていたにすぎなかったが、いまでは、数100億のモノがつながり、数兆ものやり取りが行われている。あらゆるヒト、モノ、コトがつながる世界が訪れているが、その中心となるのは顧客である」とし、その具体的な成功事例として、米Uberの事例をあげた。

「Uberは、クルマもドライバーを持っていないタクシー会社。だが、クラウド、モバイル、ソーシャル、IoTを活用して、わずか5年で新たなビジネスモデルを構築し、急成長を遂げた。Uberは、顧客を中心にして、破壊的な変化と、新たなビジネスチャンスを作った。これは、金融業界や製造業界でも起こりうることであり、既存の企業は、ビジネスモデルを再構築しなくてはならない時期に来ている。いま、政府、民間企業がやらなくてはならないのは、新しいカタチで顧客とつながることである。」と説明した。

こうした話題に触れながら、ブロックは、世界に存在するデータの90%が、この12カ月以内に生まれたものであるものの、企業が分析に活用しているデータはわずか1%だけであること、顧客の77%が企業やブランドとつながっていないと感じており、企業と顧客の思惑にはギャップがあること、スマートフォンの爆発的な普及速度やIoTなどの市場変化による課題を示した。その上で、顧客とつながっていない企業は顧客価値が18%も減少しているのに対して、あらゆるチャネルでつながっている企業は52%も顧客価値が増加していることを強調した。そして顧客の時代において、一番大切なのは「カスタマーカンパニー」になることであり、SalesforceのCustomer Success Platformを活用して顧客とつながることが重要であると説明した。

続いて、Forbes誌の革新的な企業として1位に選出されたテスラモーターズが紹介された。同社グローバルセールス&サービス担当のジョン・マクニールプレジデントは、10月にクルマに搭載されているソフトウェアを一晩でアップデートしたことを紹介。「高速道路を走行中のクルマに対しても、ソフトウェアのアップデートを行った。顧客とのより緊密な関係をベースに、顧客の体験の質を変えることができた」と同社が顧客とどうつながるかの一例を示した。

NTTコミュニケーションズと豊田自動織機の最新事例&未来のカタチを紹介

続いては、Salesforceの導入事例に関する講演内容に移っていった。紹介したのは、NTTコミュニケーションズと豊田自動織機の2社の導入事例と未来のカタチだ。

NTTコミュニケーションズでは、6000人のグローバルセールスがSales Cloudを活用。また同社コールセンターにおいては、3200人のエージェントがService Cloudを利用して800万のOCNユーザーのサポートを実現している。さらにMarketing CloudのSocial Studioにより、ソーシャルメディア上のユーザーの書き込みのモニタリングを行い、積極的な関わりを持つことで顧客満足度を高める活動を効率的に行うことが可能となったことを紹介した。

デモンストレーションでは同社の未来のカタチとして、音声認識と人工知能を利用した対話型のバーチャルアシスタントをService Cloudに組み込んだ24時間多言語対応可能な無人コンタクトセンターの紹介を行った。また、大量のデータを直感的に分析できるWave Analyticsにより、世界中の営業活動の中からヒントを見つけ、顧客ターゲットを明確化し、効果的な提案活動を行うデモを行った。

NTTコミュニケーションズの庄司哲也社長は、同社にとってセールスフォース・ドットコムの製品を使ったサービス実現が不可欠なものになっていることを示す一方、Salesforceのようなクラウドコンピューティングサービスを、我々のグローバルネットワークとデータセンターによるセキュアなインフラの上で利用できるメリットを語った。

また、豊田自動織機では、Community Cloudを活用することで、全世界の代理店とつながることで営業業務の効率化を実現していることを紹介。

デモンストレーションでは未来の姿としてSalesforceのIoTソリューションを活用することで、コネクテッドメガネやコネクテッドフォークリフトのセンサー情報を分析して、勤務者の疲労度を計測したり、フォークリフトの操作状況を把握して運転時の安全性を高めたりといった用途が期待できることを示唆した。最後に、ブロックは、「顧客の時代においては、SalesforceのCustomer Success Platformを活用しながら、新たなカタチで顧客とつながり、ビジネスを変えていくことが大切である。」と語り、講演を締めくくった。