2015 年 12 月 3 日、4 日の 2 日間、年次イベント「Salesforce World Tour Tokyo 2015」が開催された。今回は 3 日、両国の両国国技館で行われた講演についてレポート Vol.1 をお届けする。
両国国技館は、360° に観客席がある。このスタイルは、米国サンフランシスコで開催される世界最大のテクノロジーカンファレンス「Dreamforce」では、定番ともいえるレイアウト。東京においても、360° の舞台を使って、参加者に向けて講演が行われた。まず初めに、日本のセールスフォース・ドットコム代表取締役会長 兼 CEO 小出 伸一が登場し、今年日本において創業 15 周年という節目を迎えたこと、また今日まで成長できたのはお客様、パートナー様にご支援いただいたおかげという感謝の言葉を伝えた。
今回の基調講演のテーマは、「顧客の時代へ (the Age of the Customer)」。
次に登壇した米国セールスフォース・ドットコム 社長 兼 副会長 キース・ブロックは、日本語で観客に呼びかけたあと、日本市場の重要性と今後も継続してコミットメントしていく意向を語った。そして、最近のセールスフォース・ドットコムの成長とその理由を次のように観客に報告した。
「セールスフォース・ドットコムは、Forbes 誌で『世界で最も革新的な会社』の 1 社であり、来年には世界第 4 位のソフトウェア企業になる見込み。ここまで成長できたのも、皆様の支援によるもの。16 年前に、マーク・ベニオフと、パーカー・ハリスという創業者 2 人が、クラウドという新たなコンセプトを考え、それを現実のものとしてきた。
という 3 つのモデルが支えています」と語った。
新しいテクノロジーモデルというのは、マルチテナント型クラウドコンピューテイングモデルのことで、直近の第 3 四半期においては、2,590 億のトランザクションが発生。信頼性の高いエンタープライズクラウド環境を構築していることを強調してみせた。
また、新たなビジネスモデルでは、使った量だけを支払う従量課金モデルとともに、ビジネスを支える大規模なエコシステムやコミュニティで構成されていることを説明。
新たな社会貢献モデルでは、就業時間、株式、製品のそれぞれ 1% を社会に還元する 1-1-1 モデルの成果を示してみせた。ここでは、就業時間の 110 万時間を超える貢献活動を行ってきたこと、1 億ドルを超える助成金の提供、2万7,000 以上の NPO に対して、2億5,000 万ドル相当の製品を無償提供してきた成果を示した。
社会貢献モデルに関連して、ゲストとして、NPO 法人 CANVAS の石戸奈々子理事長が登壇。CANVAS は、コンピュータでは代替できない創造性とコミュニケーションを学ぶための活動を展開。
石戸氏は、「いまある職業の 65% がなくなると予想されているほど、子供達は複雑な時代を生きている。今後は世界中の多様な価値観を持った人たちが協働して、新しい価値を作り出す力が必要になる。この社会背景において、教育の情報化が必要だと私は思っているが、家庭の環境格差というのがあるのが現状。こうした教育格差を是正するために、多様な背景を持った子供達にプログラミング教育を中心とした、STEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)教育をセールスフォースト・ドットコムともに提供していきたい」と語った。
続けて登壇したのは、米国セールスフォース・ドットコムの共同創業者であるパーカー・ハリス。総務省による「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」に、セールスフォース・ドットコムが参加し、和歌山県白浜町にオフィスを開設したことを紹介した。
ハリスに促されて登壇した和歌山県白浜町の井澗誠町長は、「白浜町は、年間 300 万人以上の観光客が訪れる国内屈指のリゾート。一方で、少子高齢化、人口流出、人口減少という課題を持っている。この実証実験で、東京以上のパフォーマンスを発揮したい。IT と観光を融合してイノベーションを起こし、雇用を増やし、若者を増やすことができると思っている。白浜町を地方都市の先進モデルにしていきたい」などと述べた。ハリスは、「インターネットやクラウドのパワーを使えば、東京に限定することなく、どこでも仕事ができるようになる」と語った。
(講演レポート Vol.2はこちら)